採卵鶏
出典: フリー百科事典『ウィキペディア(Wikipedia)』 (2022/05/30 14:59 UTC 版)
鶏の祖先と言われるセキショクヤケイの年間産卵数は数十個ほどといわれているが、育種により家禽化された採卵鶏の産卵数は320個に増加している。産卵能力の向上は、鶏の体の代謝に負担をかけ、骨粗鬆症やそれに伴う骨折、生殖器障害などの生産疾患を引き起こしている。骨は、卵の殻の生産に使用されるカルシウムを貯蔵しているが、骨から卵殻にカルシウムを移動すると、鶏は骨粗鬆症、それに引き続き、骨折を起こしやすくなる。2004年には、産卵鶏の80 - 89%が骨粗鬆症だと推定されている。さらに、採卵鶏は身体維持に必要なエネルギーを抑え、より大きな卵を早期に産卵させるという観点で育種が行われている。しかし小さな体で大きな卵を産むことが鶏の竜骨に悪影響を与えることが指摘されており、2021年8月に発表された研究では、40の群れからの4794羽の鶏を調査した結果、80%に竜骨骨折が見られた。 生殖器障害も一般的で、2005年から2008年にかけて行われた研究では、20週齢以上の採卵鶏の合計6,572羽の死体を調べた結果、卵管病変が1715羽で記録されている。また、次のような記載もある。 採卵鶏の廃鶏では、卵巣由来腺癌、卵管腺癌、卵管靭帯由来平滑筋腫の発現率が高く、産卵の停止、腹部膨満、削痩などの症状がみられるほか卵巣、卵管等に腫瘤の形成がみられ、さらに他の内臓に転移病巣が形成される。 — -社)日本食品衛生協会、食鳥処理衛生ハンドブック2007
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