バングラデシュ 国民

バングラデシュ

出典: フリー百科事典『ウィキペディア(Wikipedia)』 (2020/10/01 22:05 UTC 版)

国民

人口

バングラデシュは、シンガポールバーレーンなどの面積の小さい国を除くと世界で最も人口密度の高い国である。1平方キロメートルあたりの人口は2012年現在で1173人になり、しばしばインドネシアのジャワ島と比較される。人口爆発が社会問題となり、政府は1992年より、人口調節を推進して人口の増加を抑えようとしており、一定の成果を上げつつある。1992年に4.18あった合計特殊出生率は2001年には2.56に、2011年には2.11まで低下している。[34][35]

人口増加率は独立当初3.4%(1975年)だったが、2.02%(1995年)、2.056%(2007年推計)、1.26%(2008/2009年)と急激に減少してきている。近年は南アジアでも人口増加率は最低水準にある。[36][37]

住民

98%がベンガル人。その他、en:Stranded Pakistanisチャクマ族英語版マルマ族英語版、Tipperas、トンチョンギャ族英語版、Mros、en:Mughal tribe、Sylheti、en:Kurukh peopleen:Khasi peoplebn:খুমিガロ族、টিপরা、bn:পাংখো、পাংগোন、মগ、en:Meitei peoplebn:মুরংbn:রাজবংশীen:Santali peoplebn:হাজংen:Rakhine peopleen:Magh peopleトリプラ族英語版bn:কুকি (উপজাতি)bn:চক (জাতিগোষ্ঠী)bn:হাদুইbn:লুসাইbn:হদিbn:বাওয়ালীbn:বনযোগীbn:মৌয়ালী

言語

ベンガル語公用語である。文字はデーヴァナーガリーに似たベンガル文字を用いる。ベンガル語に加え、英語も官公庁教育機関で使用されており事実上の公用語である。住民はベンガル語話者であるベンガル人がほとんどで、人口の98%を占めている。その他に、ウルドゥー語を話す、ビハール州などインド各地を出身とする非ベンガル人ムスリムが2%を占める。他に、南東部のチッタゴン丘陵地帯にはジュマと総称される10以上のモンゴロイド先住民族が存在する。ジュマの総人口は100万人から150万人とされる。

宗教

イスラム教のバイトゥル・ムカロム英語版

イスラム教が89.7%、ヒンドゥー教が9.2%、その他が1%である。その他の宗教には仏教キリスト教などが含まれる。バングラデシュはイスラム教徒が多数派であるが、ヒンドゥー教徒の人口割合もかなり高く、両者はおおむね平和的に共存している。また、パハルプールの仏教寺院遺跡群に見られるように、以前は、仏教が大いに栄えていたため、現在でも、一部の地域では、仏教が信仰されている。どの宗教を信仰しているかという点も重要だが、それ以上に、同じベンガル民族であるという意識の方が重要視され、両者は尊重しあっている。このような意識はインド側の西ベンガル州でも同様に見られる。

一方でイスラーム過激派も活動しており[38]、2016年のダッカ・レストラン襲撃人質テロ事件では日本人も死亡した。また、イスラム教の少数派で構成されるアフマディー教団の信者が10万人ほど存在するが、この信者らは多くの主流派イスラム教徒から「異端者」と見做されており、現在も攻撃の標的となっている為に対立した状態が続いている。2020年7月9日墓地に葬られた生後3日の女児の遺体が、アフマディー教徒の家族の元で生まれたということを理由に「イスラム教徒の墓地に埋葬することは、シャリアに反する」として埋葬から数時間後に掘り起こされて道端に放置される出来事が起きており、ソーシャルメディア上で物議を醸している[39]

婚姻

婚姻時に改姓する女性(夫婦同姓)もいればそうしない女性(夫婦別姓)もいる[40]

衛生状態

国民の大多数は土地を所有せず、あるいは洪水の危険が高い低湿地に住んでおり、衛生状態は極めて悪い[41]。このため、を媒介として、コレラ赤痢といった感染症の流行が度々発生している。こうした状況を改善するため、国際機関が活動を行っている。特に飲用水の衛生状態の改善のため、井戸の整備を独立後に進めてきたが、多くの井戸が元来地層中に存在したヒ素に高濃度に汚染され、新たな問題となっている。全土の44%、5300万人が発癌を含むヒ素中毒の危険に晒されていると考えられている[42]

教育

1990年代に確立した現在の教育制度は初等教育(小学校)5年、中等教育(中学校)5年(前期3年、中期2年)、後期中等教育(高校)2年の5-5-2制である。初等教育及び中等教育は毎年行われる学年末試験に合格しないと進級できない。8年生(中等教育前期3年)を修了すると文科系と理科系、商業系に進路が振り分けられる。また10年生(中等教育中期2年)を修了した者は1回目の国家統一試験SSC(Secondary School Certificate)が受験でき、合格すると後期高等教育への入学資格が取得できる。ここで2年間教育を受け修了した者は、2回目の国家統一試験HSC(Higher Secondary Certificate)を受験でき、これに合格すると大学入学資格が取得できる。この二つの試験の試験成績は履歴書に一生書かなければならず人生をも左右するため、現在のバングラディシュは超学歴社会となっている。

進学識字率は57.7%(2011年)。義務教育は小学校5年のみである。就学率は2000年には95%に達し、それにつれて識字率も徐々に上昇してきたものの、児童の中退率が3割に達し、また授業や教育環境の質が低く児童の学力が向上しないなどの問題がある。




  1. ^ バングラデシュ人民共和国基礎データ”. 外務省. 2018年11月5日閲覧。
  2. ^ a b c d e World Economic Outlook Database, April 2014”. IMF (2014年4月). 2014年9月28日閲覧。
  3. ^ ムガル帝国の時代には経済的に一番豊かな州の一つであり、イギリスによる植民地支配期には英領インドで最も早く西欧文化の影響を受け、西欧化・近代化の先頭に立っていた地域である。(中里成章「新しい国の古い歴史」/大橋正明・村山真弓編著『バングラデシュを知るための60章【第2版】』明石書店 2009年 20ページ)
  4. ^ 農村の国であり、2000年の統計では全人口の75%が農村で暮らしている。(長畑誠「農村の貧困問題」/大橋正明・村山真弓編著『バングラデシュを知るための60章【第2版】』明石書店 2009年 222ページ)
  5. ^ “バングラで多国間PKO演習 自衛隊から4人が参加”. 朝雲新聞. (2012年2月9日). http://www.asagumo-news.com/news/201202/120214/12021405.html 2012年2月9日閲覧。 
  6. ^ “非常任理事国の選挙、日本を支持…バングラ首相”. 読売新聞. (2014年9月6日). http://www.yomiuri.co.jp/politics/20140906-OYT1T50124.html 2014年9月7日閲覧。 
  7. ^ 国連安保理非常任理事国選挙 我が国の過去の選挙結果(外務省)
  8. ^ 清水憲司 (2014年5月27日). “バングラデシュ首相:日の丸参考に国旗…親日アピール”. 毎日新聞. http://mainichi.jp/select/news/20140528k0000m030031000c.html 2014年5月29日閲覧。 
  9. ^ 1204年、トルコ系ムスリム奇襲によってムスリム王権が成立した
  10. ^ 臼田雅之「イスラーム教徒が増えた時期」/ 『バングラデシュを知るための60章』[第2版] 28ページ
  11. ^ 臼田雅之「イスラーム教徒がふえた時期」/ 大橋正明ほか 28-29ページ
  12. ^ 中里成章「新しい国の古い歴史」(参考文献『バングラデシュを知るための60章』[第2版]22ページ
  13. ^ a b 佐藤宏「議会制民主油主義のゆくえ」/ 大橋正明、村山真弓『バングラデシュを知るための60章』[第2版] 明石書店 2009年 40ページ
  14. ^ バングラデシュ基礎データ-日本国外務省
  15. ^ BNP=1991〜1996年、AL=1996〜2001年、BNP=2001〜2006年
  16. ^ 佐藤宏「議会制民主油主義のゆくえ」/ 大島正明ほか 41ページ
  17. ^ 暴力団や学生組織(BNP系の民族主義学生等:JCD、アワミ連盟系のバングラデシュ学生連盟:BCL、イスラーム党系のイスラーム学生戦線:JCS)佐藤宏「議会制民主油主義のゆくえ」/ 大島正明ほか 43ページ
  18. ^ NHKBS1「ワールドWaveトゥナイト」 2011年11月18日放送
  19. ^ ベンガルデルタとは、ガンジス(ポッダ)川、ブラフマプトラ(ジョムナ)川、メグナ川の3大河川の堆積作用によってできた大地である。
  20. ^ ベンガル低地、東西約400km、南北約560kmの広がり、標高は北部で40〜50m、南部で2〜3m、洪積台地と沖積低地に大きく分けられ、台地は中央部や北西部に広がっている、首都ダッカは台地の南端に位置する。台地と低地の高低差はおよそ10メートル以下である。畑作が中心で、水田は浅い谷部分に分布する。(大橋正明、村山真弓『バングラデシュを知るための60章』[第2版] 明石書店 2009年 44〜45ページ)
  21. ^ 大橋正明、村山真弓『バングラデシュを知るための60章』[第2版] 明石書店 2009年 44ページ
  22. ^ 地図が創る未来”. 独立行政法人国際協力機構. 2017年10月10日閲覧閲覧。
  23. ^ 後発開発途上国”. 外務省. 2020年3月8日閲覧。
  24. ^ アジア開発銀行 Poverty in Asia and the Pacific: An Update Archived 2015年3月18日, at the Wayback Machine.
  25. ^ バングラデシュ”. JICA. 2020年3月8日閲覧。
  26. ^ 大橋正明、村山真弓編著、2003年8月8日初版第1刷、『バングラデシュを知るための60章』p40-41、明石書店
  27. ^ バングラデシュにおける二輪車新工場の稼働を開始本田技研工業ニュースリリース(2018年11月11日)2018年11月23日閲覧。
  28. ^ 「バングラ、台頭する造船業 船舶解体業が材料供給」『日本経済新聞』電子版(2012年4月20日)2018年11月23日閲覧。
  29. ^ バングラデシュ基礎データ 二国間関係 5在日当該国人数”. 外務省. 2020年3月8日閲覧。
  30. ^ [Statistical Yearbook of Bangladesh ]Bangladesh Bureau of Statistics 2012
  31. ^ 「船の墓場:南アジア」”. Global News View (GNV). 2018年5月3日閲覧。
  32. ^ 松澤猛男「天然ガスと電力」/大橋正明、村山真弓『バングラデシュを知るための60章』[第2版] 明石書店 2009年 133-134ページ
  33. ^ 里見駿介「リキシャからジャンボ機まで」/大橋正明、村山真弓『バングラデシュを知るための60章』[第2版] 明石書店 2009年 137ページ
  34. ^ 臼田雅之「イスラーム教徒がふえた時期」/ 大橋正明・村山真弓編著『バングラデシュを知るための60章 [第2版]』 明石書店 2009年 27ページ
  35. ^ [Statistical Yearbook of Bangladesh ]Bangladesh Bureau of Statistics 2012
  36. ^ 国勢調査、1974年7130万人、1981年8994万人、1991年1憶799万人、2001年1億2925万人、(臼田雅之「イスラーム教徒がふえた時期」/ 参考文献『バングラデシュを知るための60章』[第2版] 27ページ)
  37. ^ Report for Celected Countries and Subjects”. international monetary found. 2020年3月8日閲覧。
  38. ^ 「イスラム過激派指導者を射殺=邦人死亡テロ犯に影響か-バングラ」フランス通信社時事通信(2018年11月6日)2018年11月23日閲覧。
  39. ^ 生後3日の女児の遺体、墓から掘り出され路上に放置 バングラ”. AFPBB News (2020年7月12日). 2020年7月13日閲覧。
  40. ^ Bangladeshi Culture、Cultural Atlas.
  41. ^ Report: Flooded Future: Global vulnerability to sea level rise worse than previously understood” (英語). climatecentral.org (2019年10月29日). 2019年11月4日閲覧。
  42. ^ 藤井 孝文, モハマド マスド・カリム、「バングラディシュの地下水ヒ素汚染について」、『水工学論文集』Vol. 42 (1998) P 397-402
  43. ^ 世界で一番米を食べるのはバングラデシュ、日本は50番目”. TRIP ADVISOR (2015年4月9日). 2020年3月8日閲覧。





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