ウイルス ウイルスの概要

ウイルス

出典: フリー百科事典『ウィキペディア(Wikipedia)』 (2022/12/21 17:04 UTC 版)

ウイルス
ロタウイルスCG再現画像
分類
階級なし : ウイルス
下位分類[1][2]

一般的には「ウイルスは生物ではない」とされるが、フランス進化生物学者パトリック・フォルテールのように、生物に含める見解もある。ウイルスが宿主に感染した状態(ヴァイロセル、virocell)を本来の姿と捉えれば生物のようにふるまっていること、ミミウイルスのように多数の遺伝子を持った巨大なウイルスもあることなどを理由としている[5]

ウイルスを生命体と見なせば、その数や多様性は地球上で最も多く(みなさない場合、個体数は微生物、種類は甲虫類が最も多い)、メタゲノム解析の実用化により様々な環境にウイルスが見つかっている。宿主に残ったウイルス由来の遺伝子が生物進化に関わったり[6]、地球の生態系気候にも影響を与えたりしている。動物や植物のほかほぼ全ての生物に特有のウイルスが存在する[7]ヒトを含めた動植物に感染症など疾病を引き起こすウイルスは一部であるが[8]、発見・分析されていないウイルスが野生鳥獣を宿主とするものだけで170万種あり、その半数が人獣共通感染症病原体になるリスクがあると推計されている[9]


注釈

  1. ^ 日本細菌学会が意訳。中国語に取り入れられ、現在でも使用されている。
  2. ^ 労働安全衛生規則(昭和四十七年労働省令第三十二号)第61条第1項第1号”. e-Gov法令検索. 総務省行政管理局. 2019年12月17日閲覧。に「病毒伝ぱのおそれのある伝染性の疾病にかかった者」とあるが、この場合の伝染性疾患とは結核を指すとされている(労働安全衛生規則等の一部を改正する省令の施行について 平成12年3月30日・基発第207号より)。すなわち、この場合の病毒はウイルスではなく、細菌である結核菌を指す。

出典

  1. ^ Virus Taxonomy: 2021 Release”. International Committee on Taxonomy of Viruses (ICTV). 2022年4月19日閲覧。
  2. ^ 「国際ウイルス分類委員会の新しい分類体系(「ICTV New Taxonomy Release(2019)」)で提唱された目より上位の分類(2020年3月承認)」神谷茂 監修、錫谷達夫・松本哲哉 編『標準微生物学 第14版』付録:表 27-4、医学書院、2021年(2022年4月19日閲覧)
  3. ^ a b 辻野 2010, p. 63.
  4. ^ 森安史典『あなたの医学書 C型肝炎・肝がん』(誠文堂新光社、2009年)17ページ ISBN 978-4-416-80933-4
  5. ^ パトリック・フォルテ―ルはパスツール研究所及びパリ=サクレ大学名誉教授。インタビュー記事「ウイルスは生命体」『朝日新聞』GLOBE(朝刊別刷り)233号/2020年9月6日付【特集】世界はウイルスに満ちている(7面)による。
  6. ^ 中屋敷均 2016, p. 136-137.
  7. ^ a b c d e f g h i j k l 見えざるウイルスの世界 (PDF) 東京大学医学部東京大学医学部附属病院 健康と医学の博物館(2021年8月22日閲覧)
  8. ^ 山内一也:病気を引き起こすのは「氷山の一角」『朝日新聞』GLOBE(朝刊別刷り)233号/2020年9月6日付【特集】世界はウイルスに満ちている(3面)
  9. ^ 国際組織「生物多様性および生態系サービスに関する政府間科学政策プラットフォーム」(IPBES)による。【環境】パンデミックを防ぐため、世界的な自然保護政策を、報告書/哺乳類や鳥類に未知のウイルスは推定170万種、うち85万が人間に感染する恐れ ナショナルジオグラフィック日本語サイト(2020年11月4 日)2021年6月24日閲覧
  10. ^ Definition of "virus" > Translations for 'virus' (Collins English Dictionary)
  11. ^ William T. Stearn: Botanical Latin. History, Grammar, Syntax, Terminology and Vocabulary. Third edition, David & Charles, 1983. 「Virus: virus (s.n. II), gen. sing. viri, nom. pl. vira, gen. pl. vīrorum (to be distinguished from virorum, of men).」
  12. ^ Pons: virus
  13. ^ e.g. Michael Worboys: Cambridge History of Medicine: Spreading Germs: Disease Theories and Medical Practice in Britain, 1865-1900, Cambridge University Press, 2000, p. 204
  14. ^ e.g. Karsten Buschard & Rikke Thon: Diabetic Animal Models. In: Handbook of Laboratory Animal Science. Second Edition. Volume II: Animal Models, edited by Jann Hau & Gerald L. Van Hoosier Jr., CRC Press, 2003, p.163 & 166
  15. ^ 『文章表現辞典』(東京堂出版、1965年)p.48
  16. ^ 野田省吾「学術集談会演説要旨」『実験医学雑誌』1937年 21巻 4号 pp.385-388, doi:10.3412/jsb1917.21.4_38
  17. ^ 遠藤保太郎「植物のヷイラス病」『蠶絲學雜誌』7(3): 195-207(1935), hdl:10091/6066
  18. ^ 深井孝之助,土佐英輔,西義美「インフルエンザ・ヴイールスの赤血球による收着」『VIRUS.』1951年 1巻 2号 pp.135-140, doi:10.2222/jsv1951.1.135
  19. ^ 波多野基一「日本脳炎ウイールスの赤血球凝集反応 (第1報)」『VIRUS.』1952年 2巻 3号 pp.187-194, doi:10.2222/jsv1951.2.187
  20. ^ 田久保茂樹,川久保義典「家兎ニヨル發疹チフス病毒ノ實驗的研究」『細菌學雜誌』1930年 1930巻 416号 pp.643-652, doi:10.14828/jsb1895.1930.643
  21. ^ 日本ウイルス学会について”. 日本ウイルス学会ホームページ. 2020年4月6日閲覧。
  22. ^ 日本植物病理学会編 (1995). 植物病理学事典. 養賢堂. p. 91 
  23. ^ マシューズ、ホルダ、アハーン『カラー生化学』(西村書店刊、2003年5月15日発行)16ページ
  24. ^ a b c 細菌とウイルスとの違い? - 東邦微生物病研究所
  25. ^ Krupovic M, Koonin EV (February 2015). "Polintons: a hotbed of eukaryotic virus, transposon and plasmid evolution". Nat Rev Microbiol. 13 (2): 105–115. doi:10.1038/nrmicro3389. PMC 5898198. PMID 25534808. 2020年6月10日閲覧
  26. ^ 加藤茂孝『人類と感染症の歴史 未知なる恐怖を越えて』(丸善出版 平成25年3月30日発行)p.4
  27. ^ Wendell M. Stanley - Facts”. NobelPrize.org. 2020年4月6日閲覧。
  28. ^ ハーシーとチェイスの実験”. 生物分子科学科 > 高校生のための科学用語集 > 生物用語. 東邦大学理学部. 2013年5月19日時点のオリジナルよりアーカイブ。2020年4月6日閲覧。
  29. ^ 驚異のウイルスたち(3)「巨大」出現 新生命体へ進化?多数の遺伝子 揺らぐ定義日本経済新聞』朝刊2020年6月7日(サイエンス面)2020年6月10日閲覧
  30. ^ Coronavirus Resource Center” (英語). Harvard Health (2020年2月28日). 2022年6月12日閲覧。
  31. ^ 日本ウイルス療法学会が発足、理事長は東大医科研の藤堂具紀教授」日経バイオテク(2022年10月31日)2022年11月26日閲覧
  32. ^ 中屋敷均 2016, pp. 27–30.






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