鶏卵とコレステロール
出典: フリー百科事典『ウィキペディア(Wikipedia)』 (2022/04/02 02:27 UTC 版)
Mサイズの鶏卵 (60g) の黄身には、252mgのコレステロールが含まれている。 2003年の世界保健機関 (WHO) による生活習慣病予防に関する報告書では1日のコレステロールの摂取目標を300mg未満としている。米国の農務省および保健社会福祉省の "Dietary Guidelines for Americans 2010" によると年齢に関係なく健康な人の場合で300mg未満である。日本の厚生労働省の『日本人の食事摂取基準(2010年版)』によるとコレステロールの摂取目標量の上限は成人男性で1日当たり750mg、成人女性で600mgであり、摂取目標量の下限はない。コレステロールは動物性食品全般に含まれており、総摂取量の半分を鶏卵からとすると日本での一日当たりの成人の鶏卵の摂取目標量上限は2個以下、WHOが公表しているガイドラインの場合は健康な人で1個以下となる。 論文『Egg yolk consumption and carotid plaque』の著者らは、黄身の習慣的な摂取について、「心血管疾患の危険がある人々は避けるべき」と書いている。2010年に発表された論文『Dietary cholesterol and egg yolks: Not for patients at risk of vascular disease』の著者らは、卵を1日につき1個摂取している場合、週に1個未満と比較して、糖尿病のリスクが2倍以上になるとしており、「糖尿病患者がとくにそうだが、成人は無分別に卵の黄身を食べるべきではない」「コレステロールの摂取は制限しなければならない」「コレステロールの摂取を制限することで、心血管疾患が減少する」と発表しているが、一方で、男女ともに卵の高摂取による糖尿病発症リスク増加は見られないとする研究もある。 肥満と糖尿病に悩む人に向けられたウェブサイト『Diet Doctor』では、卵の黄身に含まれるコレステロールの摂取は糖尿病の合併症の危険性の増加とは何の関係も無く、それどころかその危険性を減らし、インスリン抵抗性も改善できる、としている。 また、白身だけを食べるよりも、白身も黄身も一緒に食べる(全卵を食べる)ことで、筋肉量は増加しやすくなる。 朝食時に卵を2個、週に合計12個摂取し続けた(ナトリウムの摂取量も増やした)ところ、LDLコレステロール値と血圧は低下した。一方、卵を食べずに炭水化物が多いものに置き換えて食べる(高糖質食を摂取する)と、インスリン抵抗性が高まった(心血管疾患を患う危険性が上昇した)。 1日に卵を3個摂取すると、抗酸化作用を持つ物質が有意に増加する。 卵の摂取量を増やすと、HDLコレステロール値は上昇し、中性脂肪の数値は低下した。また、卵の摂取量の増加およびコレステロールの摂取の増加は、痴呆症(認知症)を患う危険性の増加とは何の関係も無く、卵の摂取を増やすことで、痴呆症を患う危険性は低下した。
※この「鶏卵とコレステロール」の解説は、「鶏卵」の解説の一部です。
「鶏卵とコレステロール」を含む「鶏卵」の記事については、「鶏卵」の概要を参照ください。
- 鶏卵とコレステロールのページへのリンク