ターボファン‐エンジン【turbofan engine】
ターボファンエンジン
出典: フリー百科事典『ウィキペディア(Wikipedia)』 (2024/01/16 10:02 UTC 版)
ターボファンエンジン(Turbofan engine)は、ジェットエンジンの一種[1]。コアとなるターボジェットエンジンにファンを追加したものである[1][2][3]。ファンを用いることにより、ターボジェットと異なり、コアエンジン部を迂回するエアフローが設定され[1][3]、エンジン排気のエアフローを増大させ、ジェットエンジン推力の増大および効率化が図られる[1][2]。
注釈
- ^ 戦闘機用の低バイパス比ターボファンエンジンの中には、スネクマ M53やゼネラル・エレクトリック F404などのように、低圧圧縮機がファンの役割を兼ねている(低圧圧縮機が圧縮した空気の一部が、高圧圧縮機と燃焼室・タービンをバイパスする)例もある。
- ^ 現代のターボファンエンジンの主流は、2軸式であり、高圧タービン部の出力で高圧コンプレッサーを、低圧タービン部の出力でファンと低圧コンプレッサーを駆動するものとなっている。また、ファン回転数を減速させるギヤードターボファンエンジンの開発も行われている。
- ^ 総じてプロペラは、直径が大きいほど効率が良い。ターボファンのファンを「半径が小さいプロペラ」とみなせば、ターボプロップのほうが低速域では効率がよい。プロペラの外周の速度が音速に達するあたりから、ターボファンのほうが効率が上回る事になる。
- ^ 同社のJ79ターボジェットエンジンの民間機用モデルであるCJ805にファンを追加したもの。
- ^ 同社製のCJ610(J85の民間機仕様)ターボジェットにファンを追加したもの。
出典
- 1 ターボファンエンジンとは
- 2 ターボファンエンジンの概要
- 3 概要
- 4 種類
- 5 開発史
ターボファンエンジン
出典: フリー百科事典『ウィキペディア(Wikipedia)』 (2021/08/12 15:07 UTC 版)
「ジェットエンジン」の記事における「ターボファンエンジン」の解説
詳細は「ターボファンエンジン」を参照 ターボジェットの吸気口近傍・圧縮機前方にファンを備えるエンジンで、ファンの外周部を通過する一部の流入空気は圧縮機以降に導かれずにコアエンジン外周部へバイパスされる。このファンはプロペラと類似の役割を担い、大部分の空気を飛行速度と同等の速さで排出することで効率の高い軸推力を得ている。ファン後流の一部はステータやファンダクトによってジェット推進力を得る。ファンを駆動する軸は一番内側に存在するコアエンジンとは別の同軸エンジンとみなすことが出来る。一般的には2軸式ガスタービンエンジンの後方の低圧タービンによってファンと低圧コンプレッサを駆動する。イギリスのロールスロイス社製の高バイパスターボファンエンジンは更に3軸目がファン駆動専用のフリータービンとなっている。基本原理はファン駆動用の別エンジンがコアエンジンと燃焼室と流体を共有しながら串刺しになっていて、コアエンジンの安定した持続運転とファン駆動力の出力調整を両立している。ファンにはプロペラのようなピッチを変更する機構はなく、減速機を介さずに2軸又は3軸目のタービン回転がそのまま伝達されるためプロペラに比べて回転速度は大きい。ターボジェットに比べて総排気流速度が低く抑えられるため、亜音速の輸送機に利用されている。ただし、後述するバイパス空気量の小さいターボファンはターボジェットの性格に近くなり、超音速ジェット戦闘機のエンジンとして主流となっている。 ターボファンの特徴をまとめるとターボジェットに比べて以下のようなメリットがある。 総合的な排気流速度は遅くなるものの、全体として流量が増えるため、結果的に推力が増大する。 燃焼に使わない空気を低速で排出して推力に利用するため、推進効率が良くなり燃費が向上する。 バイパス空気流が燃焼ガスを覆うため、騒音が抑えられる。 排気に含まれる酸素の割合が大きくなるので、アフターバーナー使用時の出力増大効果が高い(ただし、これは、アフターバーナー使用時の燃費の悪化がより著しい事をも意味する)。 前方にあるファンのみを通過して、エンジン本体の圧縮機に吸い込まれない空気量Waf をエンジン本体の圧縮機に吸い込まれる空気量Wap で割った値Waf/Wap をバイパス比 (By-Pass Ratio, BPR) と呼ぶ。例えばバイパス比5のエンジンならば、ファンだけを通過する空気量は圧縮機から燃焼室へと流れる空気量の5倍にあたる。この値は地上静止状態で定義される事が多く、実際には飛行マッハ数によって変化する。通常、バイパス比が高いほど燃費が良く、亜音速飛行に適した性能特性を持つ。 一般的に、バイパス比が1前後のものを低バイパス比、4以上のものを高バイパス比と呼ぶ場合が多い。初期にはバイパス比が小さいものしか製造できなかったが、今日ではバイパス比9に迫るエンジンが稼動しており、ボーイング787のような新型旅客機向けにバイパス比10を越えるものの開発も行われている。一方、戦闘機用のものはバイパス比が小さく、その値が1を切るものもある。 プロップファン ファンをプロペラ状にして極限まで効率の向上を追求したターボファンの一種にプロップファン(アドバンスド・ターボプロップ (Advanced Turbo Prop, ATP) とも)がある。これは圧縮機の外周部(ナセル外側)に薄くて強い後退角を有する、径が小さめのプロペラ(可変ピッチ機構付き)を備えるもので、プロペラ端で発生する衝撃波を抑えつつ高速(マッハ0.8程度)と高効率を両立させようとしたものである。1980年代の原油価格の高騰に触発されて各所で研究開発が行われたが、プロペラの振動など解決すべき技術的課題のためにそのメリットがかすみ、通常のターボファンの性能向上(高バイパス比の実現)とともに開発は放棄されていった。数少ない実用例の一つにウクライナの輸送機An-70がある。 コア分離型超高バイパス比ターボファン ターボファンの派生型として、現在JAXAで構想されているコア分離型超高バイパス比ターボファンエンジンといわれるものがある。これはファンとガスタービン部分(コアエンジン)を分離し、ガスタービン側で圧縮した空気をファンにバイパスして駆動しようというアイデアである。これにより10を越える高バイパス比が実現し、ファンのコントロールやレイアウトの自由度を増すことで複数のリフトファンおよび推進ファンの設置とそれらのスイッチングを行い、今までにない大型VTOL機を製作することも可能だとされている。 採用例 現在のジェット旅客機の多くが高バイパス比ターボファンを採用しているが、低バイパス比ターボファンを搭載した旅客機も近年まで製造され続けた。超音速飛行を行う戦闘機の場合、バイパス比の低い、より高速に適したものが採用されている。特に著しいのはF-22が装備するF119であり、バイパス比は約0.2と非常に小さい。これはアフターバーナーなしでの超音速巡航を可能にするためである。 ボーイング777に搭載されているGE90の巨大なファン ボーイング747やエアバスA300といった日本でも馴染み深い旅客機に搭載されているプラット・アンド・ホイットニー JT9D F-22に搭載されているF119の先行量産型(YF119)
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