登場する主な妖怪
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「妖怪の飼育員さん」の記事における「登場する主な妖怪」の解説
複数話に登場している妖怪、固有名を持つ妖怪のみを挙げる。 すねこすり 岡山県に生息する犬に近い妖怪。体をのばして動いているものにまとわりつく習性があり、夜道を歩く人間の足をこすり歩きにくくする。性質はおとなしく、基本的に臆病。 鳥月が初めて担当を任された妖怪。ふれあい広場が主な公開エリアだが、どこにでも(園の外にでも)鳥月にくっついて回っていることも多い。 雪女 固有名は寒菊(かんぎく)。一人称が「わらわ」など古風な口調で話す。契約によって園で生活しているタイプであり、勝手に園外へ出かけることもある。園内トップクラスの人気者。東京都の青梅出身。 気温が上がると常温で溶けて水になり、さらに高温では気化する。そのため活動期間は冬季(11月 - 3月)のみ。休業中は冷凍庫で過ごしており、夏場の外出にはドライアイスが必須でかき氷の湯船につかる。 園で有数の実力者でもあり、鳥月には「強いんじゃなくてヤバイ」「台風や竜巻に立ち向かうようなもの」と評されている。 つらら女 固有名は寒梅(かんばい)。言葉に東北訛りがある。活動期間は寒菊と同じく冬季(11月〜3月)のみ。 嫉妬深く浮気な男を嫌う性格。当初は軽薄な大源にも素っ気なかったものの、身体を張って自分を助けてみせた大源を気に入り交際を始める。大源の浮気性から短期間で破局したが、その後もなにかと気にかけ続けており、2人で外出することもある模様。 寒菊と同じく相当な実力者で、つららに姿を変えて刺すだけでなく、指をつららにして発射する、膝からつららを発射するなどの攻撃手段を持っている。 好物は焼きイモ。 烏天狗(からすてんぐ) 主に関東や信州に生息する、日本古来の天狗。人間とは比較にならないほど長命であり、剣術の達人で、知能も高く、空を飛び、神通力も持つ。気位が高いので、人間を相手にしないことも多い。 固有名は青北風(あをぎた)。またの名を「鞍馬山僧正坊」といい、茶の花や神野悪五郎からは「鞍馬山」の通称で呼ばれる。園では比較的新参者だが、少なくとも平安時代以前から生きているらしく、遮那王とも面識があり、巌流島での宮本武蔵と佐々木小次郎の決闘も目撃している。 剣術の達人で、普段は長い寿命を活用して書や剣術の修練をしている。自分よりアホな人間が運営する妖怪園に留まっているのは、人間が身の回りのことをやってくれるので作業に集中できるからではないかと言われているが、真偽は不明。職員を無視して作業に没頭することもあるが、愚かで短命な人間に対して寛容であり、客から無礼があっても見逃す。 ナタリアの弟子入りを渋っていたが、鳥月のアドバイスで態度を改めるようになったのを見て剣術の指導を始め、精神修養についても説く。また、九尾の狐の襲撃以来、世界中の妖が動き回る時が来ていると危惧しており、悟色に術を教えたり、全国の妖怪園を回って様子を確認し、神野から配下の魔物を借りて戦力を整えようと動いている。 ケンタウロス 神話にも登場するギリシャ出身の半人半馬。本来は気の良い性格をしているが、気性が荒っぽく、人間関係でモメることが多いため日本国内の妖怪園にはほとんどいない。多くは粗暴で好戦的だが、高い知能を持つ者もいる。馬と同じで足の骨折は致命傷になり、蹄葉炎を発症して死に至る。 閉園になるギリシャのモンスターランドから、自らの希望によって父親と娘とで西東京妖怪公園に移住してきた。固有名は父がハリー、娘がナタリア。 ハリーは鬚をたくわえ眼鏡をかけたカーネル・サンダースにも似た紳士然とした人物 であるが、いざという時には眼鏡を外しテンガロンハットと裸にベスト衣装のテキサス・ブロンコと化す。大変な親日家で、前年に妻を亡くしたことを機に、娘に礼儀作法を身につけさせるべく昔からの友人である陸奥を頼って日本へ移住する。 ナタリアは文字通りのジャジャ馬な性格。来園時に河童たちにケンカを売ったが、青北風と寒菊に懲らしめられる。その際に脚を骨折するが、河童から秘薬を提供されて快癒する。以降、青北風に弟子入りを志願。最初のうちは青北風から「何のために剣術を学ぶのか」「教わる心根ができていない」と言われて断られたが、その後、鳥月のアドバイスによって、いっしょに剣の素振りをするようになり、直接の指導も受けられるようになった。師匠が強すぎるせいであまり実感できていないが、数年の修行で着実に強くなっており、剣道有段者の太源に勝つほどに成長している。 なお、同じモンスターランドにいた同朋たちはサーカスに再就職して世界中を回っている。 石猿 火山島の仙石から生じた卵から生まれる猿の妖怪で、孫悟空の同類。人類史上たった2匹しか確認されていない神話級の妖猿である。 固有名は悟色(ごしき)。西之島の噴火から生まれ、船に忍びこんで東京までやって来た。名付け親は青北風で、由来は空即是色と孫悟空のもじり。来園当初は人の頭くらいの大きさしかない子猿で、素質はあっても修行していないので孫悟空ほど多彩な術は使えなかったが、呑み込みが早いらしくすでに体毛から分身を作り出す身外身の法を使うことができ、青北風に師事して雲に乗る術などを教わっている。 鳥月に懐いており、彼女しか世話ができない。肉親を持たないためか、一時期両親のいる子供を羨んでいたずらをしかけることが多くなった。 座敷童(ざしきわらし) 固有名は色鳥(いろとり)。見た目はおかっぱ頭をした9・10歳くらいの童女だが、雄略天皇との面識があり、逆算すると最低でも1600歳は超えている。 家を繁栄させ幸運をもたらす力を持ち、四方のある空間内にいる者をあらゆる災厄から守ることができるが、発動後にしっぺ返しがある。感覚に作用して他人から気にされなくなる術や、頭のアホ毛で妖気を探知する力も持っている。 鬼族 あやかし一般の呼称ではなく、いわゆる角を生やして金棒を持った「鬼」。正式名称「ニホンオニ」。雄は平均で身長280センチメートル、体重500キログラムくらいになる。本州・四国・九州に生息する。契約によって園で生活しているタイプであり、園の鬼ヶ島エリアで展示されている。 発声器官の違いから人間の言葉を発することはできないが、手話による意思の疎通は可能で、人間のスマートフォンなどの操作も行える。共通の性格として、欲望に正直で、ちょっと抜けていて、お人好しであり、昔話で最終的に人間に出し抜かれるのもそのためである。なおかつ非常に神経質で、節分の豆まきや柊鰯を怖がるのは自分が拒絶されているのを理解してしまうから。人間を襲う事故が発生することもあるが、これは人間が鬼のテリトリーを荒らすのが原因で、現在はかなり数を減らしている。 食事と飲酒と花札遊びを好む、平和的な性格。契約には1人1日あたり馬肉や鹿肉を5キログラム、玄米10キログラム、半斗の酒の供給も含まれる。時に人間も食べる対象となるが、前述の神経質さから好んで食べようとはせず、中年男性が自殺志願で自分を食べろと乱入した際には「ヤニ臭いので食べられたものではない」「なにか病気を患っていそう」「子供には安全な食材を食べさせたい」などの理由で食べるのを拒否していた。 衣装はフェイクファーであり、伝統的な虎縞柄が好まれているが、若い女性の鬼族のなかには豹柄、キリン柄なども流行っている。野生下では本来鹿などの毛皮を着る。 集団生活し、仲間内でケンカすることもあるので、自分より大きい相手に勝つための戦い方を身につけている。千歳富士(ちとせふじ) 鬼族の雄の1人。それほど大きい個体ではないが、西東京妖怪公園にいる鬼の中では最強。息子がゲームを遊ぶために欲しがったスマートフォンをもらうために脱走したミノタウロスの捕獲に協力、1メーチル近く大きい相手との殴り合いの末、上手投げでノックアウトした。 二口女(ふたくちおんな) 人間が妖怪化したもので、後頭部にもう一つ口があり、髪を手のように動かして口に食べ物を運ぶ千葉県の妖怪。民話では継子を憎んで餓死させた母親が変化するとされ、最近の医学会では感染症の一種だと言われているが、原因は不明。物を食べない嫁を欲しがる男の所に山姥が化けた二口女が来たという昔話もあり、その話では食べ物を全部食べられてしまったという。 人間名は須田 美奈(すだ みな)。別に継子殺しをしたこともなければ、周囲に他に妖怪化した人間もいない。平日は普通のOLとして企業に勤めており、週末と祝日のみ妖怪園でショーに出演している。これは後頭部の口が食べる莫大な食費を負担してもらうことと引き換えの契約である。 濡れ女 ウミヘビの化身とされる東北と九州の一部に生息する水辺の妖怪で、蛇の尻尾は300メートル先まで届く。月に1度脱皮する。。 自然環境下では牛鬼の周辺で生活して、人間や大型の動物などの獲物を誘い、牛鬼が仕留めるという形で共存している。このことから、妖怪園でも共生展示として一緒に展示されていることがある。 個体名は夕立(ゆうだち)。鬼たちほどではないにせよ酒が好きで、園では食事として酒類とつまみを要求する。人間にはあまり好意的ではないが、愛想を振りまくだけで安定した生活ができる妖怪園での暮らしにはそれなりに満足している模様。 コロポックル 北海道・樺太に生息するアイヌ伝承の小人。身長は30センチメートルほど。名前は「蕗の葉の下の人」という意味だと言われ、アイヌと対立し北へ去ったと伝えられている。一族で園内のドームに集落を作って住んでおり、民芸品(小人サイズを生かしたドールハウスなど)を作成し園の収益に貢献している。 レルラは「狭い村の世界から出て、人間の大きな世界で生きてみたい」と言う理由で大源と結婚を前提に交際し、世間の憚りも気にせず自分と付き合ってくれる大源に惹かれてゆくが、「いずれ互いを傷付けるだけ」という陸奥やコロポックルの長老の説得から、内心を隠して「飽きた」と大源を振る形をとる。 日本人魚 その名の通りの日本全国に生息する人魚。ローレライなどの人を惹きつける催眠効果のある歌を歌う西洋人魚とは種族が違い、西洋の人魚のほうが人間に近い。他の水棲生物と同じく音によってコミュニケーションを取る関係で歌の文化を持ち、上手な個体を真似ることで上達していく。肉を食べると不老不死になるという迷信のため人間に乱獲され、明治時代にはミイラとして輸出品になったこともあり、個体数を減らしている。 個有名は朝凪(あさなぎ)。母親からきちんと習っていないので代々一族に伝わる歌をあまり上手く歌えなかったが、平木の提案で歌を特訓して上手になり、覚えたアイドルソングを歌ったことでオタク層から人気が集まる。 スクーグクロー 北欧出身の樹木の妖怪。背中が樹木状であり樹洞のような穴も空いているが、服を着てしまえば人間の女性と見分けがつかない。光合成で栄養を賄えるので食事は不要だが、冬季(11月〜3月)は温室の中で過ごす必要があり、光合成ができない雨の日は体調が崩しがち。人間の男性にとても好意的で、たき火の番をしてくれたり幸運を与えてくれたりするが、見返りに愛を求める。 固有名はマーヤ。スウェーデンからマンドラゴラ飼育の技術指導のために来ている。自分の背中にコンプレックスがあり、他人に体を見せたがらない。梅雨が苦手。例によって大源に言い寄られ、本人も最初は満更でもなかったが、さとりによって「冬季は寒梅、夏季にマーヤと時期をずらして付き合える」という本音が暴露されたため、懇々と人の道を説くことになる。 ぬらりひょん 老人の姿をした、正体不明で捉えどころの無い妖怪。勝手に人の家に上がり込む、妖怪の総大将といった話は俗説であり、生息地も不明。 固有名は茶の花(ちゃのはな)。茶道に通じており、「宗匠」と呼ばれている。青北風とは茶飲み友達で、鳥月にも茶道の作法を指導した。人をからかうのが大好きというお茶目な面もある。 西東京妖怪公園で有数の識者でもあり、青北風の相談相手にもなる。“魔”の存在にも顔が利くことから、青北風に神野との会談の場を開いてもらうよう依頼される。 単眼族 文字通り単一の大きな目を持つ、俗に言う「一つ目小僧」で、妖怪を代表する存在。全国に生息しており、出会って顔を見ると驚くが、人間に危害を加えることは無い。種族特性として「5.0が普通」と言われるほどの優れた視力を持つが、人間同様に不摂生で視力を低下させてしまうこともある。 一族で園に住んでいる。単眼であること以外人間と大差はなく、感性も人間に近いことから、ボランティアとして、来園客の案内係や、園内の妖怪と職員の橋渡し役も務める。 つぶらは園から人間の中学校へ通学している13歳の少女。漫画が大好きで、漫画談議になると熱が入りすぎるので学校では少し浮いているが、同級生たちからは好かれている。最近は『無用ノ介』にハマっている。BL漫画の執筆が密かな趣味。ただ趣味に耽りすぎて視力と成績が落ちている。大源からは中学生であることを理由に守備範囲外と認識されている。創作活動をしているからか、語彙が豊富。 さとり 岐阜県の妖怪。正式な名前は玃(かく)。長毛と長い耳が特徴で、聴覚が優れている。エサは蜂の子やタケノコ。 人間の心を読めると言われているが、最近の研究で迷信だと分かっている。練習すれば人の言葉を話せるが、九官鳥と同じで意味を理解しているわけではなく、それ故に善悪の区別なく喋ってしまい、人間関係を破壊するおそれがある。実際には本当に心を読めているのだが、迷信だということにしておけば人間は幸せなので、誰も細かく追求しないというのが現実。 夏場は暑さでばてないように長毛を刈り込む。 河童 日本人にとって一番身近な水辺の妖怪。呼称は「かわわっぱ」が変化したもの。頭の上にお皿があり、お辞儀をするとお皿の表面の水が落ちて力が抜けてしまう。相撲好きで、仲間内でも相撲をとって遊ぶ。本場所開催期間はテレビの前に群がっているため、鑑賞には適さない。知能は高く、人間と意思の疎通も取れる。食事は鮎などの鮮魚と胡瓜などの野菜を好む。 打ち身や骨折をあっという間に治癒してしまう「河童の秘薬」(別名「猫山アイス」「岩瀬万能薬」)と呼ばれる薬を製造している。人間に接骨法を教えたとも言われる、いわば「骨折のプロ」であり、陸奥が匙を投げたケンタウロスの骨折でも1週間で治す。 冬期は毛が伸び、冬眠形態の山童となる。手足と口先以外は長い毛に覆われるので、1ツ目にも見える。この形態でも動くことはでき、山中で木こりの仕事を手伝ってくれたりもする。 集団で飼育エリアに住んでいる。冬眠中は展示されず、上記の通り本場所中は鑑賞には向かないので、見に来るなら4月・6月・8月が最適。 河童が属する水霊長類は妖怪の中でも群を抜いて種類豊富であり、下位分類に河童属・川猿属・川男属がある。河童科の中で最小の妖怪は、身長5cmほどの「浪小僧」である。 吸血鬼 世界各地に伝承の見られるポピュラーな吸血妖怪。蘇った死者、もしくは不死の妖怪で、小説「ドラキュラ」が有名。特にキリスト教文化圏では宗教上の理由から迫害の対象となり易いため、妖怪園に住んでいるのはそうした偏見の少ない日本だけとされている。 医学的には死んでいるアンデッドなので食事は必要ないが、1日500ccほどの血液を摂取する。他の吸血妖怪同様、食事が特殊なことが妖怪園でもネックになっており。血液感染由来の病気も罹患する可能性がある。不死性があるため病気で本人が死亡(消滅)することはないが、永遠に病苦にさいなまされる。血を吸われた人間も吸血鬼になるとされるが、吸血対象の吸血鬼化については「起こりうる」程度で確実ではない模様。 吸血鬼の女性ドロシーはアメリカで暮らしていたが、今の大統領になってから移民や異種族への風当たりが厳しくなってきたことから来日。食事の確保のため、平木のアイデアに基づき「吸血鬼アイドル」として売り出され供血を募った。その縁で防衛大が開発した代替血液を提供してもらえるようになる。 デュラハン アイルランドに伝わる死を司る魔物。首のない男の姿をしていて、首のない馬が曳く馬車に乗る。自分の首を抱え、人の家を周り、死が訪れることを告げるとされる。乗っている馬車は水を渡れないので、川を渡って逃げると助かるという。姿を見ると目を潰される。重力の制約を受けないので宙に浮くことができる。 固有名はキリアン。剣の達人であり、真っ二つに斬られたハエが死んだ事に気づかず動き続ける程で、青北風も力量自体は認めている。長い年月をかけて人の登れぬ高みに至り、その技を比べることを望んで、世界各地を回り強者を探して決闘を繰り返している。かつては人間も相手にしていたが、せいぜい50年程度しか修練を積めない者を相手にするのに飽きて、現在は妖怪の強者を探している。他人と比べなければ実力を計れない精神的な未熟さを持つが、本人は気にしていない。青北風との決闘を望んで来日し、接戦の末に相手の得物を弾いて勝利を確信したが、密かに恋人の復讐を誓っていたソフィアに背後から刺されて絶命する。 リャナン・シー アイルランドに伝わる男性に愛を求める妖怪。好意を持った男にしか姿が見えない。男性を誘惑して精を吸い取るが、愛を得られない場合は奴隷のように献身的に付き従って振り向かせようとする。人間の生気を吸う代わりに、芸術的才能を付与する。 固有名はソフィア。400年ほど昔からキリアンの下僕として同行しているが、これはキリアンに決闘で切り殺された愛した人間男性の仇を取るためであった。その憎しみを見抜いた青北風がわざと刀を取り落とし、それを拾って勝利を確信し油断したキリアンを背後から刺し殺す。
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