十二魔将(マレブランケ)
出典: フリー百科事典『ウィキペディア(Wikipedia)』 (2022/04/08 09:52 UTC 版)
「トリニティセブン 7人の魔書使い」の記事における「十二魔将(マレブランケ)」の解説
メイラコーダ 通称は「荒ぶる大地の鋼」。専門術式は金剛術(アダマンタイト)。「書庫」は憤怒(イラ)で、テーマは無敵(インヴィクタ)。 十二魔将の盟主を務める人物であり、研究の果てに空っぽの巨大な全身鎧のみを肉体とするに至った魔道士。超硬度の魔道鉱物「金剛結晶(アダマス)」による武具の生成とその扱いを専門とする魔術を修め、一つ鍛えるにも相当な魔力と時間を必要とする金剛結晶製の武具を無数に所有する程の実力を有している。十二魔将となった詳細な経緯は不明だが、当初はディースに挑みかかっていた模様。 神曲門編序盤では、ラディックスより伝えられた大魔王の命令により、イーリアス断章の一人を賭けてアキオと交戦。真正面から全ての武具を破壊してみせた彼女に対して快く敗北を認め、イーリアス断章を解放すると共に同行していたオクトー共々地獄名物のロウリュでもてなした。その後、一連の動きに違和感を感じて訪れた魔王の本拠地にてアルバリシア及びグラフィアと相対するも、無尽蔵の吸収容量を得ていたグラフィアに飲み込まれる形で消滅した。 ディースが魔力体のみの姿で仮の復活を遂げた際、ダンテクロスを介して魔力を与えられたことで復活するも、同時に自我を奪われてただの傀儡と化す。指示を受けてアキオやリーゼらを襲撃するが、同時期にミラの手でディースの魔力体が撃破されたことも手伝って支配状態からは解放され、以降はアラタに助力した。 ルビーネ 通称は「狂える死の闇」。専門術式は闇夜術(ロード・オブ・ナイトメア)。「書庫」は憤怒(イラ)で、テーマは協調(アウクシリウム)。 十二魔将最強と謳われる、喪服を纏った女性魔道士。物理的・精神的なあらゆる“闇”から魔力を得る古代魔術を修め、魔道士の力の根源である「書庫」の基盤となる『七つの大罪』さえ己の糧とする為に、事実上無限の魔力を振るうことが出来る。本拠地は第八圏「悪意図書館(マリシャス・ライブラリー)」。 その正体は人間が魔物化した存在ではなく、“闇”の概念が協調のテーマを取得して人の姿で実体化したモノ。人であり闇でもある「闇の原罪」として、魔力と肉体が失われても完全消滅はしないという原則的に不滅の存在となっており、無限に死の神を使役する能力や神話武装ティルフィングなどを駆使して絶大な戦闘能力を発揮する。 戦闘自体に手は抜かないものの、強敵との戦闘を楽しむ人懐っこい性格であり、神曲門編序盤ではセリナを庇いながら自分と切り結んだアラタを気に入って、万全のコンディションに回復するまで自身の住処を休息用に供出した。その後、第七圏で集合した彼らに付いていくものの、再び始まった戦闘の折に置き去りにされた為、メイラコーダらと共に魔王の本拠地へと向かいアルバリシアと交戦。ディースの肉体を得ていたグラフィアに飲み込まれる形で消滅した。 ディースが仮の復活を遂げた際、他の十二魔将共々復活を果たすも、自我を奪われた傀儡と化してリリスらを襲撃。レヴィによって支配状態から解放されてからは、アラタとトリニティセブンの側について最後まで戦い抜いている。 アルバリシア 通称は「嘲る神の御手」。専門術式は天唱術(エンジェリック・フェザー)。「書庫」は強欲(アワリティア)で、テーマは成功(フラックス)。 十二魔将の副盟主を務める魔道士であり、本体を持たず記憶と意思、そして目的を気に入った体に継承し続けることである意味で真の不滅を獲得するに至った無形の魔道士にして堕天使。現在は、イーリアス断章たちの元々の所有者であったミナ・セイラームがアルバリシアに“成って”いる。 神曲門を訪れたアラタたちを転移の魔術によって分断し、彼女自身はリリス及びイリアと交戦。伝説の魔女とまで謳われ、書庫を問わず様々な魔術を使いこなしたミナの肉体を存分に活用して圧倒的な力を見せるも、魔王息女として新たな力を獲得したリリスに魔王因子を撃ち抜かれたことで敗北した。一度はミナの存在が復活した様に見せていたが、後にそれが偽装であったことが発覚し、魔王因子を有していた時点ではそちらを本体としてミナの体を乗っ取っていたものの、因子喪失後はミナそのものが新たなアルバリシアとなっていた事が明かされている。 18年前にディース・トリニティの殺害を企てたメンバーの一人で、事件後はディースの肉体を取り込んだ代償に自我を喪失したグラフィアを傀儡として操っていた。グラフィアを介して偽装した指示でラディックスを動かし、それらの事実を知って激昂した彼女を軽々とあしらって見せたが、そもそもディースがわざと殺害されていた事には気付いておらず、仮の復活を遂げた彼がひと睨みでグラフィアを下してみせた様子に恐怖を抱く。その後は再び彼の軍門に下りつつ自らが大魔王の座を掠め取るべく策謀を練るが、次元の果てでアラタとアリンを望郷図書館に閉じ込めた際にユイの介入を許し、最終的には彼女の限定版魔道極法によって無限の夢に幽閉される結末を迎えた。以降は、ユイの意思一つでミナの姿や魔力が一切使えないペンギンの姿などを与えられて現実世界に呼び出される生活を送っている。 自身を魔力体より希薄な聖霊体と化し、気に入った人間を天使化してそこに宿ることであらゆる魔術を“唱える”ため、ミナの肉体との相性は極めて良好。作中では、ソラと同じ高位の魔力砲撃や映晶術を使用しているほか、ユイの重唱術のコントロールを乗っ取って反撃すると言った芸当も披露している。天界に帰還することを目的としているような言動を見せており、その正体は堕天させられて天界を追放された元・天人。ただし、元・大魔公であったのかどうかは明言されていない。 ガトルホグ 通称は「引き裂く獰猛な牙」。専門術式は獣帝術。「書庫」は強欲(アワリティア)で、テーマは貪欲(クピディタース)。 元大魔公が堕天・魔族化した強大な魔道士であり、かつての名はマスター・ラフクティバ。リベルの知己であり、同じだけの永い時間を生きる彼女を友と呼んでいる。獅子の頭の獣人の姿をしているが、魔力を消耗した際には回復の為に人間時代の端正な顔立ちの青年の姿を取ることも。遥かな過去、「世界樹の巫女」ことセレスがディース・トリニティを封じる瞬間に居合わせていた。 かつて天界から堕とされたディースと地上の魔道士たちの間で大魔道大戦が勃発した際、体内に格納・召喚した魔獣軍を使役して魔王の軍勢と相対した伝説級の魔道士。魔王側が神曲門に封印されてから姿を消していたが、後に魔王の力に魅せられて堕天し、十二魔将の一員となっていたことが判明した。 アルバリシアらと共に、18年前のディース・トリニティ殺害に加担した内の一人。次元の果てへ飛ばされた魔王真核を入手すべく、その鍵となるアリンを手中に納めようと地上に現れるが、予め来訪を予知していたリベルによって聖とアナが待ち構えていたことで、彼女たちと交戦。かつてディースの配下として猛威を振るった戦獣王を含め、本体である己が無事である限り何度でも再生する魔獣軍を率いて圧倒的な実力差を見せ付けるも、二人に加えてアリンとアラタの魔力をも上乗せした限定版魔道極法に敗北し、リベルやアリンたちに激励の言葉を遺して消滅した。 神曲門編中盤で、ディースが仮の形で復活した際に他の十二魔将共々蘇生させられるも、自我を奪われた状態でアルバリシアに率いられて次元の果てでアラタたちに襲い掛かる。竜姫やユイの奮戦で支配状態から解放された礼として如何なる指示にも従うことを告げるも、友人関係の方が好ましいとする彼女達の意向に合わせ、友としてアラタの救出に力を貸すこととなった。アラタとディースの最終決戦では、「管理者」接続に辿り着いたアラタに助力してディースと相対している。 習得した獣帝術は最大666体の魔獣を体内に宿してその力を利用、或いは召喚する狂気の古代魔術であり、人々の畏怖の具現化にして「世界を滅ぼす獣」である戦獣王を従える為に500体分以上のキャパシティーを割いているものの、それでも残る魔獣軍は一体一体が高位魔道士が何とか倒せるかどうかという程の強さを誇る。加えて前述の様にガトルホグ自身が無事である限り魔獣は無限に再召喚され、彼が危機に陥った際には逆に魔獣の存在性を己に補填して命を繋ぐことが出来るため、総合的な戦闘能力は十二魔将の中でも指折りとなっている。 ファルファレア 通称は「嗤う悪魔の道化」。専門術式は聖語術(イーハ・トーヴェ)。「書庫」は嫉妬(インウィディア)で、テーマは幻想(リディカル)。 道化の仮面と黒衣に身を包み、錫杖を携えた魔道士。十二魔将の中でも特に実力が未知数とされており、元大魔公ではないがそれと同等の強大な魔力を有している。 アルバリシアらと共に、18年前のディース・トリニティ殺害に加担した内の一人。世界の認識を欺く程の強力な幻影魔術を操り、無数の錫杖の幻に実体を持たせてしまう程の力を持つものの、実はテーマが示す様に魔術ではなく肉体をこそ極限まで鍛え抜いて十二魔将屈指の体術を身に着けている。その為、レヴィをして苦戦する程の虚実入り乱れたトリッキーな戦闘を得意とする。 神曲門編序盤では、ガトルホグがアリンを強奪する邪魔をさせない為にミラとユイと交戦するも、魔術を解析されて深追いすることなく撤退。後に神曲門世界を訪れたアリンをレヴィの姿で出迎えるも、正体を看破したアリン及び本物のレヴィ、ユイと戦闘を繰り広げる事になる。ディース殺害の折に彼の魔力を得ていたことでトリニティセブン三名を相手に圧倒的な力を発揮したが、調子に乗って必要以上に大魔王の魔力を使ってしまったことで、内側から物理的に引き裂かれる形でディースの魔力体復活を招いてしまった。 他の十二魔将と共にディースの手で蘇生させられてからは、意思の無い傀儡としてリリスらを襲撃。実力を上げたルーグによって然程苦も無く撃破されるが、この際ディースによってそもそも元人間の魔道士でさえなく、身に着けていた仮面こそが本体の魔道具であり、道具に宿る仮初の生命だからこそ肉体を求め、肉体を極めた存在であったことが明かされた。最終決戦では、レヴィを主人として認めているような素振りを見せ、彼女とアラタの人使いが荒いことに文句を言いながらもディースとの戦いに助力している。 ドラグナッツォ 通称は「轟く壊滅の牙」。専門術式は竜操術(ドラゴン・オーブ)。「書庫」は嫉妬(インウィディア)で、テーマは興味(ストゥディウム)。 かつての名は、影魔忍軍の創設者にして竜姫や竜貴が使用する竜操術の始祖たる七宝行者。魔族化に伴って不滅竜の肉体を手にした女性魔道士であり、戦闘の際には多頭竜の姿に変化することも。 アルバリシアらと共に18年前のディース・トリニティ殺害に加担した内の一人だが、この際に負った負傷が他の者よりも酷かった為に魔力が枯渇寸前のドラゴンゾンビの様な姿になってしまっていた。本編の数年ほど前、彼女自身が己の血筋に伝え残していた秘術を使って神曲門の世界へ魂だけの存在となって訪れた竜貴を出迎え、その魔力を食らって傷を癒そうと試みたが、竜貴がレヴィの「神禍目」を奪っていたことで敢え無く失敗。己の死の可能性を可視化され、逆に彼女に殺害されて根こそぎ力を奪われ、消滅していた(詳しくは後述の果心竜貴の項目を参照)。 神曲門編中盤、仮の復活を果たしたディースによって十二魔将の面々が蘇生させられる中、彼女も全盛期の竜体を伴って復活したものの、彼女だけは最初から意思も理性も奪われたまま、最後まで自我を取り戻すことはなかった。アルバリシアに率いられて次元の果てで己の子孫である竜姫と交戦するも、ディースからの魔力供給が断たれた隙を狙ったムラサメの一撃によって次元ごと切り裂かれ、再び消滅することになる。アラタとディースの最終決戦では、「管理者」接続に辿り着いたアラタの魔力を供給されてルーグの有する「死竜の鱗」を触媒に二度目の復活を遂げるも、七宝行者としての意識を取り戻した描写はされていない。 始祖として彼女が編み出した竜操術は大自然の神羅万象を五行の龍脈の形で己の血に取り込んで生まれた専門術式であり、忍法術とはまた違ったアプローチを行う魔術だが、木火土金水の中でもその本質とされるのは次元の切断を可能とする「金」。習得の可否を血筋に依存する魔道であり、この魔術を扱えることそのまま七宝行者の血族であることを示している。 カグナッツォ 通称は「歪なる時の狭間」。専門術式は数秘術(ロゴス・アート)。「書庫」は怠惰(アケディア)で、テーマは停滞(スタグナ)。 元裁定者が堕天・魔族化した強大な魔道士であり、かつての名は数秘術の始祖たる大魔公マスター・ピュータゴラース。かつて自分自身で使役していた時空の狭間に生息する異形の「猟犬」のボスである、封印指定魔獣ティンダロスの一体をそのまま魔族としての肉体として利用しているが、作中では二次元的にデフォルメされたケルベロスのアイコンの姿を取ったことも。人間としての姿は、(全盛期であれば)筋骨隆々の老爺。神話武装Dáinsleifの使い手であったことが語られている。 大魔道大戦では裁定者としてディース・トリニティに立ち向かっており、自らが編み出した魔道極法「時空裂界」によって彼に痛打を浴びせ、自らは代償として展開された“超高速の時空間”から脱出出来なくなったと伝えられていた。どの様にして代償から抜け出したのかは不明だが、一度は神曲門の最奥に封じた大魔王を今度こそ完全消滅させるべく、リビックと共に堕天して十二魔将の一人となり、機会を伺っていた。18年前のディース殺害では実行組としての関与こそしていないが、計画の立案には携わっている模様。 神曲門編にてミリオーネを撃破したリーゼとセリナの前に姿を現すも、リーゼがアラタと共同開発した魔術を使用した際に大魔王と似通う魔力構成を感じ取り、計測外であるアラタとディースの関係性を鑑みてその場は撤退を選択。その後、状況の再計測が必要であるとの判断から一度集合したアラタたちを転移によって再度分断し、リーゼやアキオといった一部の人間を自分の時空間に匿うと同時に観察を続けていた。またこの時、リーゼと共にアーシャを呼び寄せてミラの指南役を依頼しており、魔力体として仮の復活を遂げていたディースに英雄候補として覚醒を果たした彼女をぶつけることで、これを撃破せしめている。 ディース・トリニティが完全復活した際には、リビックと協力して初手から強力な一撃を見舞っているが、逆に彼の魔王図書館を傷付けてしまったことで真っ先に魔力の収奪先として狙われることとなった。最終的には「管理者」接続に到達したアラタによって全盛期の力を取り戻し、彼に助力して勝利の手助けをすると共に、己の計測を超越して勝利を手にしたアラタに驚く様子を見せた。 本編序盤で登場した永劫図書館の製作者であり、時空概念から外れてあらゆる過去や未来を“在った”ことにするこの地によって、己の子孫でもあり、時空の修正に伴って消滅した筈の少女のアリエスは再び存在を取り戻すこととなった。派生作品「リーゼ・クロニクル」では、セリナを生かす為に研究を重ねて神曲門への接続を成し遂げたリーゼの前に姿を現し、彼女に数秘術の深奥を刻んでその動向を見守っていたことが明かされている。 ミリオーネ 通称は「藻掻き苦しめる汀」。専門術式は呪水術(カース・ファウンテン)。「書庫」は怠惰(アケディア)で、テーマは節度(モデレイティオ)、定着(フィキシング)。 露出度の高い服装の人間の女性の上半身と、巨大な口腔と魔力を捕食する機能を備えた大蛇の群れで構成された下半身を持つ魔道士であり、かつて魔族化によって強大な力を手に入れ、自らに歯向かった七つの王国を滅ぼした伝説を持つ「水の大幻魔」。動植物のみならず建物や土地すらも食らい尽くした、災厄級の存在の内の一体とされる。下半身は伝承におけるラミアのようにスリムな蛇の下半身へと変えることも出来、のちにそのまま下半身を二本足へと戻した人間形態も披露している。 少女の魔力と存在を食らうのを好んでおり、アラタの魔力が回復するまでルビーネの屋敷に逗留する筈だったセリナを捕食目的で誘拐した。魔力を食らい、肉体を食べ始めようかとしたところで怠惰の魔人と化したリーゼの横槍を受け、人間の身でありながら自分以上に深く魔道を研究した彼女によって完膚なきまで敗北した。この際、リーゼとセリナが共に放った魔術によって時空の果てに放逐されているが、カグナッツォの登場に巻き込まれる形で無事に帰還を果たしており、以降は保身の為にリーゼにゴマをするようになっている。 神曲門編中盤では、グラフィアとルビーネの戦闘に巻き込まれる形で敢え無く吸収され、消滅。その後仮の復活を果たしたディースによってダンテクロスの力で蘇生させられこそしたが、何故か他の面々と違って魔力の供給も自我の支配もされることなく忘れ去られていた為、リーゼとアキオを襲撃する際には彼女たちに脅される形で呆気なく味方にさせられている。それでも宣言通りにグラフィアの一撃からセリナとオクトーを守ったことで、リーゼからは見直される事になった。最終決戦では、ディースが魔王図書館に宿した十二魔将の力が己のそれよりも強力なことを憤るが、「管理者」接続に到達したアラタの魔力供給によって強大な力を得て、彼と共に戦い勝利に貢献している。 修めた魔道は生命の根源である水、そして再生の象徴である蛇を軸にした「四大元素:水」の高位魔術。水や毒、血液などを幅広く司るが、彼女の場合はもっぱら魔力の捕食と食らった生命を己の“生命数”に変換することを基本戦術としている。これまで捕食した全ての命の数だけ殺されても生き返ることから無限の命を持つと自称していたが、リーゼが己を無限に殺し得ると悟った時点で速やかに白旗を揚げた。尚、派生作品「リーゼ・クロニクル」では彼女直属の配下として「邪なる水女のレイミア」が登場しているが、幼くして魔道の才能を芽生えさせたリーゼに撃破されており、奇しくも主従揃って同じ様な運命を辿っている。 リビック 通称は「昏き滅びの風」。専門術式は錬金術(アウター・アルケミック)。「書庫」は色欲(ルクスリア)で、テーマは生命(アビエス)。 元裁定者が堕天・魔族化した強大な魔道士であり、かつての名は錬金術の始祖たる大魔公マスター・ホーエンハイム。リリスが所有する魔道書「ヘルメス外典」の執筆者でもある。魔族としての異形も当然有しているが、作中では人間時代そのままの姿しか見せていない絶世の美女であり、大魔王のお気に入り。魔道極法「無限絶界」を編み出した延長で異界「悠久図書館」をも創造しており、小説版第二巻及び劇場版第一弾で地上に表出したそれとは別に、神曲門内部にも本拠地として同名の図書館を築いている。 かつて裁定者としてディース・トリニティと相対するも完全消滅には至らなかった為、同じ裁定者のピュータゴラース(=カグナッツォ)と共にその地位を捨てて堕天し、十二魔将となって大魔王を弑逆する機会を伺っていた。18年前のディース殺害では、実行犯の一人として参加している。神曲門の世界では第七圏「暴力者の圏」を統治しており、神曲門に潜ったり次元を超えて訪れたものの地上へ戻ることが叶わなくなった人間の魔道士たちの為の生活圏を用意していたが、彼らは物語中盤で仮の復活を遂げたディースによって魔力餌として捕食されてしまうこととなった。 小説版第一巻に登場した人造魔王ラスト・トリニティの創造主でもある為、本編では地上で覚醒し撃破された個体と経験を共有した同型機の彼を伴って登場。ラストにリリスを狙わせてアラタと交戦するように仕向けるも、彼が自身の魔力に呑まれていた状態から持ち直して大魔公時代の己の力を支配してのけたのを確認してあっさりと前言を撤回し、大魔王討伐の為に試していたことを告白した。自分たちが一度は殺害した大魔王が完全には滅びていない事実を明かし、新たな大魔王の器たり得るアラタに現状を伝える役割を担った。 ディースが仮の形で復活を遂げてからは、彼をアラタに三日間の猶予を与える気にさせたリリムを労い、以降は己の居城に帰還する彼に付き従う。一度は覚醒したミラと戦った彼が消滅させられるのを黙って見送るも、グラフィアの内から今度こそ完全体として蘇ったディース相手にはカグナッツォと共に苛烈な攻撃を敢行。それ自体は決定打にこそならなかったが、以降も彼の攻撃に対してトリニティセブンらを守る等の行動を見せ、遂にはアラタがディースに勝利して大魔王の座を継ぐまで、全面的にアラタたちの側に立ち続けた。 錬金術の始祖としての力は凄まじく、堕天前の時点でさえ時の最果てから未来の科学技術に類するものを入手して、異界を構築してのけている。それらの完成形の一つが下記の人造魔王「ラスト・トリニティ」であり、魔王が魔王たる所以となる魔王因子こそ創造出来なかったものの、魔王に匹敵する力を持った器として彼を作り上げている。尚、当初は男性と思われる描写がされていたものの、後にそれが彼女自身が神曲門に赴く際に自身の記録を抹消したことが原因だったことが判明した。ラスト・トリニティ 声 - 島﨑信長 専門術式は創造主であるリビックと同じ錬金術(アウター・アルケミック)。「書庫」は色欲(ルクスリア)で、テーマは安息(スィレオ)。 「悠久図書館」と共に眠っていた、「白の魔王」の青年。錬金術の始祖・ホーエンハイムによって造られた人造生命(ホムンクルス)にして人造魔王であり、その構成材料は錬金術の悲願とも言われる「生命の水(アクア・ウイタエ)」。容貌に関しては、リビックの趣味が盛り込まれて端正な顔立ちとなっている。 人造人間創造の究極として人の手で魔王を生み出すべく造られた存在であるが、本質的には単一の存在ではなく、撃破される度に同型機の内の一体が経験を引き継いで活動を再開し続ける特徴を有している。この為、小説版及び劇場版で登場したのはどちらかと言えば長らく放置されていた状況に近い個体だったが、その経験は本体と呼べる神曲門世界でリビックに仕えていた始祖型(プロトタイプ)の彼の側にもきちんと共有された。その甲斐もあって、彼の実力は真に魔王に迫る程のものとなっている(尚、体のストックについては現時点でも百体分ほど存在する模様)。 魔王因子を持たない魔王候補とでも言うべき存在で、魔王因子を取り込む器のみが完璧に機能しているが為に、地上で封印されていた個体はアナスタシアの干渉によって目覚めた後、他者の魔道を模倣する能力を以てアラタから魔王因子を強奪するに至った。彼そのものは程なくして撃破されたものの、この経験を引き継いだ始祖型の個体は己の得物として白黒反転した魔王兵器ジュデッカのレプリカを己の錬金術のみで構築する程の能力を獲得している。 ディース・トリニティに単独で挑める程の力は持っていなかったが、それでも主の悲願を叶えるべく、最終決戦では駆け付けたアビィスと共にアラタに助太刀した。二種類の魔力体と本体の三位一体(トリニティ)となって戦うディースに対抗すべく、アラタが身に纏う外套となって彼と一体化し、同じくカイーナの姿を取ったアビィスと共に三位一体を成してディース打倒を成し遂げている。 ハックレスパー 通称は「踏みにじる狂気の大樹」。専門術式は植霊術(ワンダー・フォレスト)。「書庫」は色欲(ルクスリア)で、テーマは起源(オリゴ)。 巨大なトレントの様な姿をした魔道士だが、その正体は人間ではなく歳月を経た大樹が魔族化してテーマを手に入れた存在。当初は凶悪な性格だったが、更に長い時間を過ごす中で冷静さを身に付け、森の大賢者と呼ばれていた時期もあった模様。それでも多くの血肉を食らった事実は変わらなかった為、最終的には魔物としての本能に支配されてより多くの良質な血肉を求めて神曲門世界に訪れていた。 本編ではアリキノと共にミラとユイを襲撃するが、その無欲さ故に空間中から無尽蔵に魔力を得ていたユイによって文字通り瞬殺され、消滅した。その後、ディースが仮の形で復活した際に彼によって蘇生させられるも、自我を封じられた傀儡としてリーゼやアキオを襲撃。実力を上げていた二人によってあっさりと倒されるが、この際に一度死亡していた事で取り戻していた理性を見せ、粗暴な姿しか知らなかったミリオーネを驚かせている。その後は受けた恩を返すべくリーゼたちに助力し、アラタとディースの最終決戦でも最後まで味方として戦った。 植物系の魔術を修め、森そのものの操作や毒の花の創造、蔓を鞭のように振るっての戦闘など様々なことが出来るようだが、本編では特に描かれていない。 グラフィア 通称は「虚ろな影の衣」。専門術式は滅世術(アバドーン)。「書庫」は暴食(グラ)で、テーマは意志(ウォルンタス)。 漆黒の甲冑にボロボロの黒いマントを纏った出で立ちの魔道士で、前述のメイラコーダ同様に甲冑そのものが本体となっている存在。寡黙ではあるが、非常に仲間想いであったことが語られている。 18年前のディース殺害に加担した一人であるが、その理由も野心ではなく仲間を守るためであった。ディースが計画通りに死亡した際に己の魔術で彼の肉体を吸収しているが、それによって無限の吸収容量を得た代わりに自我を喪失し、以降はアルバリシアの意思で動く傀儡となっている。 ディースの肉体を得ていたことから、ラディックスに対してディースの肉声を再現してアルバリシアの指示を伝えることで彼女を操っていたが、後に弑逆の事実を知って激昂する彼女に対して操られるままに労いの言葉と攻撃を向けた。「本気で戦って貰う約束を邪魔された」としてルビーネとも敵対・交戦するが、鎧の内から大魔王の肉体を表出させてその無限のキャパシティーによって“闇”そのものである彼女を吸収し、ついでとしてメイラコーダとミリオーネも飲み込んでいる。 ファルファレアの内から仮の復活を果たしたディースへとアルバリシアの指示で攻撃するも、そもそも18年前の敗北と死亡がわざとだと知らなかった為に呆気なく敗北。間を置かずディースの手によって蘇生させられるが、この時“大魔王の肉体”を持った彼に“大魔王の魔力”が注がれていた事から、傀儡としてアキオたちを襲撃した際、鎧を内側から砕くようにディース・トリニティの完全体が復活する為の礎となった。 最終決戦では、降り注ぐ魔王図書館の攻撃からアルバリシアを庇うべく、兜だけの姿で砲撃との間に割り込む姿を見せた。この際、ラディックスからは特にアルバリシアを大切に想って傍らにあり、彼女の為に全力を尽くしていただろう事が明かされた。終盤でアラタが「管理者」接続に辿り着いた際には、彼の魔力供給によって全盛期の姿を取り戻し、無口なままながらも彼に助力している。 他者の生命力や魔力を吸収して自分のものとする古代魔術を修めており、その中でも高位の使い手である為取り込んだディースの能力を魔力不足ではあっても使いこなしていた。本来は如何に十二魔将クラスと言えどその吸収には限界があったが、大魔王の肉体を飲み込んだことその制限を取り払っている。 アリキノ 通称は「怒れる無情の孤狼」。専門術式は飢食術(フューリー・バイト)。「書庫」は暴食(グラ)で、テーマは信頼(フォードゥーキア)。 体格の良い二足歩行の狼の様な姿をした魔道士で、その正体はただの人間ではなく人狼族の魔道士だった青年がより大きな力を求めて魔族化した存在。魔物と化した具体的な時期は明らかにされていないが、強大な力を求めて神曲門を訪れ、幾度となく勝利や敗北を積み重ねた果てに十二魔将となるも、その激しい戦いの日々の中で自分のことも他者のことも見失う程に理性が摩耗していた。 本編ではハックレスパーと共にミラとユイを襲撃するが、その無欲さ故に空間中から無尽蔵に魔力を得ていたユイによって文字通り瞬殺され、消滅した。その後、ディースが仮の形で復活した際に彼によって蘇生させられるも、自我を封じられた傀儡としてリーゼやアキオを襲撃。実力を上げていた二人によってあっさりと倒されるが、この際に一度死亡していた事で取り戻していた理性を見せ、粗暴な姿しか知らなかったミリオーネを驚かせている。その後は受けた恩を返すべくリーゼたちに助力し、アラタとディースの最終決戦でも最後まで味方として戦った。 自身を魔獣化する自己強化系の魔術の中でも高位の古代魔道を修めているが、現在の姿が魔族化前から専門術式によって変身していたそれだったのかは不明となっている。
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