腫瘍形成
出典: フリー百科事典『ウィキペディア(Wikipedia)』 (2022/06/12 23:39 UTC 版)
マウスモデルでは、MRN複合体のNbs1サブユニットの変異単独ではヒトのNBSと類似した表現型が引き起こされるものの、腫瘍形成は引き起こされない。しかしながら、Nbs1の変異とp53のヌル変異を抱えるダブルノックアウトマウスでは、p53野生型対照群と比較して腫瘍の発生が有意に早まる。このことは、Nbs1の変異自体が腫瘍形成に十分であることを示唆しており、対照群で悪性腫瘍がみられないのはNbs1の変異が良性であるためではなく、p53の活性によるものであることを示唆しているようである。継続研究では、Nbs1変異型p53抑制マウスにおいてB細胞型とT細胞型のリンパ腫の増加が確認され、NBS患者で高頻度でみられるリンパ腫形成におけるp53不活性化の役割の可能性が示唆された。さまざまなヒトがん細胞株において、MRE11のノックダウンによってp16INK4aがん抑制タンパク質レベルの3倍の増加がみられる。p16INK4aは細胞老化を誘導し、腫瘍細胞の増殖を停止させることができ、このp16INK4aレベルの変化には主にp16INK4プロモーターのメチル化状態が影響していると考えられている。これらのデータはMRN複合体の完全性と正常な発現レベルの維持が腫瘍形成に対して保護的な効果をもたらすことを示唆している。
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