はっ‐こう〔‐カウ〕【発酵/×醗酵】
発酵
発酵 [Fermentation]
発酵を行って生育する微生物は酵母や麹かびをはじめ種々の真菌、乳酸菌や枯草菌など多くの従属栄養性の細菌である。細菌の中で自然界に優勢に生息している通性嫌気性菌は通常は酸素がほとんどない腸内、土壌や水底土などに生息しており、酸素がない状態では発酵を行って増殖するが、酸素を供給すると好気呼吸を行って、発酵の場合より盛んに増殖することができる。また、偏性嫌気性菌の中で、ボツリヌス菌、破傷風菌やウェルシュ菌などのクロストリジウム属の細菌はもっぱら発酵を行って生育する。人間は古くからこのような発酵という自然の現象を経験的に利用して、種々の食品を作ってきたのである。なお、高等動物の筋肉内では運動によって発酵が進んで乳酸が蓄積される。
発酵(はっこう)
発酵
発酵
出典: フリー百科事典『ウィキペディア(Wikipedia)』 (2019/03/17 19:20 UTC 版)
発酵において、その出発物質も最終産物もさまざまであり、二酸化炭素のほかは最終産物は様々である。一般に発酵過程で酸素分子は使用されない。よく知られているのは、エタノールか乳酸のいずれかを産物とするアルコール発酵である。アルコール発酵は嫌気呼吸である。泥炭沼や湿地といった水没環境において、土壌呼吸の多くを占めると考えられている。ただし、最も大きな割合を占めるのは植物の根による細胞呼吸である。
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発酵
出典: フリー百科事典『ウィキペディア(Wikipedia)』 (2020/10/02 15:23 UTC 版)
発酵は炭水化物をアルコールや有機酸といった他の副産物に分解するために、細菌や酵母などの微生物の使用を必要とする過程である。また、タンパク質や脂質も発酵によって分解される可能性がある。 発酵は通常、酸素が存在しない環境で行われる(嫌気性と呼ばれる)。発酵の方法は2つある。1つは乳酸発酵ともう1つはアルコール発酵であり、何世紀にもわたって使用されてきた。発酵を通じて、ワイン、チーズ、ヨーグルト、ピクルス、塩レモンなどの製品が生産されている。ビタミンBの生産の増加などが、発酵食品に関連する健康上の利点としてあげられる。発酵によってビタミンB、オメガ3脂肪酸、およびプロバイオティクスが作られる。 加えて、通常消化されにくい食品は、細菌による合成によって発酵することで消化することができ、これによって消化管からより多くの栄養素を吸収することを可能となる(バイオアベイラビリティの増加)。
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発酵
出典: フリー百科事典『ウィキペディア(Wikipedia)』 (2022/06/30 16:19 UTC 版)
発酵により、強い香りを発するものが多い。このため、「香の物」、「お新香」とも呼ばれる。また、秋田県など一部の地方では「雅香」がなまった「がっこ」と呼ぶ。 日本の漬物の場合、乳酸菌による発酵は酸味が著しく強くならない程度に抑制されているものが多いが、中には柴漬けやすぐき漬けのように強い酸味を持つものもある。ヨーロッパのザウアークラウトも、この類である。 漬物の技術は、乳酸菌発酵を十分に行うと野菜のみならず、動物質の保存にも有効となり、こうしたものはなれ寿司に分類される。これらは、発酵基質の糖質として炊き上げた米などの穀物を使用する保存食であった。 沢庵漬けのような糠漬けや、糠味噌床も、なれ寿司の穀物を乳酸発酵の基質として利用する技術の延長線上にあり、北陸の「へしこ」や北海道の「糠ニシン」などにその中間型を見ることができる。 乳酸菌による発酵は、これらの食品に酸味を主体とした味や香りの変化を与えるとともに、乳酸によって食品のpHが酸性側に偏ることで、腐敗や食中毒の原因になる他の微生物の繁殖を抑えて食品の長期保存を可能にしている。植物性乳酸菌は、野菜や豆、米や麦などの植物素材を発酵させる乳酸菌のことである。漬物や味噌、醤油、さらには酒やなれ寿司などの米の発酵食品まで、さまざまな食品に生育している。一方、ヨーグルトのように牛乳などの動物の乳に生育する乳酸菌は動物性乳酸菌と呼び、それぞれ区別されている。動物性乳酸菌は、乾燥、熱、酸に弱く、胃酸で死滅するが、植物性乳酸菌は酸に強く生きたまま腸に届く。植物性乳酸菌の効果として、免疫活性作用、便秘・下痢の解消、病原菌感染の予防などが報告されているが、漬け物等と同時に摂取する程度の付着量では摂食した菌種によるアレルギー反応抑制等の機能性は期待できないとの指摘がある。
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発酵
出典: フリー百科事典『ウィキペディア(Wikipedia)』 (2022/03/26 02:57 UTC 版)
主として、表面付近ではニホンコウジカビなどのカビ、中心部では枯草菌などの細菌が自然に繁殖する。日本の豆味噌の中間原料となる味噌玉にも似ているが、枯草菌の増殖を抑えて作る味噌玉や麹と異なり、メジュは藁内の枯草菌を積極的に利用する。また、麹が40~70時間で完成するのに対してメジュは短くても2週間はかかる。メジュには下記の微生物が繁殖する。 カビ類:コウジカビ、クモノスカビ、ケカビ、アオカビ 真菌類:サッカロミセス属(英語版)、トルロプシス属 細菌:バシラス属、ブドウ球菌属 枯草菌は大豆のpHを高めてアルカリ加水分解(英語版)を促進するため、アンモニア臭がする場合もある。アンモニアは熟成中に揮発するほか、テンジャンなどを作る際に木炭を入れて吸着させるため、最終製品にはアンモニア臭は残らない。一方、枯草菌は納豆菌の近縁のため、最終製品に納豆のような匂いがする場合もある。
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発酵
出典: フリー百科事典『ウィキペディア(Wikipedia)』 (2022/07/27 22:35 UTC 版)
発酵行程において乳酸菌のL.bulgaricusとS.thermophilusは共生関係にあると報告されている。これは、それぞれの菌単独で発酵させた場合よりも数分の1の短時間で発酵が進むことで分かる。この菌は長期間の共生により、代謝物を相互に利用しあたかも1つの菌のように振る舞う。その結果、ゲノムサイズが縮小するという進化を起こしている。
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発酵
出典: フリー百科事典『ウィキペディア(Wikipedia)』 (2022/05/03 06:05 UTC 版)
発酵は、基質レベルのリン酸化によるATP生成を行うが、電子伝達系を通らずエネルギー効率としてはきわめて低い。しかしながら機構の単純さや酸素が要らないなどの理由から多くの微生物にてよく見られる。なお無酸素運動における筋肉でも解糖系が乳酸発酵へと転じている(筋肉痛)。 電子供与体および電子受容体はともに有機物であり、電子供与体となる還元物質には通常、糖が使用される。しかしながら微生物はある種の有機酸(酢酸、乳酸など)、アミノ酸、ヌクレオチドなどを基質に発酵する能力を有する。 基質レベルのリン酸化によるATP生成の式は以下の通りである。 グルコース + ADP + Pi + NAD+ → ピルビン酸 + ATP + NADH しかしながら、生じた還元型ピリジンヌクレオチド (NADH) は生物にとっては有害なピルビン酸の異化反応に使用される(以下乳酸発酵の例)。 ピルビン酸 + NADH → 乳酸 + NAD+ 微生物の行う発酵の電子受容体(産物)としては、乳酸、エタノールをはじめブタノール、酪酸、イソプロパノール、酢酸、プロピオン酸、ギ酸、アセトンなどがある。 詳しくは発酵を参照。
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発酵
出典: フリー百科事典『ウィキペディア(Wikipedia)』 (2022/06/13 01:01 UTC 版)
空気を通された発酵槽中の麦汁には酵母が添加される。酵母が出芽を開始すると発酵が始まる。発酵熱の発生により液温が上昇するので、冷却により発酵温度をコントロールする必要がある。発酵に必要な時間は酵母の種類やビールの濃さによって変わる。発酵前の麦汁はpH 5.2 〜5.8だが、発酵後には4.0 〜4.6に低下する。発酵が終了した液を若ビールと呼ぶ。アルコール発酵に加え、麦汁内の微粒子が沈降するため一度発酵の終了した若ビールは清澄する。 発酵は一次発酵(主発酵)と二次発酵(熟成)の二段階で行われることがある。アルコール類はほとんど一次発酵で生成される。その発酵液は新しい容器に移され、熟成される。熟成はパッケージングまでに時間を置く必要がある場合、さらなる清澄化が必要な場合に行う。若ビールにはジアセチル前駆体、アセトアルデヒド、硫化水素などの未熟成物質が含まれる。熟成過程では残存物質のさらなる発酵が進み、これらの物質が分解され、発酵によって発生する炭酸ガスによって液外に運び出される。混濁の原因となるタンパク質は、温度を+1〜-1 ℃程度に下げることにより析出し、一部の酵母とともに沈降する。熟成の終了したビールは濾過され、またシリカゲルによってタンパク質を吸着させて製品工程に送られる。 熟成後に酵母の活動を抑えるため、60度前後に加熱する低温殺菌が行われる。この熱処理を行わず、特殊な濾過装置で酵母を取り除くビールがいわゆる生ビールである。ただしこの呼称は日本の基準によるものであり、国によって基準は異なる。また酵母を完全に取り除かないビールもある。
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発酵
出典: フリー百科事典『ウィキペディア(Wikipedia)』 (2021/11/20 06:55 UTC 版)
1日6~7回に分けて採取した馬乳に酒母(スターター)を加え、ひたすら攪拌する。数千回、時には1万回もかきまぜ、一晩置くと出来上がるとも言われるが、「原料乳の量」「スターター添加量」「気温」などで異なる。2日から3日この作業を繰り返すとより美味しいものが出来る。この時の容器は木桶、陶製の瓶、牛の皮や胃で出来たフフルという袋が良いとされるが、昨今ではポリ容器などで作る家庭も多い。フフルを容器にする作り方は袋を力強く押し潰し撹拌させる。ポリ容器ではこの方法が取れないため、激しくシェイクさせる作り方を行う。@media screen{.mw-parser-output .fix-domain{border-bottom:dashed 1px}}この調理容器の世代交代は発酵に与る菌種の交代を招く可能性が指摘されている[要出典]。
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発酵
出典: フリー百科事典『ウィキペディア(Wikipedia)』 (2021/12/10 05:07 UTC 版)
腐敗させる微生物より、食べても大丈夫な微生物が優勢な環境におくことで旨味を増やし長期保存を可能とした。例:チーズ、味噌、甘酒など
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発酵
出典: フリー百科事典『ウィキペディア(Wikipedia)』 (2022/06/17 03:30 UTC 版)
茶葉中に含まれる酸化酵素の作用を利用してカテキン類を酸化発酵させる。実際には、気温25℃、湿度95%の部屋に2時間程度静置する。この際、茶葉は褐色に変化する。
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発酵
出典: フリー百科事典『ウィキペディア(Wikipedia)』 (2022/05/16 04:38 UTC 版)
「スコッチ・ウイスキー」の記事における「発酵」の解説
前述のように、1、2回目の仕込みで得られた麦汁は発酵(ファーメンテーション)の工程にかけられる。発酵とは麦汁に酵母を加え、濃度7%前後のエタノールを含む発酵もろみ(ウォッシュ)を作り出すことをいう。ウイスキー製造に適した酵母は数百種あるといわれ、一度に200kg近い量が使用される。発酵の工程に要する時間は48時間ないし70時間で、時間が長いほど発酵もろみの酸味が強くなる。 糖化の工程で得られた麦汁は、まず熱交換機(ヒートエクスチェンジャー、ワーツクーラー)を用いて20℃ほどに冷却される。次にウォッシュバック(発酵槽)と呼ばれる容量9000リットルないし45000リットルの容器に移され、酵母が加えられる。酵母が活動するのは1日から2日ほどの間である。伝統的な酵母はエールビールの醸造に使用されるエール酵母(ブリュワーズイースト)であるが、21世紀初頭においてはウイスキーの醸造向けに開発された酵母(ウイスキー酵母、ディスティラーズ・イースト)の使用が盛んで、さらに乾燥イーストや液状イーストの使用も増えつつある。酵母はエタノール以外にも様々なアルコールや酢酸エステル、エチルエステルなどのエステル、さらにはグリセロールを生成する。エステルは香りに、グリセロールは味に影響を与える。 2種類の酵母を添加して発酵を行うことを混合発酵という。ウイスキー酵母とエール酵母を使って混合発酵を行った場合、香味について相乗効果が得られることが判明している。エール酵母は単独で添加した場合には発酵終了直後に死滅するが、ウイスキー酵母と混合して添加した場合生存期間が長くなり、そのことによって香味が良化する。 前述のように麦汁に加えた酵母が活動するのは1日から2日ほどの間であるが、酵母と入れ替わるように活動を開始するのが乳酸菌である。つまり発酵の工程においては前期は酵母が、後期は乳酸菌が活発に活動するのである。古賀邦正は「ウイスキー造りにおける発酵とは、酵母と乳酸菌という微生物コンビが、香味豊かな発酵もろみをつくりあげている世界なのだ」と評している。乳酸菌は乳酸、エステル、フェノールを生成する。発酵にかける時間が長いほど発酵もろみの酸味が増すのは、酵母による発酵が不可能な非発酵性糖をもとに乳酸菌が乳酸を生成するためである。ウォッシュバックは木(具体的には南北アメリカ産、シベリア産のマツなど)製のものとステンレス製のものとに大別することができるが、木製のウォッシュバックでは乳酸菌が活動しやすい傾向にある(ただし木製のウォッシュバックには温度管理や清掃がしにくいという欠点もある)。木製からステンレス製への転換を図ったものの、風味に違いが出ることから断念したケースもある。
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発酵
出典: フリー百科事典『ウィキペディア(Wikipedia)』 (2022/05/21 14:18 UTC 版)
主として乳酸発酵を行うことで、乳酸酸性として雑菌の繁殖を抑制するとともに、独特の発酵香気を付与して風味を向上させる。主として発酵ソーセージにおいて行われる。
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発酵
出典: フリー百科事典『ウィキペディア(Wikipedia)』 (2021/10/23 14:36 UTC 版)
発酵に関与している乳酸菌は、Lactococcus lactis subsp. lactis , Leuconostoc citreum を主体として 30種類程度の菌が見つかったとする報告がある。また、この乳酸菌は使用するサツマイモと仕込み環境に由来しているため発酵が不安定になりやすいが、仕込み時に乳酸菌スターターを使用する事で解決可能である。デンプンはサツマイモ由来のβアミラーゼによりマルトースに変化し甘みを与えている。 そのまま飲むほか、砂糖や蜂蜜で甘味を加えたり、バナナやパッションフルーツなどの果実・果汁を加える人もいる。「米のヨーグルト」「第4の酒」と呼ばれることもあるが、アルコール発酵を伴う酵母は関与していないためアルコールは含まれていないまた、乳製品ではないため、乳アレルギーがある人などが、豆乳に奄美のミキを混合(3:1)して発酵させたものをヨーグルトの代用にすることも可能である
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「 発酵」の例文・使い方・用例・文例
- 酵母でビールは発酵する
- 大豆を発酵させた味噌で作ります。味噌をお湯で溶かし、その中に野菜や豆腐、海藻を入れます。
- 小売店で味噌のための発酵器が買える。
- 当研究所には発酵のメカニズムを研究対象とする専門部署があります。
- 発酵時間を設定
- 焼酎は、さつまいもを発酵して作られる。
- それは発酵させて抽出された物質です。
- それは大豆を発酵させて作ります
- イーストはビールを発酵させる。
- ブドウを発酵させる.
- イースト菌はまだ発酵し始めていない.
- みそは大豆を発酵させて作る.
- 好気性発酵
- 発酵することにより、アルコールにする
- 発酵をするようにさせる
- 発酵によりジュースをワインに変える
- 砂糖の誘導体または複合糖質を加水分解することにより、質素な溶解性で発酵性の砂糖に転換する
- モルトとホップをすりつぶしてゆでたものをイーストで発酵させることによって(ビールやエールのような)麦芽酒を生産すること
- 発酵過程の開始に用いられる、バターまたはチーズまたは生地を作る際に酸っぱくするイースト、バクテリアを含む培養組織
- 発酵または腐敗のにおいがする
発酵と同じ種類の言葉
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