鶏卵 鶏卵の色

鶏卵

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鶏卵の色

殻の色

アローカナの卵(中央)

殻の色は、白玉と赤玉が多く、これは鶏の種類や遺伝的によるものである[10]。一部の赤玉は、フクシン系の色素により着色されているものもある[17]

市販の鶏卵は、白玉が無精卵、赤玉は有精卵と言われることがあるが、これには根拠が無い。白玉より赤玉の方が栄養価があると言われる場合もあるが、これも俗説でしかなく、白玉と赤玉で栄養価に差は無い[10]

アローカナチリ原産のニワトリ)は、殻の色が薄い水色をした卵を産む。

卵黄の色

鶏卵卵黄の色の違いの例

鶏卵における色は、薄いクリーム色から濃いオレンジ色まで様々である[18]が、飼料に含まれるカロテノイド[19]卵黄へ移行する量で決まる。つまり同じニワトリの個体でも飼料を変えることで卵黄の色が変化する[10]。ニワトリの餌にカロテノイド含量が多いトウモロコシを与えると黄身は濃くなり、カロテノイド含量が少ない飼料を与えると白っぽくなる[20][21]。また、鶏卵中のカロテノイド含量が多いほど、ゆで卵にしたときの色落ちが少ない。なお、日本では色の濃い(オレンジ色に近い)ものほど栄養価が高いとの誤解があり[10][22]、より色の濃い物が好まれる傾向にある[18]

生産

生産方法

採卵用に飼育されている鶏は、1.3日に1個卵を産むように選択的繁殖が行われた種である。採卵用に飼育される鶏種で最も一般的なものは白色レグホンである。そのため白色レグホンの雄はひなの雌雄鑑別で処分(殺して廃棄)され[23]、卵を産む雌のみが飼育される。雌の雛は75日齢頃まで専用の鶏舎で群飼される。過密な群飼によりひな同士のつつき合いが広がりやすく、傷つくひなが出てくるため、の切断(デビーク)が行われる。嘴の切断は、無麻酔で行われ、日本の採卵養鶏では約50%で実施されている[24]

バタリーケージでの飼育

雛は75日齢頃からケージで飼育される。卵を衛生的、かつ集約的に生産できるよう、バタリーケージで飼育されることが多い。日本の採卵養鶏場では約90%以上がバタリーケージ飼育である[24]。バタリーケージ飼育とは、巣や砂場や止まり木のない、1羽あたりの面積の狭いケージの中で、鶏を飼育する方法である。日本のバタリーケージの平均サイズは1羽あたり470cm2程度。これはB5サイズに満たない大きさである[24]。鶏には隠れて卵を産みたいという強い欲求があり、砂場は掃除行動の一種である砂浴びをするために欠かせないものである。また、狭いケージで鶏を飼育する方法は動物愛護の観点から問題があるとして、アメリカにおける4つの欧州連合(EU)では動物福祉の観点から、こういったバタリーケージ飼育は禁止されている[25]

採卵鶏は150日齢頃から産卵を始める。産卵を開始して約1年が経過すると、卵質や産卵率が低下し、自然に換羽して休産期に入る鶏が出てくる。このため、換羽前に屠殺する場合もあるが、長期にわたって飼養する場合には強制換羽が行われる。強制換羽とは、鶏を絶食させることで給餌を制限し、飢餓の状態におくことで、新しい羽を抜け変わらせることである。強制換羽で生き残った鶏は、また市場に出せる質の良い卵を生むことができる。強制換羽は日本の採卵養鶏では約50 %で実施されている[24]。強制換羽後、約8か月間産卵させ、屠殺する。

生産量

国際連合食糧農業機関(FAOSTAT)によれば、2005年の世界の鶏卵の生産量は5943万4000トンである。全漁獲高9646万トンに次ぎ、他のどのような動物性タンパク質の生産量よりも多い。鶏卵の生産はアジア州(60.2 %)、ヨーロッパ州(16.7 %)、北アメリカ州(13.9 %)に偏っている。全生産量41.0 %(2434万8000トン)を中国1国が生産しており、次いでアメリカ合衆国(533万トン)、インド(249万2000トン)である。中国では、東北区遼寧省華北区の河北省華東区の山東省江蘇省中南区河南省西南区四川省に生産が集中しており、以上の6省で生産量の2/3を占める。アメリカ合衆国ではアイオワ州を筆頭に、オハイオ州インディアナ州ペンシルベニア州ジョージア州の順に生産量が多い。

日本国内では、農林水産省の統計[1]によれば、1998年から2002年までの全国の鶏卵生産量は毎年およそ250万トンを推移している。これを都道府県別にみると、2011年において10万トン以上が生産されている都道府県は茨城県千葉県鹿児島県広島県岡山県北海道新潟県愛知県(都道府県の並びは生産量順)である[26]

1993年と2005年を比較すると、全世界の生産量は3793万8000トンから1.6倍に成長したことになる。国別では中国の生産増が著しく、2.6倍に達した。次いでインドの1.6倍、アメリカ合衆国の1.3倍が目立つ。以下に、2005年と1993年の生産上位10カ国を挙げる。

価格

流通している卵のほとんどは無精卵であるが、一部ではブランド卵や値段の高い鶏卵も流通している。これには、ニワトリの飼育方法が放し飼いによるもの、えさにω-3脂肪酸 (Omega-3) の特殊なものを使用したものがある。放し飼いにした鶏が産んだ卵は、フリー=レインジ・エッグ(Free-Range egg)、地鶏卵、ケイジ=フリー・エッグ(Cage-free egg)と呼ばれる。

日本国内で食用消費される鶏卵は、主に白色レグホーン種の産むものである。鶏卵の値段は、過去数十年に亘って安定し続けてきた。1954年昭和29年)から1988年(昭和63年)までのMサイズの鶏卵1キログラム当たりの価格を調べたデータによれば、1955年(昭和30年)の年平均価格は205、1965年は191円、1975年(前年のオイルショックにより諸物価が高騰)は304円、1985年(昭和60年)は高値 - 安値で370円から205円までとされており、他の生活必需品と比較して概ね安定的な価格の推移を示している。2018年平成30年)5月の時点で、鶏卵の価格は過去10年で最低水準を記録した。東京地区でM級は1キログラム当り170円となった[27]

烏骨鶏の卵は昔から栄養価が高いとされ、滋養薬として売買されてきた。昭和末期から一個につき500円前後の相場で売られている。

価格の上昇

2022年令和4年)以降、卵の値段は上昇を続けている。これは日本のみならず、世界各国でも同様の傾向がみられる[28]。2022年12月28日にアメリカ農務省が発表した資料によれば、2022年の初頭以降、高病原性鳥インフルエンザにより、5800万羽の鶏が死亡した。2015年には5000万羽の鶏が殺処分された。2022年12月28日にアメリカ農務省が発表した資料によれば、2022年の初頭以降、高病原性鳥インフルエンザにより、およそ5780万羽の鶏が死亡した。この数値には、七面鳥やアヒルも含まれる。鳥インフルエンザへの感染が確認された場合、48時間以内に殺処分される[29]。2022年12月の最終週の時点で、卵の在庫は、2022年の初頭に比べて29%減少し、2022年12月の時点で、4300万羽の牝鶏が鳥インフルエンザで死亡した[28]。人件費の上昇、材料費の上昇、物流費の上昇により、食料品における全体的なインフレの一環として、卵の値段も、その上昇に直面している[28]。農業従事者や分析家によれば、病原菌の急速な拡散は、野鳥が移動する際に、それらを農場に運び込んでいる点に起因する、という[28]。感染が確認された場合、病原菌の拡散を制限するため、家禽の群れは殺されることになる[28]2015年に発生した鳥インフルエンザは、その年の6月に終わりを迎えたが、2022年においては、秋から冬にかけて全国各地で発生した[28]。アメリカ卵委員会(The American Egg Board)によれば、卵の不足は稀な現象である、という。2022年に発生した鳥インフルエンザにおいて、農場は三ヵ月で回復を見せた。2015年の鳥インフルエンザの発生時には、農場は回復までに六ヶ月から九ヶ月かかった[28]

2022年12月20日にアメリカ農務省が発表した資料によれば、2021年12月の卵の生産量は97億個だったのが、2022年11月には89億個に減少した[29]消費者物価指数によれば、卵の値段は2022年10月の時点で10.1%上昇、2022年11月の時点で2.3%上昇した[29]。卵の値段が上昇を続ける一方で、鶏肉の値段については下落を見せたことがある。消費者物価指数によれば、鶏肉の価格は、2022年10月には1.3%、2022年11月には0.8 %下落した。食料用に飼育されている鶏は、卵に比べると、鳥インフルエンザの影響は受けづらい[29]。孵化から屠殺に至るまでの期間は、5.5週間から9週間である[29]。しかしながら、2021年10月の時点と比べて、鶏肉の値段は上昇傾向にある。鶏に食べさせる飼料である大豆やトウモロコシの値段の上昇がそれに拍車をかけ、エネルギー価格の上昇は、食品の物流費用の上昇にも影響を及ぼす[29]

寒卵

寒中小寒 - 立春の間)に産まれた卵は寒卵と言い、味が良く日持ちもするとされる[30]。また、無精卵が多いとされる[30]。寒卵は俳句季語にもなっている。

流通・販売と貿易

賞味期限・消費期限

日本国内では鶏卵の日付の表示手引[31]により、鶏卵を介してのサルモネラ食中毒が起こらない期間は、下記の様に示されている[32]

産卵日を起点とし、

  • 鶏卵の生食できる消費期限冷蔵庫での保存期間を加えた日数)は、10 ℃57日間、24 ℃22日間[31]
  • 卵の賞味期限は、夏期(7 - 9月)が産卵後16日以内、春秋期(4 - 6月、10 - 11月)が産卵後25日以内、冬季(12 - 3月)が産卵後57日以内とされている。実際の商品表示は、実状はパック事業者と量販店、バイヤーの話し合いで決めておりパック後2週間(14日)程度を年間を通して賞味期限としている所が多い。
  • より安全かつ美味しく食べたい場合には、夏期7日間[33]冬期21日が目安[31]。これより時間が経つと、ドロッとしている白身がサラサラとした感じになり、黄身についても風味の劣化が目立ってくる。
  • 生卵は賞味期限が過ぎていても、腐っていなければ問題なく食べることができる。ただし、賞味期限2週間を過ぎた卵を使う場合には、加熱調理を心掛けたほうが望ましい。卵が腐っていれば「強い異臭」がしたり、黒や緑に「変色」し、この状態なら判別は容易になる。

日本からの生鮮卵輸入を認めているのは、2019年11月時点でアメリカ合衆国、香港マカオ[34]台湾シンガポール。実際の輸入は香港がほとんどを占める。輸出量は2018年まで7年続けて増え、2019年は10月までの累計6843トンで、過去最高だった2018年を超えた[35]

鶏卵パック

スーパーマーケットで販売される卵は、パック詰めで販売される。「パルプモウルド」(モールド)と呼ばれるのようにパルプから作られる容器[36]や、透明なプラスチック製の容器に入った状態で店頭に置かれる。

業務用製品

業務用(調理用・製菓用)の加工卵は、液状の凍結全卵、凍結卵黄、凍結卵白、粉末状の乾燥全卵、乾燥卵黄、乾燥卵白の形態で供給される。

鶏卵の鮮度

産み落とされてからの日数の経過に伴って鶏卵には様々な変化が生じる。そのうちの主要なものは濃厚卵白の水様化、カラザおよび卵黄膜の状態の変化である。濃厚卵白の水様化とは卵黄のまわりの卵白のこんもりとした盛り上がりが消える現象である。また、カラザおよび卵黄膜の変化によって、卵を割り落としたときの卵黄の形が扁平なものになり、さらに卵黄が破れやすくなる。そのままの状態で放置すれば腐敗するが、長年放置すると石のように白く硬化する。

鶏卵の鮮度は、ハウユニットや卵黄係数によって表示される。ハウユニットは濃厚卵白の水様化に着目した指標であり、卵黄係数は卵黄の形の扁平さに着目した指標である。


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