原田裕規とは? わかりやすく解説

Weblio 辞書 > 辞書・百科事典 > 百科事典 > 原田裕規の意味・解説 

原田裕規

出典: フリー百科事典『ウィキペディア(Wikipedia)』 (2025/11/09 17:22 UTC 版)

原田 裕規(はらだ ゆうき、1989年平成元年〉10月15日[1] - )は、日本アーティスト[2]

原田 はらだ 裕規 ゆうき
生誕 (1989-10-15) 1989年10月15日(36歳)
日本山口県
国籍 日本
出身校
東京藝術大学大学院美術研究科修士課程先端芸術表現専攻 修了
武蔵野美術大学造形学部芸術文化学科 卒業
代表作 『ラッセンとは何だったのか?』
『One Million Seeings』
『シャドーイング』
受賞 TERRADA ART AWARD 2023
2023年 ファイナリスト・審査員賞受賞
公式サイト https://www.haradayuki.com/
テンプレートを表示

概要

1989年山口県生まれ[3]岩国市広島市育ち[4]。2013年、武蔵野美術大学造形学部芸術文化学科卒業[2]。2016年、東京藝術大学大学院美術研究科修士課程先端芸術表現専攻修了。2019年以降は断続的にハワイに滞在[5]

来歴

2012年、武蔵野美術大学在学中に「ラッセン展」や「心霊写真展」を企画し、議論喚起型のプロジェクトから活動を開始した[6]。2013年に編著『ラッセンとは何だったのか?』(フィルムアート社)が刊行。

24時間にわたり写真を見続ける「One Million Seeings」、33時間にわたり生き物の声を朗読し続ける「Waiting for」など、長尺の映像作品を発表している[7]。2022年以降は、広島や山口からハワイに渡った日系アメリカ人の混成文化を題材にした作品「シャドーイング」に取り組む[8]

2021年、金沢21世紀美術館で個展「アペルト14 原田裕規 Waiting for」を開催[9]

2023年、日本ハワイ移民資料館で個展を開催[10]。同年、1,000組以上の作家の中からTERRADA ART AWARD 2023のファイナリストに選出、審査員賞(神谷幸江賞)を受賞[11]。同年、単著『とるにたらない美術』(ケンエレブックス)、『評伝クリスチャン・ラッセン』(中央公論新社)が刊行。

2024年、日本ハワイ移民資料館に初の現代美術コレクションとして作品が収蔵・常設化。同年、長野県立美術館で個展とキュレーション展を同時開催[12][13]。同年から2025年にかけて、広島市現代美術館で特別展「原田裕規:ホーム・ポート」を開催[14][15]

2025年、作品集『原田裕規:ホーム・ポート』(フィルムアート社)が刊行[16]。同年、CAF・レジデンシー・プログラムの第1回助成対象アーティストに選出され、ニューヨークへの派遣が決まる[17]

『青の純度』をめぐって

2025年、篠田節子の小説『青の純度』(集英社)について共同通信に書評[18]を寄稿し、自身のウェブサイトでコメント[19]を発表した。その中で、作中の「マリンアートの巨匠」がクリスチャン・ラッセンをモデルにしていると指摘。さらにその内容の一部がラッセンに関する自身の著作群と類似しているが、参考文献リストにはそれらが挙げられていない点を疑問視した。

これを受けてTokyo Art Beatが集英社に取材を行ったが、同社は「回答をしない」と返答[20]。その後、集英社からは「篠田が原田の書籍を図書館で借りた事実はあるが、読まずに返却したため参照していない」[21]「(同作は)独自に取材した内容」「(書評は)大変遺憾」[22] との声明が出されたが、原田は「到底受け入れられない」とし[23]、SNSには集英社の対応に対して批判が寄せられた。[24][25][26][27]

個展[2]

  • 「シャドーイング」(山口情報芸術センター[YCAM]、2025年)
  • 「夢と影」(ANOMALY、2025年)
  • 「原田裕規:ホーム・ポート」(広島市現代美術館、2024年)
  • 「残照」(KEN NAKAHASHI、2024年)
  • 「公開制作vol.4 原田裕規 ドリームスケープ」(長野県立美術館、2024年)
  • 「やっぱり世の中で一ばんえらいのが人間のようでごいす」(日本ハワイ移民資料館、2023年)
  • 「KAATアトリウム映像プロジェクト」(KAAT 神奈川芸術劇場、2023年)
  • 「Shadowing」(THE POOL、2022年)
  • 「Waiting for」(KEN NAKAHASHI、2022年)
  • 「どこかで?ゲンビ ビデオアート編 原田裕規」(広島市現代美術館・鶴見分室101、2022年)
  • 「Unreal Ecology」(京都芸術センター、2022年)
  • 「アペルト14 原田裕規 Waiting for」(金沢21世紀美術館、2021年)
  • 「One Million Seeings」(KEN NAKAHASHI、2019年)
  • 「写真の壁:Photography Wall」(原爆の図 丸木美術館、2019年)
  • 「心霊写真 / マツド」(山下ビル、2018年)
  • 「心霊写真 / ニュージャージー」(Kanzan Gallery、2018年)

パブリックコレクション[2]

  • 金沢21世紀美術館、石川
  • 京都国立近代美術館、京都
  • 東京都写真美術館、東京
  • 広島市現代美術館、広島
  • 日本ハワイ移民資料館、山口
  • 熊本市現代美術館、熊本

刊行物

脚注

  1. ^ 原田裕規”. 2024年3月10日閲覧。
  2. ^ a b c d 原田 裕規 About”. 原田裕規. 2024年3月10日閲覧。
  3. ^ 原田裕規 個展のお知らせ”. 日本ハワイ移民資料館. 2024年3月15日閲覧。
  4. ^ “原田裕規 個展「やっぱり世の中で一ばんえらいのが人間のようでごいす」:2023年|美術館・アート情報 artscape”. 美術館・アート情報 artscape”. 2024年3月15日閲覧。
  5. ^ 原田裕規 個展「やっぱり世の中で一ばんえらいのが人間のようでごいす」:2023年|美術館・アート情報 artscape”. 美術館・アート情報 artscape. 2023年11月6日閲覧。
  6. ^ 「写真とは、彼岸にある道具。 近い感覚で言うと『心霊写真』」 写真表現の拡張を試みる 原田裕規に中尾拓哉が訊く”. 美術手帖. 2024年3月10日閲覧。
  7. ^ 『美術手帖 vol.74 no.1093』美術出版社、2022年3月7日、140頁。 
  8. ^ オバケだから言えること。塚本麻莉評「原田裕規個展 Shadowing」”. 美術手帖. 2024年3月10日閲覧。
  9. ^ アペルト14 原田裕規「Waiting for」”. 金沢21世紀美術館. 金沢21世紀美術館. 2025年11月9日閲覧。
  10. ^ 原田裕規が日本ハワイ移民資料館で個展を開催へ。「ハワイ移民」テーマに新作展示”. 美術手帖. 美術出版社 (2023年6月8日). 2025年11月9日閲覧。
  11. ^ 「TERRADA ART AWARD 2023」、ファイナリストへ授与する審査員賞が決定」『寺田倉庫』2024.1.10”. 2024年3月15日閲覧。
  12. ^ NAMコレクション2024 第Ⅲ期 もうひとつの風景”. 長野県立美術館. 長野県立美術館. 2025年11月9日閲覧。
  13. ^ 公開制作vol.4 原田裕規 ドリームスケープ”. 長野県立美術館. 長野県立美術館. 2025年11月9日閲覧。
  14. ^ 原田裕規の個展が広島市現代美術館で、自身の身体性に向きあう映像作品&CGによる“現代の風景画”一堂に”. FASHION PRESS. カーリン (2024年11月19日). 2025年11月9日閲覧。
  15. ^ 原田裕規:ホーム・ポート”. 広島市現代美術館. 広島市現代美術館. 2025年11月9日閲覧。
  16. ^ 原田裕規:ホーム・ポート”. フィルムアート社. フィルムアート社. 2025年11月9日閲覧。
  17. ^ 「CAF・レジデンシー・プログラム2025」の助成対象者に中島伽耶子、原田裕規らが決定”. 美術手帖. 美術出版社 (2025年7月18日). 2025年11月2日閲覧。
  18. ^ 【BOOK】絵画の疑念、物語に昇華 「青の純度」篠田節子著(原田裕規/アーティスト)”. 静岡新聞DIGITAL Web. 静岡新聞社 (2025年10月6日). 2025年10月26日閲覧。
  19. ^ 小説『青の純度』の書評を執筆”. Yuki Harada (2025年10月16日). 2025年10月26日閲覧。
  20. ^ 【追記あり】アーティスト原田裕規が篠田節子の小説『青の純度』の書評で、自著の「ラッセン本」との類似を指摘。「願わくば適切な手続きのもとで記されてほしい」”. Tokyo Art Beat. 2025年10月26日閲覧。
  21. ^ 集英社からの「お知らせ」について”. Yuki Harada (2025年10月24日). 2025年10月26日閲覧。
  22. ^ 弊社刊『青の純度』につきまして”. 集英社 文芸ステーション. 集英社. 2025年10月26日閲覧。
  23. ^ 原田裕規”. X (2025年10月24日). 2025年10月26日閲覧。
  24. ^ ラッセン研究家・原田裕規氏が篠田節子小説に類似指摘 集英社「借りたが読まず」と反論”. X (2025年10月25日). 2025年11月2日閲覧。
  25. ^ ラッセン研究で知られるアーティストの原田裕規が、直木賞作家・篠田節子『青の純度』(集英社)に自著との類似を指摘。集英社が反論コメントを出すも「失望した」「不誠実では」などの声が広がる”. posfie (2025年10月28日). 2025年11月2日閲覧。
  26. ^ 小説『青の純度』を巡る騒動について集英社がコメントを発表したが、その内容に「文壇言論」と疑問の声”. Togetter (2025年10月25日). 2025年11月2日閲覧。
  27. ^ ラッセンをモデルにした直木賞作家による小説の内容について、ラッセン研究を重ねるアーティストが自著との類似を指摘…「小説家による物語の収奪では」「訴えられるリスクを考えてか」などの声”. Togetter (2025年10月19日). 2025年11月2日閲覧。

外部リンク




英和和英テキスト翻訳>> Weblio翻訳
英語⇒日本語日本語⇒英語
  
  •  原田裕規のページへのリンク

辞書ショートカット

すべての辞書の索引

「原田裕規」の関連用語

原田裕規のお隣キーワード
検索ランキング

   

英語⇒日本語
日本語⇒英語
   



原田裕規のページの著作権
Weblio 辞書 情報提供元は 参加元一覧 にて確認できます。

   
ウィキペディアウィキペディア
All text is available under the terms of the GNU Free Documentation License.
この記事は、ウィキペディアの原田裕規 (改訂履歴)の記事を複製、再配布したものにあたり、GNU Free Documentation Licenseというライセンスの下で提供されています。 Weblio辞書に掲載されているウィキペディアの記事も、全てGNU Free Documentation Licenseの元に提供されております。

©2025 GRAS Group, Inc.RSS