ムーミン谷の住人
出典: フリー百科事典『ウィキペディア(Wikipedia)』 (2022/05/22 06:17 UTC 版)
「ムーミンの登場人物」の記事における「ムーミン谷の住人」の解説
ミムラねえさん(典: Mymlan、芬: Mymmeli(nuorempi)) 声 - 荘司美代子 / 小林優子 / - / - / - タマネギのように結った髪型が特徴の「ミムラ」という生き物。キャラクターデザインは、アニメ『ムーミン』では原作と違い真っ白な体に白い服を着て、緑色の髪の毛をして緑色の瞳をしているが、アニメ『楽しいムーミン一家』でも、原作と違い肌色に薄茶色の髪に青い瞳をしている。原作絵本やイラストの絵では白っぽい体にオレンジ色の髪に青い瞳をしている。 原作小説『ムーミンパパの思い出』では「ミムラのむすめ」名義で登場し、同話のラストで母や妹弟たちと共にムーミン谷にやってきて「今夜また出発する」はずだったが、何らかの理由で妹のミイを母から預けられてムーミン谷に残った、この時はムーミンたちと同居していたが後にムーミン家から出て行ったらしく『ムーミン谷の冬』では屋外の穴でミイと一緒に冬眠する描写があったほか、『ムーミン谷の十一月』ではムーミン谷から2つ隣りの入り江の町に住んでいた。 おしゃれ好きで足が長く、きれいな髪が自慢。『夏まつり』ではスノークのおじょうさんとともに髪についてミーサ相手に自慢する描写があるほか、『十一月』ではダンスが好きで、まげをほどいて髪をなびかせて踊るという姿を見せた。コミックスでは恋に落ちやすい女の子として描かれた。 ミムラのむすめ(典: Mymlans dotter、芬: Mymmelin tytär) 声 - 佐久間レイ ムーミンパパが子供の頃に知り合った人物。原作『ムーミンパパの思い出』ではミムラねえさんの若いころの姿であり外見もさほど違わないが、アニメ版では大きさと目以外はミイにそっくり。あまりに悪い子(嘘つき)なので母であるミムラ夫人に園遊会に連れて行ってもらえなかった時にムーミンパパたちと出会った。なお、原作挿絵では彼女を含むミムラ族に尻尾が生えているのが確認できた(アニメ版は特に描写なし)が、この巻以後は小説・漫画ともにミムラ族の尻尾が見える描写はない。 ヘムレン(典: Hemulen、芬: Hemuli) 声 - 雨森雅司 / 矢田稔 / - / - / 太田哲治 ヘムル(スウェーデン語:Hemulに定冠詞がついて語尾変化したものがHemulen)は個体名でなく種族名で、ヘムレン(hemulen)は「その(この)ヘムル」という意味。従って原作小説だけでも複数の「ヘムレンさん」が登場している。 他ジャンルだと絵本では『それからどうなるの?』、『さびしがりやのクニット』、『ムーミン谷へのふしぎな旅』ではいずれも全個体が「ヘムレン」と訳されている(もっとも『クニット』以外は一体ずつしかヘムルは登場しない。なお『ムーミンやしきはひみつのにおい』はヘムル族自体が未登場)。 種族全体で共通するのは外観はムーミン族に似ているが、外耳が見当たらないほか、体が大きく顔に突き出ているのは鼻ではなく口吻で先端に口があるほか、冬眠もしない。また頭髪が生えている個体の挿絵も多い。肌の色はアニメ『ムーミン』では紫だが、アニメ『楽しいムーミン一家』ではグレー。ムーミン族より大柄で普段は衣服を着用している。服の色は『ムーミン』では青だが、『楽しいムーミン一家』では紫。 ムーミン谷の外にある「ヘムルの世界」で、多数の個体が暮らしているらしく、「しずかなのがすきなヘムレンさん」には遊園地や多数のヘムルが集まっている大きな建物がある町の描写がある。 「Hemul」とはスウェーデン語の古い法律用語「ohemul(不当・不適切な)」という形容詞の逆(スウェーデン語では「O-」は否定の接頭辞)で「正当な」という意味になるが、言葉遊び的な造語で「hemul」という形容詞は厳密には存在しない。物語中に登場するヘムルも警察署長や警官、公園の管理人などの職業についているものが多かった(なお、「hemuls man」だと「権威者」「情報提供者」の意味で、「スーパーヘムレン」は「ヘムルらしくない」という意味)。 講談社全集の場合だと以下の6名が「ヘムレンさん」と訳されている(カッコ内は本編で別の呼ばれ方がある場合 )『ムーミン谷の彗星』と『楽しいムーミン一家』のヘムレンさん 切手収集家で、おばからもらったスカートのような服を着ている(彼の登場時に「ヘムル族はスカートをはく生き物」というような記述がある、ただしこの後に出てくる男性のヘムルはそうでないものも多い)。ムーミン一行が天文台から帰る最中に遭遇。数日後の彗星衝突の危機という事情を知って一緒にムーミン谷の洞窟へ避難するため同行する(以上、『ムーミン谷の彗星』)。その後はムーミンの家に居候していたが、切手をコンプリートして面白くなくなり、代わって植物の標本集めをはじめる(このため胴乱とルーペを持ち歩くようになる)。ヘムル族ではおとなしい方だが、趣味に没頭すると周りが見えなくなる。関係ないことでも物知りで他の人には意味不明のトフスランとビフスランの言語を理解できる。 日本のアニメ版では昭和・平成双方とも「ヘムレンさん」は彼がベースで、どちらも初老の物知りおじいさん(学者という設定を持つこともある)といったキャラになっている。昭和アニメ版では署長以外のヘムルの要素が一人にまとめられており、切手と植物以外に昆虫収集(原作では『彗星』に登場するいとこの設定)やホルン演奏(同じく『冬』のヘムレンさんの要素)の趣味もある他、トゥーティッキやフレドリクソンの設定も混ざり、第27話でニンニを連れてきたり、第50話で若いころパパと船で旅をしていたと説明があったりする。平成アニメ版では他のヘムルも出てくるが「ヘムレンさん」はこの個体の固有名にされている。 平成アニメ版には一度だけ妹のゴットリー夫人が登場する。世話焼きでモランを恐れている。急いで走り出す時は着ている衣服の裾を両手で掴んだり、雹が降り出した時は頭まで衣服を捲りあげて身を守る描写もある。 コミックスの『彗星がふってくる日(Moomin and the Comet)』は『ムーミン谷の彗星』のリメイク的な内容なので彼も「切手収集のヘムル」としてとして登場するが小説版とは微妙に外見が違い眼鏡をかけており髪がやや短く跳ねている。彗星接近に伴う騒ぎでお宝の「上下逆のエラー切手」がどれだかわからなくなりがっかりしていた。同話ではこれ以外にエビを取っている「養殖家のヘムル」も登場するがこっちは完全に別キャラである。また、『ジャングルになったムーミン谷(Moominvalley Turns Jungle)』には植物の標本を集める学者のヘムルが登場するが、小説版のお爺さんっぽい人物とは外見がかなり異なり(眼鏡をかけていて頭髪がなく丸い帽子を着用)、もっと若そうな人物になっている。彼にはいとこの動物学者がいて捕虫網や瓶を持って出てくるが、彼も後述の昆虫収集家のヘムルとは外見が異なる。 絵本『それからどうなるの?』にも彼と似た顔のヘムル(掃除好き)が出てくるが体の大きさが極端に異なり、手に持つ掃除機がムーミンたちを吸い込むサイズなので別人の可能性が高い。 『ムーミンパパの思い出』のヘムレンさん(おばさん・ヘムレンおばさん) 赤ちゃんの頃のムーミンパパが置き去りにされていた孤児院を経営していた人物。ムーミンパパの主観では子供たちの世話自体はちゃんとやってくれるが、やたらと規則にうるさい杓子定規な人物であった。その後孤児院から逃げ出したパパは彼女がモランに襲われていたところを誰だか気が付かずに救出してしまい、自分たちが乗り込んでいた海のオーケストラ号を彼女に仕切られかけるが、偶然彼女自身がニブリングの群れを怒らせてしまい彼らに連れ去らわれる。その後しばらく出てこなかったが最終的には角が取れたらしく終盤でムーミンパパたちにお祝いの手紙を出してきた。 なお、彼女は実際はヘムルでない可能性があり、アニメ『楽しいムーミン一家』でも該当話(第59・63話)で「院長」と呼ばれるフィリフヨンカの姿になっていた。 『ムーミン谷の冬』のヘムレンさん(大きなヘムル・ヘムレンおじさん) 黒とレモン色のジグザグ模様のセーターを着たスキーヤーの格好をしている。冬のムーミン谷にスキー姿でホルンを鳴らして現れ、熱血漢で寒くても元気で寒中水泳すら平気で行うが、そのテンションの高さについていけないムーミンの家に集まっていた避難民達からは嫌われ、ムーミンも興味がないのにスキーを強引に教えられて閉口する、ただし、本人に悪意はみじんもなく世話好きな人間であるため、はい虫(クニット)のサロメが彼の後を追って外に出てはぐれ遭難した際にはすぐに救出に向かって連れ帰ったり、オオカミに囲まれてピンチのめそめそを助けるなどの活躍をしている。最後はサロメとめそめそと共におさびし山に向かって旅立つ。 本人が「ぼくは魚を食べず野菜と果物だけを食べる」と説明するくだりがあるが、『たのしいムーミン一家』や『ムーミン谷の十一月』に登場するヘムレンは魚を食べる描写があるので、種族的な食性ではなく単に個人的な嗜好。他に彼個人かヘムル全般の能力なのかは不明だが、「犬のめそめそを上回る嗅覚を持つ」という説明がある。また、彼以後のヘムルには口吻の先に口がはっきり描かれるようになる。 アニメ版では『楽しいムーミン一家』第23話に彼の外見や設定をベースにした「ラッキ」(声:大林隆介)というキャラクターが登場(楽しいムーミン一家のゲストキャラクター参照)、基本デザインは同じだがセーターの色が紫にピンクになっている。なお、同作品の英語翻訳版ではコミックス版の『やっかいな冬(Moomin Winter)』に登場する「ブリスク(Brisk)」というキャラの設定を引き継ぎブリスク名義で登場するほか、ポーランドのパペットアニメ版では後述の「もみの木」でムーミン一家を起こしたヘムルのポジションを兼任していた)。 「しずかなのがすきなヘムレンさん」のヘムレンさん(遊園地のパンチャー) 同話の主人公。ヘムル族には珍しいネガティブで陰気な性格をしており、怠け者ではないが騒がしいところを嫌い「早く老人年金をもらえるようになって静かな所に隠居したい」と願っていた。 長い間昼は(嫌々)遊園地の切符切りをして、夜は幼児引受所でヘムルの赤ちゃんの面倒を見ていたが、大雨による洪水で遊園地が壊滅(その後スケートリンクになる)したのをきっかけに経営者役員の親戚の人たちにここの仕事が自分にあっていないことを伝えたところ、廃墟化した公園(もとは花火を上げていたが火事を起こして閉鎖)を与えられそこに引っ込むも、遊園地再会を願う子供たちの頼みにほだされ、公園を「沈黙の園」名義の(かなり簡素になったが)遊園地にして騒がない約束で子供たちに開放する。 「ニョロニョロのひみつ」のヘムレンさん 「ヘムレンさん」と訳されているキャラクターだが、完全な脇役。ムーミンパパの釣り仲間らしく、冒頭でいつの間にかパパがいなくなった際、一緒に釣りに行ったのかと周囲の人が尋ねたところ、「自分の見ている前でパパは一人で出かけていった」といった意味の回答をした。登場はここだけで以後は出てこない。 キャラクター描写が少ないため詳細不明。他のヘムルの誰かと同一人物の可能性もある。 『ムーミン谷の十一月』のヘムレンさん ムーミン谷から2つ離れた大きな入江の町に住むヘムル。体が大きく(スナフキンのテントが彼1人でいっぱいになる描写がある)、お人好しで整頓が好きだが冒頭では決まり切った日常に飽き飽きしており、ヨットを持っているのを自慢していたが、自分の整頓と周囲の人を仕切るのに忙しく全然乗らない(よって動かす技術も習得していない)でいた。最終的にスナフキンに手伝ってもらってヨットに乗るが、海が怖いと感じてヨットを乗りこなすことをあきらめ誰かに譲渡することを決める。 過去にムーミン家を訪れ、楽しかったという意味の説明があるが、『たのしいムーミン一家』で居候していた収集家のヘムレンではない(髪がない・スナフキンと初対面など)。 遊園地のパンチャーのヘムレンのように陽気とはいいがたい性格だが、スナフキンをはじめとする訪ねてきた人たち同士でムーミン一家を待つ間共同生活を始めた際、家事を仕切りたがるなどこちらはヘムルらしい面もみられる。 ヘムレンさんとは訳されていないヘムルで、ある程度話に絡む個体 『ムーミン谷の彗星』のヘムル(昆虫収集家、切手収集家のいとこ) 地下の滝に落ちそうになったムーミンたちの音を新種の虫と間違え結果的に救出した。その後彗星接近の話を聞かされるが「彗星」を理解できず何かの虫と誤解する。その後ムーミンたちがいたずらで落とした岩が当たりそうになりガラス瓶が壊されるなどの被害にあう。 以後の巻では登場しないが、『たのしいムーミン一家』でいとこのヘムレンさんが彼のことを少し触れる(「今から昆虫標本集めをしてもあいつにはかなわない」という趣旨)ほか、『ムーミン谷の冬』に彼かは不明だがコガネムシをコレクションしていたヘムルの話がめそめその噂話に出てくる。 『ムーミン谷の夏まつり』の大きなヘムル(牢屋番のヘムル) 警官の帽子をかぶっているが牢屋番の資格も持っているヘムル。公園で公園番を電気人間にしたいたずら、並びに立札を抜いて(実はここまではスナフキンが犯人)燃やしていたムーミン一行を逮捕し牢屋に入れておいたが、ある朝劇のチラシを見たことで幼少期見た舞台劇を思い出し、牢屋をいとこに任せて劇場に行ってしまう。その後劇場でムーミン一行と遭遇して逃げ出したことに気が付き、さらにムーミンを弁護したスナフキンが真犯人と知ってムーミン谷まで彼らを追いかけるが、彼らに同情的ないとこがスナフキンは反省していると口裏を合わせ、反省文(偽造)を見せられ引き下がった。 平成アニメ版では「署長」と呼ばれているが、コミックス版に出てくるセミレギュラーの「署長」とは役職が同じ別個体。 『ムーミン谷の夏まつり』の小さいヘムル(ヘムルの娘) 牢屋番のヘムルのいとこでヘムルには珍しく臆病で気弱(また、ヘムルかどうか怪しい孤児院経営者を除くとノベル版では挿絵に描かれた唯一の女性ヘムル)。ただし困った人を助けようとする義務感は強く、そこを突かれてムーミンたちに説得されて彼らを牢から逃がしてしまう。その後も同情的で反省文を偽造してスナフキンを助けた。 趣味は編み物で牢屋の番をするついでに編み物をはじめる描写があるほか、お茶を入れたりするのも好き。 これ以外のモブヘムルとして、家具を回収する大きなヘムル(『小さなトロールと大きな洪水』)、丸い国の王様の家来たちや楽団のヘムル(『ムーミンパパの思い出』)、スナフキンのいたずらで電気人間にされた公園番とそのおかみさん、貸しボート屋の少し年取ったヘムル、楽団として集まってくれたヘムルの有志達(『ムーミン谷の夏まつり』)、スナフキンからうぐい5匹で竜を捨てに行くことを頼まれた若いヘムル(「世界でいちばんさいごのりゅう」)、遊園地の経営者やお客のヘムル(「しずかなのがすきなヘムレンさん」)、クリスマスの準備に忙しいヘムルたち(「もみの木」冬眠中のムーミン一家をたたき起こした男と、クリスマスの支度をしていたおばさんの2名)などが登場する。 ヘムル署長(典: Hemulen、芬: Hemuli) 声 - 北村弘一 / 土師孝也 / - / - / - ムーミン谷の警察署長。コミックス版に登場するキャラで、小説では『ムーミン谷の夏まつり』に警官のヘムルが登場しているが容姿はやや異なる(平成アニメ版ではこの個体も「署長」だが別人)。アニメ『ムーミン』の署長は、どちらかというとムーミンコミックスの署長の手下の巡査に似ていて、口ひげをはやして人のような姿をしている。アニメ『楽しいムーミン一家』の署長は、原作に忠実なヘムルの姿で性格は朗らかであり、よく鼻歌を歌ったりしている。昼夜問わず谷をきちんと巡回するなど職務に忠実だが、騒動に巻き込まれる事も有り少し頼りない。ミムラ姉さんがガールフレンドである。帽子をとると、ヘムレンさん(彗星・たのしい)のように頭髪がありてっぺんは禿げている。原作のコミックスでは、バラの栽培を好みパイプをくわえている。 甥にクラース(『署長さんの甥っ子(The Inspector's Nephew)』 登場)という不良青年がおり、怠け者で酒の密造やトランプ賭博に手を出す問題児だったが、なまじ警官としてやる気を出した際に意味のない理由でムーミン谷の住人を片っ端から逮捕するようになり、困った署長から架空の事件(火薬密輸)の取り調べをしているうちにタバコの密輸を本当に発見するが、この密輸タバコに手を出したことで元の怠け者に戻ってしまう。 ジャコウネズミ(典: Bisamråttan、芬: Piisamirotta) 声 - 八奈見乗児 / 石井敏郎、山内雅人 / - / - / 金光宣明 原作、アニメーション『ムーミン』『楽しいムーミン一家 ムーミン谷の彗星』に登場。なお実在する哺乳類のジャコウネズミ(トガリネズミ目)に比べるとかなり毛深いが、これはかつてジャコウネズミと訳されていたマスクラット(Muskrat)(ネズミ目)の方がモデルであるため。 (スウェーデン語ではBisamråttanはネズミ目のジャコウネズミ(マスクラット)のことで、トガリネズミ目のジャコウネズミは北欧に生息せず、学名でSuncus murinusと呼ばれている)。 自称哲学博士で、哲学書を好む。『ムーミン』では「無駄じゃ無駄じゃ、まったく無駄じゃよ」などと言い、必要な物のことなどでヘムレンさんと言い合ったりしていた。いつも読んでいる本は『すべてがむだである事について』。後に飛行おにの手によって『すべてが役に立つことについて』にかえられてしまった。ムーミンパパが川に橋を架ける時にジャコウネズミの家を壊し、その時は怒らなかったものの増水で残った部位が壊滅したので、一時ムーミン一家と同居していた。 『ムーミン』では茶色い毛並で白衣を着ており、原作、『楽しいムーミン一家』では抹茶色の毛並で裸である。 トゥーティッキ(おしゃまさん 典: Too-ticki、芬: Tuutikki) 声 - 山本嘉子/土井美加/- / - / 山藤桃子 小説では『ムーミン谷の冬』『ムーミン谷の仲間たち』(姿の見えなくなった女の子‘ニンニ’を連れてくる)に登場する。赤と白の横じまセーターを着た、落ち着いた性格の女性で、種族は不明。1972年版のアニメ『ムーミン』では、第3話‘今日は(こんにちは)おしゃまさん’で初登場をし、ジャコウネズミに勝手に弟子入りをして、木の上からスノークのかつらを吊り上げようとしたり、手回しオルガンをやたらに演奏していたりと原作と異なり一時迷惑がられたこともあった。こちらでも、水浴び小屋に勝手に住んでおり、ムーミンたちを招いた。解説書には男の子と誤植されていた。 アニメ『楽しいムーミン一家』ではあまり頻繁には登場しないが、原作の『ムーミン谷の仲間たち』と同じく透明人間になってしまった少女‘ニンニ’をムーミン家へ預けに来たのが初出。ムーミン一家の水浴び小屋に(無断で)冬の間だけ住んでいる。偶然、冬眠中に目を覚ましたムーミンに知られその旨を謝った。スケート靴を履き凍った海の上を上手に滑る事が出来る。翌年の冬でも、ムーミン家から薪を無断で持ち出している(「自分達のお祭りだから、当然返している」とムーミン達の冬眠明けより前に返却していることを告げているが、無断で使用していることについての謝罪はない)。モデルは作者の私生活でのパートナーだったトゥーリッキ・ピエティラ(Prof Tuulikki Pietilä)教授。 ニンニ 声 - 松尾佳子/冨永みーな/- / - / 福緒唯 一緒に住んでいる意地悪なおばさんに嫌味を言われ続け、萎縮してすっかり自信を無くした影響で、姿が見えない透明人間になってしまった少女。声も出せず、着ている服や履いている靴も見えなくなっている。 1969年版のアニメーション27話-顔を亡くしたニンニから製作を開始した、虫プロダクションでは、原作や、アニメ「楽しいムーミン一家」と異なり、ヘムレンさんの家から、パパが雨の日に連れて来て、見えないニンニに傘を差してあげているパパに、ムーミンが「何故そんな処へ差しているの?」と聞く場面があった。 アニメ「楽しいムーミン一家」では、原作と同じくトゥーティッキがムーミン家に連れて来る。おばさんから首元に小さな鈴を着けられ、ムーミン達はそれが鳴る音でしか反応が分からない状態。しかしムーミンママ秘伝の薬と、ムーミン一家達からの愛情により次第に見えるようになってゆく。 「自由が丘カウンセリングオフィス」のカウンセラーで臨床心理士の山内志保がツイッターで採り上げて話題になった(4万9千「いいね」)。 フィリフヨンカ(典: Filifjonkan、芬: Vilijonkka) 声 - -/島本須美・丸山真奈実/- / - / 久嶋志帆 キツネとタヌキの中間のような顔で、体つきはほっそりした人のような生き物。個人名ではなく種族名で、絵本『さびしがりやのクニット』では大人が4人同時に登場している場面がある。 初出は小説版ではなく絵本『それからどうなるの?』(1952年)で、ここではヘムレンさんの掃除機を壊して脱走したムーミンとミムラ姉さんとミィが窓から逃げた際に下敷きにされるという災難な役回りだった。 どの個体も基本的に掃除好きという設定になっていることが多く、ヘムル族同様に几帳面で義務感が強い個体が多いが、あちらとは逆に神経質で気が弱い。 小説版で実際に登場したフィリフヨンカの大人は以下の4人。『ムーミン谷の夏まつり』のフィリフヨンカ 毎年夏に義務感でおじ夫婦(フィリフヨンクとエンマ、血縁のあるフィリフヨンクは既に死亡しエンマは彼女をよく思っていないから意図的に無視していたのだが彼女はそれを知らない)をパーティに招くが無視されていた。本編では偶然来たムーミンたちと出会い、楽しくないならやらなくてもいいだろうと諭され、吹っ切れて公園に3人で出かけたところ立札破壊の犯人に間違われ警官のヘムルに逮捕されるもムーミンたちが牢屋番の娘を言いくるめて逃がしてもらえる。最終的にエンマと再会して和解し森の子供たちのうち劇場に残らなかったものを世話するようになった。 間違いなく独身の個体でスノークのお嬢さんに言われて恋人を見つけられる花占いをする場面がある。 平成アニメ版ではフィリフヨンカに多い赤服ととんがり帽子ではなく、緑のワンピースを着て帽子なしの姿になっている。 『ムーミン谷の冬』のフィリフヨンカ この個体は描写が少なく詳細不明。劇中では「冬の貯蔵食料を誰かに食べられてしまい、隣の谷からやってきた」と話しており、このことから『週刊ムーミンハウスをつくる』では「(隣の谷に住み)ムーミン一家と知り合いという設定の『十一月』のフィリフヨンカと同一人物の可能性もある」という説が挙げられている。 「この世のおわりにおびえるフィリフヨンカ」のフィリフヨンカ (フィリフヨンカはこの個体に限らないが)一族の伝統を重んじる性格で、無関係な気に入らない家(家具なし)を祖母が昔住んでいた家と間違えてヘムルから借りてしまった。親類の形見や伝統を重んじすぎた結果、いつも何かにおびえていてガフサ夫人からはあきれられていたが、最終的に嵐で家の窓が割れた際に逃げ出した際に外の方が安心できることに気が付き、朝までそこにいたところ竜巻の直撃で家は家具ごと全部吹き飛ばされ、本人は助かる。その後逆に自分の重荷がなくなったことで吹っ切れて浜辺で笑いだした。 『ムーミン谷の十一月』のフィリフヨンカ ムーミン谷の隣の谷で一人暮らしをするフィリフヨンカ。掃除が大好きだったのだがある日掃除中に外壁から転落しそうになったことで掃除がトラウマになり、気を紛らわせるために明るく陽気なムーミン一家に会いに行くがおらず、ほかの皆とともにそこに止まりながら帰りを待った。 一度はヘムレンさんとも口論になり料理もできなくなったが、料理はスナフキンの方便で、掃除の方ものちに彼のハーモニカの音色で心がなごみできるようになる。 彼女たち以外にセリフのみのも入れると『ムーミン谷の夏まつり』のフィリフヨンクと「しずかなのがすきなヘムレンさん」にフィリフヨンカ夫人が登場しており、故人のフィリフヨンク以外全て女性であるが、子供は「しずかなのがすきなヘムレンさん」には息子と明記された個体が登場している(ただし挿絵にはそれらしい者はいない)。 小説版では一人暮らしの個体の方が多いが、コミックス版では3人の息子を持つ母親(フィリフヨンカ夫人)がセミレギュラーの隣人として登場している(これ以外に『彗星がふってくる日(Moomin and the Comet)』で子連れでない個体が避難している描写がある)。 アニメ『楽しいムーミン一家』ではコミックス版の設定がベースの個体(上記の島本須美はこの個体の声優)がセミレギュラー登場(第14話~)しており‘フィヨンカ夫人’とされ、コミックスと同じく3人の子供がいる。子供は末っ子(女児のように描かれており、言葉も女言葉を話している)を除き男の子のようである。『ムーミン谷の夏祭り』にあたる部分(第28話から第30話)には別の個体が‘フィリフヨンカ’という名前で出ており、声は丸山真奈実が担当。デザインも原作小説の挿絵と同じように顔つきが少し違っている。また、『ムーミンパパの思い出』に当たるエピソードでは孤児院の経営者がフィリフヨンカになっており、(パパ曰く「フィヨンカ夫人そっくり」で、声優もフィヨンカ夫人と同じ島本須美)「院長」と呼ばれていた。 エンマ(典: Emma) 声 - - /藤夏子/- / - / 小林優子 ねずみ顔の眼鏡の老婆で劇中で「劇場ねずみ」と明言しているが、外見や性格などがフィリフヨンカとほぼ同一であるため『週刊ムーミンハウスをつくる 47』や『ムーミンキャラクター図鑑』などでは「劇場ねずみ」というのは種族名ではなく、彼女もフィリフヨンカ族ではないかとしている。 劇場で20年以上も清掃を担当している。劇場の物を粗末に扱うと激怒する。元夫は舞台監督のフィリフヨンク。原作小説『ムーミン谷の夏祭り』で夏祭りで呼んでも来ない親戚を待ち、悲しんでいるフィリフヨンカのおばで、夫のフィリフヨンクは既に死亡しており、未亡人になったおばのエンマは姪のフィリフヨンカから招待状が来ても招きに応じないばかりか返事も出さなかったために、このフィリフヨンカはおじの死を知らずに毎年悲しんでいたのでいたのであるが、アニメ『楽しいムーミン一家』の第28話〜第30話でも、フィヨンカ夫人とは別人のフィリフヨンカとして描かれている。 平成アニメ版では「劇場ねずみ」という説明はなく清掃係のおばさんで舞台に立つことにあこがれていた人物とされていた。 ガフサ(典: Gafsan、芬: Kampsu) 声 - - /中沢みどり/- 初登場は絵本『それからどうなるの?』の小川の辺で釣りをしている場面だが、言及のみでは『たのしいムーミン一家』でスナフキンが飛行おにの話を聞いた相手として挙げる「かささぎ」が原語では彼女の事であった。 『それからどうなるの?』では魚が逃げるとうなり声をあげてムーミンたちを脅し、ミムラ姉さんによると「かみついてくる」という物騒な人として登場だが、これ以外では基本的に貴婦人キャラで「この世のおわりにおびえるフィリフヨンカ」「スニフとセドリックのこと」(言及のみ)、『ムーミン谷の十一月』(言及のみ、表記は「ガフサン」)、『ムーミン・コミックス』に登場。鼻がとがった人のような外見。同一人物かは不明だがフィリフヨンカの友人(「この世のおわりにおびえるフィリフヨンカ」)でムーミン一家とも知り合いの描写がある(「もみの木」、『ムーミン谷の十一月』)。 「スニフとセドリックのこと」では娘がいる描写があるが、娘も言及のみ。 アニメーション『楽しいムーミン一家』第36話と第39話(クレジットなし)、『楽しいムーミン一家(冒険日記)』第5話(通算83話)に登場。 スティンキー(英: Stinky) 声 - 大塚周夫/丸山裕子/- コミックスとアニメーションで大活躍し小説には登場しない。毛むくじゃらの球体に目鼻口をつけて触角・手足を生やしたような外見のトラブルメーカーである。平気で嘘をついたり騙したり窃盗する等、ムーミン谷では稀有な存在。1969年版、1972年版のアニメ『ムーミン』では「ビュトン、ビュトン、ビュトン…」という声を発しながらジャンプして移動する。静かにしろと言われても、つい「ビュト…、ビュト…」などの声を上げていた。アニメ『楽しいムーミン一家』では「ビュトン…」などの声は上げずチョコチョコと走りまわっている。1日で普通の人の1週間分食べる。名前は臭うという意味の英語stinkから採られており、たとえ生ゴミでもなんでも食べるので非常に臭い(他にも花や木の枝、土や魚、さらに虫まで食べる)。『コミックス』の初期には、臭いを表す湯気のようなものが描かれていた。またトラブルメーカーの通り、怪しいカネ儲けをしたり、泥棒をして逮捕され警察の留置場に入れられたりしたこともある。『コミックス』やアニメ『楽しいムーミン一家』では何回も逮捕されているので警察署長とは馴れ合いで、色々な食べ物やお菓子などを要求し差し入れをさせたりしている。その代りに偉い警察官の視察の時には、署長から食べ物を貰ってその代わりに留置場に入るなどの取引を行うなどの不正も行っていた。一度、ムーミンと入れ替わって悪さをしたこともある。 『ムーミン』ではやや整った外見をしており、根っからの悪人ではないという設定で、毎回神出鬼没に表れる。一人称は原作、『楽しいムーミン一家』では「俺」、『ムーミン』では「あっし」「小生」「吾輩」などで語尾に「…ガンス」を付けて話す。 ※「カラーテレビ版ムーミンまんが絵ばなし」の表現によると、「ビトン、…」ではなく、「ビュトン、ビュトン、ビュトン……」と表現されていた。 写真絵本『ムーミンやしきのひみつのにおい』にも登場するが、コミックス版とはやや設定が異なり「パパの昔の悪友」として久しぶりに会ったことになっている。
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