ゲノムサイズ
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ゲノムサイズ
出典: フリー百科事典『ウィキペディア(Wikipedia)』 (2019/12/08 02:43 UTC 版)
原始生命体のゲノムサイズを考えるということは、そのまま『生命とは何か』という命題への証明に他ならない。つまり生命の有する最小のゲノムを考えるということである。原始生命体が『最小のゲノム』を有していたと決め付けるには早計といわざるを得ないが、系統樹上、根の深い生物群のゲノムは小さい傾向にある。 最小のゲノムを有する現存の生物は、ドメイン細菌のCandidatus Nasuia deltocephalinicola(ゲノムサイズは11万2091塩基対)である。この数字は既存の生物の中では桁違いに小さく、一部の葉緑体ゲノムよりも小さい。この生物はアブラムシの細胞内に共生、しかも世代を超えて垂直伝播することから、細胞小器官と細菌の境界に位置していると考えられる。代謝系の大部分を欠き、遺伝子関連の酵素も欠き始めている。 他の生物の細胞内に共生しているものを除いた自立している生物の中で最小のゲノムを持つ生物は、ナノ古細菌に属するNanoarchaeum equitans である(ゲノムサイズは49万塩基対)。この生物もクレン古細菌に属する超好熱菌 Ignicoccus hospitalisの細胞表面に付着して生活しており、厳密な意味で独立生活を送っているとは考えにくい。事実、アミノ酸、ヌクレオチド、脂質の代謝系のほとんどを欠いている。 また、完全独立生活を行なう生物で最小のゲノムを有するのは、ユーリ古細菌のMethanothermus fervidusである(ゲノムサイズは124万3342塩基対)。 Ca. N. deltocephalinicola などの細胞内寄生体を除くと、ドメイン細菌においてはマイコプラズマと言われる細胞壁を有しない特殊な微生物が最小のゲノムを有している(ゲノムサイズは56万塩基対)。こちらも独立生活を行なわず哺乳類の細胞内などに寄生し何らかの病症をホストに及ぼす。N. equitans ともに独立生活を行えないという点で厳密な意味での生命の定義から外れるが、単位膜系、代謝系、自己増殖能を持つという点では生命の定義には反しない。 また、代謝系から逆算して最低限のゲノムを類推することもなされているが、こちらは研究者によってまちまちで遺伝子数100〜300という結果が出ている。平均的な大きさの遺伝子は1000塩基対なので大体10万〜30万塩基対というところであり、N. equitans に近い値である。
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