ヴァナキュラー建築
出典: フリー百科事典『ウィキペディア(Wikipedia)』 (2025/03/08 23:55 UTC 版)

ヴァナキュラー建築(ヴァナキュラーけんちく 英: Vernacular architecture)とは、気候や立地、そこに住む人々の活動といった風土に応じて造られる住居や施設。日本では一般的に民家のニュアンスで捉えられる。
概説
「vernacular」とは「その土地固有の」、「土着の」、あるいは「風土的」という意味である。1964年にバーナード・ルドフスキーが著した『建築家なしの建築』("Architecture without Architects")によってヴァナキュラー建築の概念は関心を集めた[1]。ルドフスキーは職業的デザイナーである建築家によって建てられたハイスタイルな建築物を系図的にたどることで語られてきた建築史に対して、それまで無視されてきた無名の工匠たちによって造られた風土的建築物を紹介することで、建築芸術の新たな研究対象を提示した。
ヴァナキュラー建築は、それぞれの地域で産出する建材を使用して、その土地の気候にあったデザインを考慮して作られる点で、建築部材の全てが工場で生産され、現場で組み立てるだけの近代的な商業建築との大きな違いがある。また、ヴァナキュラー建築の世界では、長年繰り返された選択の蓄積として生まれた建築に必要なルールや知恵の多くは口伝や暗黙知として継承される[2]。その知恵の体系は地域技術として普及し、それぞれの地域に同じような形態の建物が建てられ、風土色のある集落を形成している。中国の古典的建築書『営造法式』など、ヴァナキュラー建築の知識が建築書として明文化されている例もある[3]。
脚注
出典
参考文献
- 布野修司 著「建築家なしの世界:原初の建築」、traverse編集委員会 編『建築学のすすめ』昭和堂、2015年。ISBN 978-4812215135。
- エイモス・ラポポート 著、大野隆造、横山ゆりか 訳『文化・建築・環境デザイン』彰国社、2008年。 ISBN 9784395051014。
外部リンク
- Introduction - Vernacular Architecture and Landscape Architecture Resource Guide - Library Guides at UC Berkeley
- ヴァナキュラー(文=原田裕規)|美術手帖
- Centre for Vernacular Architecture-Bangalore-India - ウェイバックマシン(2025年2月26日アーカイブ分)
- Vernacular Architecture Forum
- Vernacular Architecture Examples at GreatBuildings - ウェイバックマシン(2009年7月7日アーカイブ分)
- Himalayan Vernacular Architecture - ウェイバックマシン(2025年1月23日アーカイブ分) - Technische Universität Berlin
ヴァナキュラー建築
出典: フリー百科事典『ウィキペディア(Wikipedia)』 (2020/12/30 17:17 UTC 版)
「ヴァナキュラー文化」の記事における「ヴァナキュラー建築」の解説
ヴァナキュラー建築 (vernacular architecture) は、名のある建築家が作る建築物とは異なる、その土地の風土に根差した庶民の建築物、1964年にバーナード・ルドフスキーが「建築家のいない建築物」(Architecture without Architects) と語ったものであり、例えば日本の豪雪地帯、白川郷・五箇山の合掌造りや、暑さ寒さの厳しいアメリカ大平原地帯に住む先住民族のアドビ建築などをみればわかりやすい。その土地の風土にしっかりと密着した建築様式である。 「ヴァナキュラー建築」も参照
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