発表された研究
出典: フリー百科事典『ウィキペディア(Wikipedia)』 (2022/07/13 13:34 UTC 版)
エアロスペース・メディスン・アンド・ヒューマンパフォーマンス(英語版)において、2016年に発表された研究では、航空機が関与する自殺および、巻き添えによる殺人を体系的に調査している。調査官達は、「航空医学の文献や、メディアでは「自殺」と「巻き添えによる殺人」の両方を「操縦者による自殺」と表現している。しかし、精神医学では、異なる危険因子を持つ別個の出来事と考えられている」と指摘している。この研究は、1999年から2015年の航空機事故を対象としている。医療データベース、インターネット検索エンジン、および航空安全データベースを調査し、(同期間の195件の航空機事故に対して)自殺は65件、航空機から乗客が飛び降りた事例の6件を含めている。また、このうち18件は、合計732人の死者を含む殺人自殺であった。うち、操縦者が乗客を巻き添えにした事例は、13件であった。この研究によると、バスや電車など、航空以外の事例と比較すると、航空機では操縦者による自殺における殺人自殺の割合が、17%ほど大きかった。 調査官のケネディは、航空機を利用した自殺および殺人自殺は、極稀にしか発生しないものの、地上における事故と比較した場合、巻き添えとなる死亡者が多くなることから、その社会的な影響は、大きくなると述べている。この調査では、以下の点が指摘された。 メディアが自殺または殺人自殺を報道した後、操縦士による自殺が連続して発生するクラスター化の証拠がある(模倣犯が多発する)。 民間旅客機の操縦者による6件の自殺(および殺人)のうち、5件は、操縦者はコックピットに放置された後に発生した。一方、6件目の日本航空の事故(日本航空350便墜落事故)では、機長が操縦桿を押し込んで自殺を試みるも、コックピットにいた副操縦士が阻止に動いたことで、結果的に墜落はしたものの、その衝撃を和らげる事になり、150人の命が救われた。この事例は、コックピットに2人の操縦士がいることで、自殺は未然に防げる、あるいは被害を軽減できると示唆している。 自殺または殺人自殺のリスクに関連する単一の要因はなかった。両方の事例に関連する要因には、操縦者が有している法的なトラブル、金銭的問題、職場での悩み、精神障害、および人間関係によるストレスが含まれている。自殺のほぼ半分では、薬物やアルコールの影響が見られた。しかし、これらは、殺人自殺では影響が見られなかった。
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