鶏卵の生産方法
出典: フリー百科事典『ウィキペディア(Wikipedia)』 (2022/07/21 14:19 UTC 版)
採卵用に飼育されている鶏は、1.3日に1個卵を産むように選択的繁殖が行われた種である。採卵用に飼育される鶏種で最も一般的なものは白色レグホンである。そのため白色レグホンの雄はひなの雌雄鑑別で処分(殺して廃棄)され、卵を産む雌のみが飼育される。雌の雛は75日齢頃まで専用の鶏舎で群飼される。過密な群飼によりひな同士のつつき合いが広がりやすく、傷つくひなが出てくるため、嘴の切断(デビーク)が行われる。嘴の切断は、無麻酔で行われ、日本の採卵養鶏では約50%で実施されている。 雛は75日齢頃からケージで飼育される。卵を衛生的、かつ集約的に生産できるよう、バタリーケージで飼育されることが多い。日本の採卵養鶏場では約90%以上がバタリーケージ飼育である。バタリーケージ飼育とは、巣や砂場や止まり木のない、1羽あたりの面積の狭いケージの中で、鶏を飼育する方法である。日本のバタリーケージの平均サイズは1羽あたり470cm2程度。これはB5サイズに満たない大きさである。鶏には隠れて卵を産みたいという強い欲求があり、砂場は掃除行動の一種である砂浴びをするために欠かせないものである。また、狭いケージで鶏を飼育する方法は動物愛護の観点から問題があるとして、アメリカにおける4つの州や欧州連合 (EU) では、こういったバタリーケージ飼育は禁止されている。 採卵鶏は150日齢頃から産卵を始める。産卵を開始して約1年が経過すると、卵質や産卵率が低下し、自然に換羽して休産期に入る鶏が出てくる。このため、換羽前に屠殺する場合もあるが、長期にわたって飼養する場合には強制換羽が行われる。強制換羽とは、鶏を絶食させることで給餌を制限し、飢餓の状態におくことで、新しい羽を抜け変わらせることである。強制換羽で生き残った鶏は、また市場に出せる質の良い卵を生むことができる。強制換羽は日本の採卵養鶏では約50%で実施されている。強制換羽後、約8か月間産卵させ、屠殺する。
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