原田裕規
出典: フリー百科事典『ウィキペディア(Wikipedia)』 (2025/10/25 20:46 UTC 版)
原田 裕規(はらだ ゆうき、1989年〈平成元年〉10月15日[1] - )は、日本のアーティスト[2]。
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       原田裕規
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| 生誕 | 1989年10月15日(36歳) 山口県 | 
| 国籍 | 日本 | 
| 公式サイト | https://www.haradayuki.com/ | 
概要
1989年、山口県生まれ[3]。岩国市・広島市育ち[4]。2013年、武蔵野美術大学造形学部芸術文化学科卒業[2]。2016年、東京藝術大学大学院美術研究科修士課程先端芸術表現専攻修了。2019年以降は断続的にハワイに滞在[5]。
人物
2012年、武蔵野美術大学在学中に「ラッセン展」や「心霊写真展」を企画、議論喚起型のプロジェクトから活動を開始した[6]。
24時間にわたり写真を見続ける「One Million Seeings」、33時間にわたり生き物の声を朗読し続ける「Waiting for」など、長尺の映像作品を発表している[7]。
2022年以降は、広島や山口からハワイに渡った日系アメリカ人の混成文化を題材にした作品「シャドーイング」に取り組む[8]。
2023年にTERRADA ART AWARD 2023でファイナリストに選出、審査員賞(神谷幸江賞)を受賞[9]。2024年に日本ハワイ移民資料館に初の現代美術コレクションとして「シャドーイング」が収蔵・常設化。2025年にCAF・レジデンシー・プログラムの第1回助成対象者に選出。
個展[2]
- 「シャドーイング」(山口情報芸術センター[YCAM]、2025年)
- 「夢と影」(ANOMALY、2025年)
- 「原田裕規:ホーム・ポート」(広島市現代美術館、2024年)
- 「残照」(KEN NAKAHASHI、2024年)
- 「公開制作vol.4 原田裕規 ドリームスケープ」(長野県立美術館、2024年)
- 「やっぱり世の中で一ばんえらいのが人間のようでごいす」(日本ハワイ移民資料館、2023年)
- 「KAATアトリウム映像プロジェクト」(KAAT 神奈川芸術劇場、2023年)
- 「Shadowing」(THE POOL、2022年)
- 「Waiting for」(KEN NAKAHASHI、2022年)
- 「どこかで?ゲンビ ビデオアート編 原田裕規」(広島市現代美術館・鶴見分室101、2022年)
- 「Unreal Ecology」(京都芸術センター、2022年)
- 「アペルト14 原田裕規 Waiting for」(金沢21世紀美術館、2021年)
- 「One Million Seeings」(KEN NAKAHASHI、2019年)
- 「写真の壁:Photography Wall」(原爆の図 丸木美術館、2019年)
- 「心霊写真 / マツド」(山下ビル、2018年)
- 「心霊写真 / ニュージャージー」(Kanzan Gallery、2018年)
パブリックコレクション[2]
- 金沢21世紀美術館、石川
- 京都国立近代美術館、京都
- 東京都写真美術館、東京
- 広島市現代美術館、広島
- 日本ハワイ移民資料館、山口
- 熊本市現代美術館、熊本
刊行物
- 作品集『原田裕規:ドリームスケープ』this and that、2025年
- 作品集『シャドーイング:影を追う旅』this and that、2025年
- 作品集『原田裕規:ホーム・ポート』フィルムアート社、2025年
- 編著『ラッセンとは何だったのか?[増補改訂版]』フィルムアート社、2024年
- 単著『評伝クリスチャン・ラッセン 日本に愛された画家』中央公論新社、2023年
- 単著『とるにたらない美術 ラッセン、心霊写真、レンダリング・ポルノ』ケンエレブックス、2023年
- アートワーク『広告 Vol.414(特集:著作)』博報堂、2020年
- 編著『ラッセンとは何だったのか? 消費とアートを越えた「先」』フィルムアート社、2013年
篠田節子への問題提起
篠田節子の小説『青の純度』(集英社、2025年)について、原田は共同通信に書評[10]を寄稿し、自身のウェブサイトでもコメント[11]を発表した。
書評やコメントの中で原田は、小説に登場する「マリンアートの巨匠ヴァレーズ」がクリスチャン・ラッセンをモデルにしたものであると指摘。さらに「ヴァレーズの作品を商法と切り離して再評価する」書籍を著そうとする主人公と自身の立ち位置が重なっている点、「インテリア絵画として美術業界には黙殺され、評論家からはけなされるどころかまったく相手にされず、その一方で圧倒的な大衆的知名度を獲得していたヴァレーズ」[12]といったフレーズが自著のそれと酷似していることなどを指摘した。
また『青の純度』には参考文献リストが掲載されているものの、原田がラッセンについて著してきた著作群(『ラッセンとは何だったのか?』『評伝クリスチャン・ラッセン』『とるにたらない美術』など)の情報が「周到に排除されていた」ことを疑問視。同書の物語を構成するアイデアの多くがこれらの著作の内容に基づいているにもかかわらず、その情報源が記されておらず、本書のレビューでは篠田の「リサーチ力」に対する賛辞のコメントが寄せられている状況に対して、ベストセラー作家とマイナージャンルの書き手という力関係の中で起きた搾取なのではないかと指摘した。
この問題提起を受け、Tokyo Art Beatが集英社に質問状を送付したところ、締切日を経過した後に電話上で「回答をしない」との連絡が行われた[13]。その後、集英社から原田に対しては「篠田氏が『ラッセンとは何だったのか?』を図書館で借りた事実はあるものの、内容を読まずに返却したため、参照はしていない」との回答が行われた[14]。さらに同社はウェブサイト上で、篠田は原田の著作を読んでおらず、同書は「独自に取材した内容」に基づいて執筆されたものであると釈明[15]、それに対して原田は「到底受け入れられず、誠意の感じられない内容に感じました(原文ママ)」[16]と応答している。
脚注
- ^ “原田裕規”. 2024年3月10日閲覧。
- ^ a b c d “原田 裕規 About”. 原田裕規. 2024年3月10日閲覧。
- ^ “原田裕規 個展のお知らせ”. 日本ハワイ移民資料館. 2024年3月15日閲覧。
- ^ ““原田裕規 個展「やっぱり世の中で一ばんえらいのが人間のようでごいす」:2023年|美術館・アート情報 artscape”. 美術館・アート情報 artscape”. 2024年3月15日閲覧。
- ^ “原田裕規 個展「やっぱり世の中で一ばんえらいのが人間のようでごいす」:2023年|美術館・アート情報 artscape”. 美術館・アート情報 artscape. 2023年11月6日閲覧。
- ^ “「写真とは、彼岸にある道具。 近い感覚で言うと『心霊写真』」 写真表現の拡張を試みる 原田裕規に中尾拓哉が訊く”. 美術手帖. 2024年3月10日閲覧。
- ^ 『美術手帖 vol.74 no.1093』美術出版社、2022年3月7日、140頁。
- ^ “オバケだから言えること。塚本麻莉評「原田裕規個展 Shadowing」”. 美術手帖. 2024年3月10日閲覧。
- ^ “「TERRADA ART AWARD 2023」、ファイナリストへ授与する審査員賞が決定」『寺田倉庫』2024.1.10”. 2024年3月15日閲覧。
- ^ “【BOOK】絵画の疑念、物語に昇華 「青の純度」篠田節子著(原田裕規/アーティスト)”. 静岡新聞DIGITAL Web. 静岡新聞社 (2025年10月6日). 2025年10月26日閲覧。
- ^ “小説『青の純度』の書評を執筆”. Yuki Harada (2025年10月16日). 2025年10月26日閲覧。
- ^ 『青の純度』集英社、2025年7月4日、10頁。
- ^ “【追記あり】アーティスト原田裕規が篠田節子の小説『青の純度』の書評で、自著の「ラッセン本」との類似を指摘。「願わくば適切な手続きのもとで記されてほしい」”. Tokyo Art Beat. 2025年10月26日閲覧。
- ^ “原田裕規”. X (2025年10月24日). 2025年10月26日閲覧。
- ^ “弊社刊『青の純度』につきまして”. 集英社 文芸ステーション. 集英社. 2025年10月26日閲覧。
- ^ “原田裕規”. X (2025年10月24日). 2025年10月26日閲覧。
外部リンク
- 公式ウェブサイト
- 原田裕規 (@haradayuki2) - X
- ARTISTS 原田裕規(ウェブ版 美術手帖)
- 原田裕規のページへのリンク

 
                             
                    



