拍子 拍子の概要

拍子

出典: フリー百科事典『ウィキペディア(Wikipedia)』 (2023/10/04 01:15 UTC 版)

以下、本項においては、西洋音楽のそれについて述べる。

西洋音楽における拍子

西洋音楽において拍子とは、拍の連なり(拍節)において、拍に重軽が生じたとき、ひとつの重である拍(「強拍」という)とそれに後続する1つないしいくつかの軽である拍(「弱拍」という)の集まりが(原則として)周期的に繰り返され、強拍から次の強拍まででひとつのまとまりを感ずることをいう。

ひとつの強拍に連なる拍の数によって、2拍子、3拍子、4拍子などと呼ぶ。また、ひとつの拍を示す音価を添えて、4分の2拍子、2分の3拍子と呼ぶ。楽譜には、五線の下半分に音価、上半分に拍数を書く。これを拍子記号という。なお楽譜上では、ひとつの拍を示す音価が付点音符の場合、便宜上本来の拍子と異なる数字を書き記すことがある。なお、2分の2拍子を、4分の4拍子をと書くことがある。これは中世フランスの音楽家、フィリップ・ド・ヴィトリー英語版が音楽理論書『Ars Nova』(1325年頃)で用いた記譜法に由来する。『Ars Nova』では、音価の分割について3分割を完全分割、2分割を不完全分割とし、完全分割による3拍子は完全を意味する正円「○」で表し、不完全分割による2拍子や4拍子は正円の一部が欠けた「C」によって表していた[1]。中には「Common time (ありふれた拍子) の頭文字Cを図案化したもの」と解説する書もあるが[2]、これは誤りである。

楽譜に書くとき、ひとつの強拍に連なる拍のまとまりを、小節と呼ぶ。

西洋音楽における拍子の歴史

ルネサンス音楽15世紀から16世紀頃)以前は、曲全体に統一された拍子を与えることは一般的でなかった。一つの曲の中で拍の強弱の周期は様々に変化し、多声音楽では強拍の位置が声部ごとに異なるのが普通であった。しかし、舞曲ではステップを踏むために必要であったため、拍子がつけられていた。バロック音楽17世紀から18世紀半ば頃)以後は舞曲のスタイルが踏襲されたため、西洋音楽は拍子をもつようになった[3]

単純拍子

西洋音楽においては、すべての拍子を2拍子ないし3拍子の組み合わせに適用する傾向があり、これを単純拍子と呼ぶ。また、2拍子の複合拍子である4拍子を単純拍子に加えることもある。

2拍子

ひとつの強拍とひとつの弱拍から成る拍子で、人間の歩行から発生したと考えられている。1拍を4分音符とする2拍子を4分の2拍子、1拍を2分音符とする2拍子を2分の2拍子(alla breve 〈アッラ・ブレーヴェ〉)という。

3拍子

ひとつの強拍と2つの弱拍から成る拍子で、馬の歩行から発生したと言われることが多い。メヌエットワルツは3拍子であり、このような踊りのリズムに多く見られる。1拍を8分音符とする3拍子を8分の3拍子、1拍を4分音符とする3拍子を4分の3拍子、1拍を2分音符とする3拍子を2分の3拍子という。

4拍子

一般には2拍子を2つ連ねたものと考えられていて、強-弱-中強-弱の4つの拍から成る。ただし、強-弱-弱-弱と考えられるものもある。1拍を4分音符とする4拍子を4分の4拍子という。


  1. ^ 笠原潔「15 西洋の楽譜」『西洋音楽の歴史』放送大学教育振興会〈放送大学教材〉、1997年、363-366頁。ISBN 4-595-87722-6 
  2. ^ C.F.グース、W.アイゼンハウアー『ラーントゥプレイ 最新フレンチホルン教本 BOOK1&2』杉原道夫訳、全音楽譜出版社、1998年。ISBN 978-4115481152 
  3. ^ 笠原潔「1 西洋音楽の時代区分と時代様式の変遷」『西洋音楽の歴史』放送大学教育振興会〈放送大学教材〉、1997年、17-19頁。ISBN 4-595-87722-6 
  4. ^ 地上の祈り‐プラチナ★シンガーズ - Jimdo2018年8月28日閲覧。
  5. ^ Richard Powers、Nick Enge 『Waltzing: A Manual for Dancing and Living』 P.210 2013年 ISBN 978-0982799543
  6. ^ 特集 Perfume――「アイドル」を回復する3人」『Quick Japan Vol.74』、太田出版、2007年10月12日、43頁、ISBN 9784778310936 
  7. ^ Donald Byrd (2018), Extremes of Conventional Music Notation, Indiana University Bloomington, https://homes.luddy.indiana.edu/donbyrd/CMNExtremes.htm 


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