F-15
世界有数の戦闘能力を持つ名戦闘機です
F-15は、航空自衛隊の主力戦闘機として、現在、全国8個の飛行隊と、その他教導飛行隊などに、約200機が配備されています。昭和47年に初飛行した、米空軍の本格的な制空戦闘機です。それから、すでに30年以上経過した機体ですが、基本設計の優秀さとレーダーをはじめとした電子機器、搭載装備の近代化が進められ、現在でも能力的に最も均衡のとれた、信頼性のおけるトップクラスの実力を持つ戦闘機といえます。
※F-15は米空軍および航空自衛隊では別名イーグルと呼ばれ、それを駆るパイロットたちは俗に「イーグルドライバー」と呼ばれています。
分類 | 戦闘機 |
乗員 | 1人 |
全幅 | 13.1m |
全長 | 19.4m |
前高 | 5.6m |
エンジン | 2基 |
名称 | F100-PW(IHI)-100 |
推力 | 約8,600kg/1基 |
型式 | アフターバーナー付ターボファン・エンジン |
最大全備重量 | 約25t |
性能 | |
最大速度 | マッハ約2.5 |
実用上限限度 | 約19,000m |
航続距離 | 約2,500nm(約4,600km) |
武装 | M-61A 20mm機関砲×1(940発) 空対空レーダーミサイル×4発 空対空赤外線ミサイル×4発 |
【F-15】(えふじゅうご)
McDonnell Douglas F-15 Eagle(イーグル)
マクダネル・ダグラス社が1970年代に開発した大型の制空戦闘機。
アメリカ空軍ではF-86以来の純粋な制空戦闘機となった。
本機の開発に当たっては、コストは度外視され、「あらゆる状況下で」「どんな敵機にも勝利できる」能力を備えた、完璧なる制空戦闘機(Air Superiority Fighter)となることが目指された。
1973年に初飛行し、ミサイル万能時代に失われた空中戦機動能力と、当時としては飛びぬけた目視外射程戦闘能力をもってデビューした。
また、世界で初めて推力重量比が1を超える強力なエンジンを装備、記録挑戦用のストリークイーグルは数々の世界記録を打ち立てた。
現在ではやや旧式化した感があるものの、近代化改修が続けられており、最新のマルチロールファイターに比べても同等以上に渡り合える能力を備えている。
1999年には実用戦闘機として初めてアクティブフェイズドアレイレーダーであるAPG-63 (V) 2 AESAやAPG-63 (V) 3を搭載した。
その能力は実戦で遺憾なく発揮されており、2003年現在で101機の航空機を撃墜し、空対空戦闘における損害はゼロであると言われている。
ある戦闘機が、訓練において「F-15を『撃墜』した」という話が良く出回るが、逆を返せば、これは本機を「撃墜」したこと自体が自慢になるという事であり、ある意味、本機にとっての勲章といえるエピソードであろう。
また、その大きな機体に秘められた大きな発展性は、空中戦能力を大きく削ぐことなく対地攻撃能力を持たせたマルチロールファイター・F-15Eに発展した。
関連:ストリークイーグル F-15E
参照
http://www.masdf.com/crm/eaglekilllist.html (F-15全撃墜機リスト)
http://www.masdf.com/eagle/ (F-15イーグル全般)
欠点
名実共に20世紀最高の戦闘機である本機だが、大きな欠点が一つだけある。
それは現代の戦闘機に最も必要とされる要素の一つ、「コスト・パフォーマンス」である。
強力なエンジンと高性能のレーダーを装備、機体の25%以上に高額なチタニウムを使用した結果、コストの増大を招き、ローンチカスタマーとなったアメリカ空軍ですら、必要な数を揃えることが不可能という事態に陥ってしまった。
アメリカ空軍以外で本機を採用できたのは、当時防衛費世界3位の航空自衛隊、(周辺国との戦争状態が半恒久的に続き)最新鋭の装備が必要なイスラエル軍、オイルマネーに潤うサウジアラビア軍など、ごく一部の国の空軍だけであった。
しかし、採用国は少ないものの、2004年現在で既に1500機以上が生産されており、量産効果におけるコストダウンも実現していることから、後に韓国(F-15K)・シンガポール(F-15SG)にも採用されることになった。
F-15J/DJ
わが国の航空自衛隊においては、F-104J及びF-4EJの後継として、F-15C/Dのマイナーチェンジともいえる「F-15J/DJ」が三菱重工でのライセンス国産方式で導入され(合計生産数203機)、現在も一線で活躍している。
また、一部の機には「MSIP」と呼ばれる近代化改修が施されたほか、2004年現在では、このMSIP機を対象として、レーダーやセントラルコンピューター、統合電子戦システムを中心とした新たな近代化改修が進行中である。
また、これとは別に新世代の打ちっぱなし目視外射程空対空ミサイルである99式空対空誘導弾(AAM-4)の搭載改修が進められている。
一方、上記の改修の恩恵を受けられない非MSIP機の扱いが今後の課題であり、幾つかのプランが提示されているが、MSIP機の近代化改修で降ろしたアビオニクスを非MSIP機に搭載し、MSIP機同等の機体にするという案が最も有力である。
しかし、これでは「生産終了した補修部品の枯渇に対処する」という近代化改修の大きな目的の1つが達成されないわけで、非常に悩ましい問題である。
2004年現在検討が進められている、自衛隊機構と装備の大改編(実質縮小だが)の構想に伴い、F-15の一部を偵察・攻撃などの機能も付与したマルチロールファイターとする構想が持ち上がっている。
現に技術研究本部(TRDI)が中心となって、F-15を母機に想定した空中発進UAVや、600gal増槽より一回り大きなエスコートECMポッドの試験が進められており、マルチロールファイター化の暁にはこれらの成果が取り込まれるものと考えられる。
また、F-4EJの後継機、及びF-2の調達中止に伴う代替機(第4次FX)候補に、一時F-15FXの名前も挙がっていたが、F-35の導入が決まったため実現しなかった。
スペックデータ
乗員 | 1名(A,C型)/2名(B,D型) |
全長 | 19.43m |
全高 | 5.63m |
全幅 | 13.05m |
翼面積 | 56.5㎡ |
空虚重量 | 12,790kg |
離陸重量 | 20,245kg(増槽なし、AAM×4)/30,157kg(最大) |
最大兵装搭載量 | 10,705kg |
エンジン | P&W F100-PW-220ターボファン(推力64.9kN/105.7kN(A/B使用時))×2基 |
最大速度 | マッハ2.5 |
海面上昇率 | 15,240m/min+ |
実用上昇限度 | 18,900m+ |
フェリー航続距離 | 3,100nm(CFT+増槽使用時) |
戦闘行動半径 | 955nm(Hi-Hi-Hi、制空ミッション時) |
兵装 | M61A1 20mmバルカン砲(装弾数940発)×1門 ミサイル類: 空対空:AIM-7「スパロー」,AIM-9「サイドワインダー」,AIM-120「AMRAAM」 (J/DJ型:90式空対空誘導弾,04式空対空誘導弾,99式空対空誘導弾) 爆弾類: クラスター爆弾各種 (CBU-24B/B、CBU-42/A、CBU-49/A、CBU-57B/B、CBU-58/B、CBU-2471/B、 Mk.20「ロックアイ」) Mk.80シリーズ(Mk.82/MK.84) BLU-27Bナパーム弾 その他兵装:AN/ALQ-131ECMポッド,610Gal(2309L)増槽等 |
バリエーション
- (Y)F-15A カテゴリーI:
F-15試作機。
- (Y)F-15A カテゴリーII:
F-15全規模開発(FSD)機。
- ストリークイーグル:
原型機を改修した記録挑戦用の特別仕様機。詳しくは項を参照。
- TF-15A(→F-15B):
F-15試作機の複座型。
- F-15A(384機):
初期単座型。
C/D型導入後は戦術訓練航空団等の教育・訓練部隊に配備されている。
イスラエル向けはバズと呼ばれる。
- F-15B(61機):
A型の複座量産型。
主に機種転換訓練用だが実戦にも対応している。
内蔵電子妨害装置を省略し、内部燃料タンクを小型化して後部座席を設置。
操縦システムはそれぞれに独立した系統を持っているため、後席からの操縦も可能。
ただし、レーダーやエンジン始動関連のパネル、兵装操作パネルなどは無い。
- F-15C(483機):
燃料搭載量などが向上した改良型で現在の主力モデル。
機内燃料の増加やコンフォーマル・パレット搭載のための内部配管の追加、重量増対策としてのタイヤとブレーキの強化が行われている。
イスラエル向けは「アケフ」と呼ばれる。
- F-15D(92機):
F-15Cの複座型。
B型同様教育・訓練用だが、実戦にも対応し、FAST PACK搭載能力を持つ。
- F-15G:
ギリシャ提案型。同国はタイフーンを採用したため実現せず。
- F-15J(165機):
C型の日本向けモデル。(三菱重工業にてライセンス生産)
搭載ECM関連機器の輸出をアメリカが認めなかった為、日本独自で開発し装備している。
独自装備の一つとして、日立製作所製の「J/ASW-10」と呼ばれるBADGEシステムに連接して時分割データを受信する専用通信システムを持つ。
- F-15DJ(48機):
F-15Jの複座型。主に教育訓練用に使用している。また飛行教導隊も運用している。
- F-15N「シーイーグル」:
アメリカ海軍向けとして提案されたモデル。
F-14の空軍型に対抗する艦上戦闘機として海軍に提案された。
AIM-54の運用能力を持ち、主翼の折り畳み機構や着艦フックを有する。
F-14が試験飛行段階であった事により構想のみに終わった。
- F-15S/MTD:
「アジャイル・イーグル・プロジェクト」という滑走路が破壊された場合を想定しての、STOL研究実験機。
S/MTDとは「Short take-off and landing/Maneuvering Technology Demonstrator」の略である。
F-15BにF/A-18の水平尾翼をカナードとして取り付けたもので、後にスラストリバーサー、二次元推力偏向ノズルも装備された。
計画終了後、本機は1993年にNASAへと移管された。
- F-15B ACTIVE:
主に超音速時における推力偏向の研究用として、NASAで運用されている機体。
ACTIVEとは「Advanced Control Technology for Integrated Vehicles(先進制御技術統合航空機)」の略である。
F-15S/MTDのエンジンをF100-PW-229に換装し、Su-37のような新型の三次元推力偏向ノズル(PYBBN)を搭載、制御ソフトウェア等も一新されている。
- F-15 IFCS:
F-15B ACTIVEに「IFCS」を搭載した機体。
2005年より改修したF-15にシステムを搭載して実験を行っている。
- F-15 MANX:
F-15 ACTIVEから尾翼を取り外したタイプ。実際に製作される事はなかった。
F-15
出典: フリー百科事典『ウィキペディア(Wikipedia)』 (2024/02/06 21:28 UTC 版)
F-15、F15
- 1 F-15とは
- 2 F-15の概要
F-15 (戦闘機)
(F15 から転送)
出典: フリー百科事典『ウィキペディア(Wikipedia)』 (2024/09/09 14:58 UTC 版)
アメリカ空軍のF-15C(2019年)
- 1 F-15 (戦闘機)とは
- 2 F-15 (戦闘機)の概要
F-15(まお(初代、『2』))
出典: フリー百科事典『ウィキペディア(Wikipedia)』 (2022/06/07 09:27 UTC 版)
「ソニックウィングス」の記事における「F-15(まお(初代、『2』))」の解説
特徴として、ショットのフルパワーアップ状態は、初代では10秒間保ち、『2』では40発撃った時点で終了する。サブショットは「ガルレーザー」、特殊武器「E・ウェイブ」は時を止める性能を持っている。
※この「F-15(まお(初代、『2』))」の解説は、「ソニックウィングス」の解説の一部です。
「F-15(まお(初代、『2』))」を含む「ソニックウィングス」の記事については、「ソニックウィングス」の概要を参照ください。
F-15
出典: フリー百科事典『ウィキペディア(Wikipedia)』 (2021/08/15 10:16 UTC 版)
実在する戦闘機。本機もプレイヤーが直接操作する事は出来ず、基地発進コマンドによって支援攻撃を行う。F-1と比較すると攻撃力で劣り、命中率で勝る性能を持つ。
※この「F-15」の解説は、「ゴジラ 列島震撼」の解説の一部です。
「F-15」を含む「ゴジラ 列島震撼」の記事については、「ゴジラ 列島震撼」の概要を参照ください。
F-15
出典: フリー百科事典『ウィキペディア(Wikipedia)』 (2021/11/15 08:20 UTC 版)
「凱歌の号砲 エアランドフォース」の記事における「F-15」の解説
対空/対地対艦武装交換可能。移動しなくても移動力の半分の燃料を消費。
※この「F-15」の解説は、「凱歌の号砲 エアランドフォース」の解説の一部です。
「F-15」を含む「凱歌の号砲 エアランドフォース」の記事については、「凱歌の号砲 エアランドフォース」の概要を参照ください。
F-15
出典: フリー百科事典『ウィキペディア(Wikipedia)』 (2021/11/23 09:17 UTC 版)
「ゴーストリコン アドバンスウォーファイター2」の記事における「F-15」の解説
※この「F-15」の解説は、「ゴーストリコン アドバンスウォーファイター2」の解説の一部です。
「F-15」を含む「ゴーストリコン アドバンスウォーファイター2」の記事については、「ゴーストリコン アドバンスウォーファイター2」の概要を参照ください。
「F15」の例文・使い方・用例・文例
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