がん遺伝子とは? わかりやすく解説

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がん‐いでんし〔‐ヰデンシ〕【×癌遺伝子】

読み方:がんいでんし

細胞癌化関与する遺伝子。正常細胞存在するが、通常発現抑えられていると考えられている。また、癌化作用するウイルスの遺伝子をいう。


がん遺伝子

ある遺伝子突然変異などにより活性化されることががんの発症関連している場合、その遺伝子はがん遺伝子と呼ばれる活性化されない状態での本来の機能は、増殖因子やその受容体細胞内でのシグナル伝達などであることが多い。逆に、ある遺伝子不活性化されることががんの発症関連している場合、その遺伝子がん抑制遺伝子呼ばれるがん抑制遺伝子の本来の機能は、細胞増殖制御関連していることが多い。

がん遺伝子

遺伝子作られ蛋白質細胞がん化する場合、これをがん遺伝子といいます細胞中には20種類近いがん遺伝子が存在します


がん遺伝子

出典: フリー百科事典『ウィキペディア(Wikipedia)』 (2021/08/31 00:04 UTC 版)

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がん遺伝子(がんいでんし、oncogene)とは、ある正常な遺伝子が修飾を受けて発現・構造・機能に異常をきたし、その結果、正常細胞のがん化を引き起こすようなもののことをいう。このとき、修飾を受ける前の遺伝子がん原遺伝子 (proto-oncogene) と呼ぶ。

1911年に、ペイトン・ラウスにより、ニワトリに癌(肉腫)を発生させるウイルスが発見され、発見者の名をとりRous=ラウス肉腫ウイルスレトロウイルス)と命名された。その後の研究により、このウイルスには、自身の増殖に関する遺伝子以外に、細胞を癌化に導く遺伝子が存在することが判明した。その遺伝子こそが、世界で初めて発見された、がん遺伝子=Src(Sarcoma〔肉腫〕の意味)と呼ばれるものである。

がん遺伝子には、細胞増殖因子やその受容体チロシンキナーゼsrcのような非受容体型チロシンキナーゼ、ras(rat sarcomaの意味)のような低分子量Gタンパク質、その下流にあるセリン・スレオニンキナーゼといったシグナル伝達因子の他、さらに下流で機能するmycetsなどの転写因子が含まれる。

がん原遺伝子

がん原遺伝子はシグナル伝達を引き起こす遺伝子であり、通常は翻訳されたタンパク質を介して細胞分裂のシグナルの引き金を引く。遺伝子が活性化されると、遺伝子自身あるいは翻訳タンパク質は悪性腫瘍誘導因子がん遺伝子になる。

活性化

がん原遺伝子はもともとの機能から比較的小さな機能変異によりがん遺伝子となる。

  • がん原遺伝子の介する細胞分裂はタンパク質構造の変化により引き起こされる。それによって
  • タンパク質濃度が増加する。そのことによって、
    • (調節不能の為)タンパク質の発現量が増大する。
    • 細胞内でタンパク質の安定性や存在する寿命そしてタンパク質の活性が増大する。
    • 遺伝子の複製。個々の複製が働くために、細胞中の機能タンパク質が倍増する。

がん遺伝子

成長因子

成長因子 (Growth factors) は普通、少数の特別な細胞から分泌され、自身や別の細胞の細胞増殖を誘導する。通常は成長因子を産出しない細胞が(がん遺伝子の働きにより)突然その因子を産出し始めると、近傍の細胞が増殖するのと同様に、自分自身をコントロールされていない細胞増殖 (autocrine loop) に導くことになる。

プロテインキナーゼと関連タンパク質

がん遺伝子になるプロテインキナーゼ (Protein kinase) および関連タンパク質は6つの種別が知られている。

  1. チロシンキナーゼ受容体、例えば上皮成長因子受容体 (Epidermal Growth Factor Receptor; EGFR), platelet-derived growth factor receptor (PDGFR), vascular endothelial growth factor receptor (VEGFR),といった受容体ががん遺伝子により構造的(永続的)に活性化状態になる。
  2. 細胞内チロシンキナーゼ (Cytoplasmic tyrosine kinases) 具体的にはSrc-family, Syk-ZAP-70 family そして BTK family のチロシンキナーゼ。
  3. 調節性GTPases 例えば、Ras proteinなど。
  4. 細胞内セリン/スレオニンキナーゼとそれらの調節サブユニット例えば、Raf kinaseや(過剰発現した)cyclin-dependent kinases。
  5. シグナル伝達系のアダプタータンパク質 (Adaptor proteins)
  6. 転写因子 (Transcription factors)

関連項目


がん遺伝子

出典: フリー百科事典『ウィキペディア(Wikipedia)』 (2022/07/06 23:14 UTC 版)

融合遺伝子」の記事における「がん遺伝子」の解説

遺伝子融合腫瘍形成重要な役割果たしていることは、30年上前から知られている。融合遺伝子は非融合遺伝子よりも活性の高い異常なタンパク質産生する場合があり、こうした過剰な活性腫瘍形成寄与する融合遺伝子多く場合、がんを引き起こすがん遺伝子であり、BCR-ABL、TEL-AML1(t(12;21)転座有するALL)、AML1-ETO(t(8;21)転座有するM2 AML)、TMPRSS2-ERG(前立腺がん多く生じ21番染色体中間部欠失)などがある。TMPRSS2-ERGの場合発がん性ETS転写因子英語版)によってアンドロゲン受容体発現阻害されシグナル伝達破壊されることで、前立腺がん寄与する融合遺伝子大部分血液のがん肉腫前立腺がんから見つかったのである。BCAM-AKT2は高異型度漿液卵巣がん特異的な融合遺伝子である。 発がん性融合遺伝子は、もともとの2つ遺伝子とは異な新たな機能を持つ遺伝子産物もたらす可能性がある。また、がん原遺伝子強力なプロモーター融合し強力なプロモーターによるアップレギュレーションのために発がん性機能生じ場合もある。後者ケース悪性リンパ腫一般的であり、がん遺伝子は免疫グロブリン遺伝子プロモーター隣接して位置することで強力なアップレギュレーションが行われる。発がん性融合転写産物は、トランススプライシング転写終結シグナル読み過ごしによって生じ可能性もある。 このように染色体転座新生物において大きな役割果たしているため、がんでみられる染色体異常遺伝子融合に関する専門的なデータベース作成されている。このデータベースは"Mitelman Database of Chromosome Aberrations and Gene Fusions in Cancer"と呼ばれている。

※この「がん遺伝子」の解説は、「融合遺伝子」の解説の一部です。
「がん遺伝子」を含む「融合遺伝子」の記事については、「融合遺伝子」の概要を参照ください。

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