オーケストラ
出典: フリー百科事典『ウィキペディア(Wikipedia)』 (2024/04/12 05:29 UTC 版)
概要
現在では、ロマン派音楽の頃に多かったオーケストラ編成が「標準的な編成」とされている。古典的な作品の演奏ではこれよりも若干小規模となり、それに対し近代的な作品の演奏ではより大規模なオーケストラとなる場合がある。これらの編成は、主要な管楽器の員数によって二管編成、三管編成、四管編成などと呼ぶ。団体としてのオーケストラの構成員の数は様々なので、団体と作品によっては通常の団員に加えて臨時参加の奏者を加えて演奏することもある。
→#編成
なお、演奏の質が高く評価されているオーケストラは主にプロフェッショナルのオーケストラであるが(→#評価)、それ以外にアマチュア・オーケストラも存在している。
「Orchestra オーケストラ」という語の歴史
「Orchestra」は、古代ギリシアのギリシャ語のオルケーストラ(ορχηστρα)に由来する[2]。これは舞台と観客席の間の半円形のスペースを指しており[2]、(そこにコロス(合唱隊。[注釈 1])が配置され)、舞踊、器楽、合唱などが行われた[2]。
近代になり、「Orchestra」は劇場の平土間席(1階の舞台正面の席)の呼称になった[2]。また、オペラの上演などでは、舞台と観客席の間で奏する器楽奏者のグループも「Orchestra」と呼ばれるようになった[2]。
さらに時代が下ると、器楽奏者のグループがオペラから独立して演奏する場合でも「Orchestra」と呼ばれるようになった[2]。
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古代ギリシアの劇場のオルケストラ。この図ではOrquestraと書かれている。舞台と観客席の間の部分。
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近代になり、オペラの舞台と観客席の間で演奏する器楽奏者のグループも「オーケストラ」と呼ばれるようになった。
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現代のオーケストラ。この写真ではステージ上におり、主要な存在である。
種類と名称
- 英語のSymphony orchestra シンフォニー・オーケストラ、ドイツ語のSymphoniker は日本語では「交響楽団」と訳される(シカゴ交響楽団、ウィーン交響楽団など)。
- 英語のPhilharmonic orchestra、ドイツ語の Philharmoniker、Philharmonie は日本語では「フィルハーモニー管弦楽団」と訳される(ベルリン・フィルハーモニー管弦楽団など)。Philharmonic は「音楽を愛好する」という意味のギリシャ語に由来している。なお英語圏でもPhilharmonicなどのみで「orchestra」含まない名称の管弦楽団も多数存在する(ニューヨーク・フィルハーモニックなど)。
- ロシアや日本では両者が混合した「フィルハーモニー交響楽団」という名称もある(サンクトペテルブルク・フィルハーモニー交響楽団、大阪フィルハーモニー交響楽団など)。
- ドイツ圏ではkapelleを名称末尾に置く団体もあり、管弦楽団(Staatskapelleであれば州立管弦楽団または国立管弦楽団)と訳される。
- 室内オーケストラ(chamber orchestra)は10〜20名程度の小規模なオーケストラを指す[3]。
- 一般的なオーケストラは1声部を複数で担当し、通常、指揮者により統制されて演奏する。各声部は弦楽器・管楽器(木管楽器および金管楽器)・打楽器があり、さらには鍵盤楽器や、現代的には電気楽器も加わる場合もある。主にクラシック音楽を演奏するが、ラテン音楽やジャズ、その他のジャンルを演奏する団体もある。
- なおクラシックのオーケストラが母体となって、別名を名のりつつポップス・オーケストラとして活動することもあり、これは母体と同様の楽器編成であるが、軽めのクラシックやポピュラー音楽を演奏する。
- ポピュラー音楽専門のオーケストラは、イージーリスニングなど四部または五部のストリングス(四部の場合は五部からチェロかコントラバスのどちらかが省かれることが多い)に自由な編成の管楽器、打楽器、エレキギターを加える。
- ダンス音楽や行進曲などを演奏する小規模な編成のオーケストラはバンドなどとも呼ばれる。
- フルートオーケストラやマンドリンオーケストラ、ウインドオーケストラ(管楽器のみ)という言葉も使用されているが、それらは以下で述べる厳密な意味でのオーケストラではない。マハヴィシュヌ・オーケストラ、イエロー・マジック・オーケストラなどのように、3~5名編成でもあえてこの名を用いるバンドについても同様である。
歴史
現在の弦楽合奏に管楽器の加わった管弦楽の起源としては、ヴェネツィア楽派の大規模な教会音楽や、その後のオペラの発展が重要である。古典派期には交響曲や協奏曲、オペラの伴奏として大いに発展し、コンサートホールでの演奏に適応して弦楽を増やし大規模になり、またクラリネットなど新しい楽器が加わって、現在のような形となった。グルックのオペラ『オルフェオとエウリディーチェ』において、ピッコロ、クラリネット、バスドラム、トライアングル、シンバルがオーケストラに加わった。
ロマン派音楽ではさらに管楽器の数や種類が増え、チャイムやマリンバ、グロッケンシュピールなどの打楽器が加えられた。時にはチェレスタ、ピアノなどの鍵盤楽器やハープが登場するようにもなった。
注釈
- ^ イタリア語発音: [orˈkɛstra] オルケストゥラ
- ^ 英語発音: [ˈɔːrkɪstrə] オーキストゥラ
- ^ 吉田秀和は著書『ヨーロッパの響、ヨーロッパの姿』において、欧州のオペラ上演の半数以上がドイツで行われていると述べている。
- ^ 団員は解散に対抗して自主的演奏団体としてのニュー・フィルハーモニア管弦楽団を結成。
- ^ 第1ヴァイオリンが12名。
- ^ Pult:譜面台のことで、2人で1つの譜面台を見ることから、1プルトは2名に相当する。
- ^ ハイドンの交響曲「告別」を参照。
- ^ 第1ヴァイオリンが14名。
- ^ 第1ヴァイオリンが16名。
- ^ 第1ヴァイオリンが18名。
- ^ 第1ヴァイオリンが20名。
- ^ 一管編成相当。
出典
- ^ "オーケストラ". ブリタニカ国際大百科事典. コトバンクより2023年7月24日閲覧。
- ^ a b c d e f 『日本大百科全書』「オーケストラ」
- ^ 室内管弦楽団. コトバンクより2023年7月24日閲覧。
- ^ https://www.nytimes.com/2021/12/21/arts/music/orchestra-labor-coronavirus.html
- ^ The Pandemic Struck Orchestras With Underlying Conditions Hard
- ^ 中日新聞、2020年4月18日朝刊13面
- ^ Sharron Gu. A Cultural History of the Chinese Language. McFarland & Company. p. 24. ISBN 978-0-78646-649-8
- ^ “Monteverdi's Orchestra in L'Orfeo:Instruments Named in the 1615 Edition”. people.fas.harvard.edu. Harvard University. 2020年8月27日閲覧。
- ^ ニューグローブ音楽辞典・王宮の花火の音楽の項
- ^ リヒャルト・シュトラウス補筆ベルリオーズの管弦楽法、譜例1
- ^ “セントラル愛知交響楽団”. www.caso.jp. www.caso.jp. 2020年8月27日閲覧。
- ^ 木下正道・オーケストラのためのサラユーケル・武満徹作曲賞本選会
- ^ 江原修・「Les Fleaux」・日本音楽コンクール本選会
- ^ ウニヴェルザール出版社の「Coro」スコア序文
- ^ “The world’s greatest orchestras”. グラモフォン (雑誌) (2010年3月23日). 2014年11月15日閲覧。
- ^ [1]
- ^ [2]
オーケストラ!
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『オーケストラ!』(原題: Le Concert)は、2009年のフランス映画。
- 1 オーケストラ!とは
- 2 オーケストラ!の概要
- 3 受賞歴
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