強度と距離
出典: フリー百科事典『ウィキペディア(Wikipedia)』 (2020/07/09 18:36 UTC 版)
体験には快・不快のいずれにせよ、強い体験と弱い体験とがある。すなわち少なくとも2段階の強度があると言える。その段階数は、理論的にはデジタルに考えるべきだが、人間の場合は非常に多く、実際上はアナログに考えていいだろう。 これを心理的な距離に置き換える。強い体験の強度には、それを超えると主体の生存に関わるという意味での限界がある。現在の体験の強度が、限界の強度と比べてどれだけ弱いか=余裕があるか、を体験距離とする。なお、文脈上明らかな場合は単に距離と表記する。 最強の強度の体験は、体験距離としては基点すなわちゼロといえる。一方で最弱の体験は、強度としてはゼロ、体験距離としては無限遠となる。なお、安永が説明に用いる「ファントム空間図」においては、有限線分の端点すなわち有限値として示している。 体験距離の遠近は、主体と対象との空間的(物理的)距離の遠近と相関する傾向にはあるが、必ず、ではない。例えば映画館で映画を見ているとする。作品に夢中になったり、あるいは全く興味がわかないなど、体験距離には変動が生じうるが、当人とスクリーンとの物理的距離はほとんど一定のままである。 体験距離はヒトに限らず生物にとって、死の危険を回避する猶予、という大きな意義がある。空間的距離は、危険を回避しうる時間的余裕をも意味する。
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