F-15FX
出典: フリー百科事典『ウィキペディア(Wikipedia)』 (2022/05/17 04:00 UTC 版)
「F-X (航空自衛隊)」の記事における「F-15FX」の解説
詳細は「F-15E (航空機)」を参照 アメリカの航空機メーカー、マクドネル・ダグラス社(現ボーイング社)が開発した第4.5世代ジェット戦闘機。F-15をベースとした戦闘爆撃機・F-15Eを対空戦闘を重視して再々設計し高機動化した機体で、ボーイング社より提案された。航空自衛隊での運用については不安が一番少ない機体ではあるが、基礎設計が最も古い機体である。2011年に行われた防衛省への最終申込において、ボーイングはF-15FXを提案せず、候補から脱落した。 機体 F-15Dと外形はほぼ同じだが、設計変更によって内部構造の6割が再設計になっている等、共通点は少なくなっている。 ベースのF-15Eは戦闘爆撃機として設計されており、燃料・武装搭載量の多さから、空対地戦闘では圧倒的な実力を発揮する。 16,000時間(現行F-15Jの場合は半分の8,000時間である)という非常に長い耐用寿命を持つ。 F-15Jとは違い複座型が基本であるため、WSO(兵器技術士官)を搭乗させる必要があり、人件費及び訓練に関してのコストが他機と比較して高くなってしまう。もっとも現行のF-4EJ改も複座であるため、さほど問題になる事項ではなく、ボーイングからは日本の運用状況によっては「単座型の開発は可能(元々オリジナルで単座型の生産計画があった)」との提案が出ている。 プロセッサをAN/APG-79と同等のものにしたAN/APG-82(V)1を搭載するとしている。このレーダーはAESAレーダーであり、航空自衛隊のF-15Jで使用されているAPG-63の大幅改良版である。F-15Jの旧来及び改修I型のAPG-63及びAPG-63(V)1は、プレナー・アンテナ式パルスドップラーレーダーであり、(V)2以降は、レーダーにECM能力が付与されている(レーダー内蔵の高出力マイクロ波電界吸収の効果で、相手側のミサイル誘導能力を無効化出来る)。これに加え、早期警戒管制機による防空体勢が整備されている日本にとって、データリンクによる目標誘導が可能という点においても、非常に有利である。 韓国空軍もF-15EをベースとしたF-15Kを導入している(ただし、日本提案型はAN/APG-82(V)1であり、F-15Kに搭載されているレーダーは、プレナー・アンテナ式パルスドップラーレーダーのAN/APG-63(V)1である(v3型への改修は可能である)。加えて韓国軍は早期警戒管制機による防空体勢が無いため、性能はF-15FXの方が高いということになる)。 運用 F-15Jに比べF-15Eは空対地任務に対応するため、搭載機器に大きな違いが生じている。このため、空虚重量が大幅に増大しており翼面荷重は確実に増大することから、空対空戦闘では機動性の低下が問題となる可能性がある。また、『新型のPW F100や同世代型のF100より、中低高度での飛行に適したGE F110エンジン等、F-15J以上の戦闘力を得られるという利点もある』との説もあるが、パワーウエイトレシオ(機体重量とエンジン出力の比率)はどちらも1.45前後であり、大きな優位は無い。 グラスコックピットの一部やJHMCS(04式空対空誘導弾のみ対応)等については、F-15Jの近代化改修によっても得られる能力であり、F-15Eをこれから新規導入するよりは、F-15Jに近代化改修を行う方が先決ではないかという意見が存在する。 F-15J/DJが不具合等で飛行停止措置がとられた場合、同系統であるF-15FXも飛行停止になる可能性がある。もし残るF-2も飛行停止になれば、防空任務に就ける機体がなくなるため、別系統の3機種が最低でも必要とする意見が自衛隊内にある。 政治・報道 韓国空軍の2020年代の運用開始を前提としたF-XX計画向けに、アラブ首長国連邦向けに提案されていたF-15Uと同じF-15の垂直尾翼の廃止を含めた大規模発展型が提案されており、この計画が実現した場合に早期の陳腐化は免れない(ただし韓国は2014年以降にF-35を導入するとされているので、どちらにしろ(電子戦の問題を除けば)戦力差が付いてしまう恐れがある。もっとも、開発参加国に優先して引き渡される上、開発に遅れが出ている為、最低でも2018年以降になるとの指摘もある)
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