ソロ演奏
出典: フリー百科事典『ウィキペディア(Wikipedia)』 (2018/02/26 14:42 UTC 版)
ジャズピアノで最も大事なこととしては、テンポを正確に取ることや、メロディの型をそれが第2の天性となるほどまでに習熟することが必要である。しかしジャズピアノのソロ演奏を十分にこなすには、他にも必要とされる基本的な技術が3つ存在し、それらも十分に習熟していなければならない。これらの3つの技術は、「1人で演奏していても、2人かそれ以上のプレイヤーが一緒に演奏しているように聴こえる」という非常に優れたソロピアニストに向けられる称賛にもつながる。ただしこれは全般的な印象であって他の形を取ることもあり、例えばデイブ・マッケンナの演奏では「3つの手によるスウィング」として知られている。 1) 明確な、スウィングするリズムを作り出す技術。これは、左手の弱いビートの直後に右手でビートを打つことで試みられる。ライドシンバルや、ウォーキングベース、あるいはその両方に似せるのがその狙いである。 多くのジャズプレイヤーはこれを常に両手で行うが、ベースラインの音符のいくつかを打つ直前にベース奏者の弱い音符を真似することによって左手だけで行うことも可能である。すなわち、低音部ではラインの主音をほぼ全て親指で奏し、他の指で短い「鍵のある」音符を演奏するのである。よって、スウィングのベースラインは、単に一連の4分音符であると考えることができるが、中間音が入ることで付点や三連符のリズムとなる。 しかしながら、それが実際にこのような形で記譜されることはほとんどない。それはおそらくベースラインでは中間音は安定したものではなく「ゴースト」となっているからである。ソロピアノによるライドシンバルの模倣が若干曖昧になるのはこのためである。リズム全体を描き出すためには、実際のベース奏者が鳴らすよりも多くの中間音を鳴らす必要がある。このためライドシンバルとベースをそれぞれ表しているものの間にある境界がぼやけ、これがジャズピアノ独奏(やジャズギター独奏)に特有の滝のようなスウィングを生み出すのである。 ベースラインを上述のように演奏してみると、左手はこの役割に理想的な形をしているのだと分かる。 テンポが速くなると、ベースラインの弱い音符は演奏されなくなる場合があるが、ドラマーのライドシンバルは止むことなく演奏される。 2) ハーモニーやコード変化の「ガイドトーン」を提示する技術。 3) 右手でメロディかメロディ的なソロ素材を演奏する技術。 これらの技術的要求を全て同時に満たすことは困難だが可能であり、完全には満たされていない場所には短いインターバルを置くこともできる(例えばアート・テイタムは彼が本来できたであろうほどにはコンスタントにはストライドしなかった)。例えば、ハーモニーをつけたメロディやソロラインで右手でガイドトーン(各以降での3rdと7th)を演奏する時には2)と3)は1つにまとめられる。 この「3分裂」問題を解決するのによく用いられる方法は、両手をフォークのような形にし、人差し指を親指と一緒にして中央のグループを作り、薬指と中指を外向きに広げて両側に枝を出すというものである。この形を作って鍵盤に載せ、左の枝で低音部を、中央でガイドトーンを、右の枝でアッパーラインを演奏する。 この方法が実行できそうにない場合には、より単純に、ベースラインを念入りに作り上げ、ガイドトーンとメロディの仕事は全て右手だけで行うことも可能である。 バリー・ハリスは、左手のみで和音を演奏することは単純化のしすぎであるとし、右手でハーモニーを提示することを好む旨の発言をしているので、こちらの方法を好んでいるのかもしれない。通常、ソロで演奏する時には、和音かウォーキングベースを左手で演奏し、右手でインプロヴィゼーションをすることになるであろう。
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