ナルコレプシーは古くから知られていた過眠症のひとつで、日中に突然強い眠気が出現して、眠り込んでしまう病気です。
ナルコレプシーの眠気は強烈で睡眠発作と呼ばれます。入学試験中や初めてのデート中、顧客との商談中に眠り込んでしまうほどです。また、眠気が襲ってきたことに気づく前に眠り込んでしまうため、居眠りをしたことに本人が気づかないこともあります。
ナルコレプシーに特徴的な症状として、びっくりしたり大笑いしたときに全身や身体の一部の力が抜けてしまうカタプレキシー(情動脱力発作)、寝入りばなに出現する幻覚様の体験(入眠時幻覚)、寝入りばなに出現する金縛り(睡眠麻痺)があります。
近年、ナルコレプシーの原因が、脳の中のヒポクレチン(オレキシン)を作り出す神経細胞(ヒポクレチン・ニューロンあるいはオレキシン・ニューロンといいます)が働かなくなることによって起こることがわかりました。この神経細胞が働かなくなる遺伝子異常が犬のナルコレプシーの血統で見つかったこと、同様の遺伝子異常が組み込まれたネズミでナルコレプシーの症状が出現すること、ナルコレプシー患者さんでは脳脊髄液中のヒポクレチン(オレキシン)がほとんど消失していることから、確認されたものです。
ナルコレプシー【narcolepsy】
ナルコレプシー
ナルコレプシー
【英】:narcolepsy
ナルコレプシー
出典: フリー百科事典『ウィキペディア(Wikipedia)』 (2024/01/15 09:47 UTC 版)
ナルコレプシー (narcolepsy)とは、日中において場所や状況を選ばず起こる強い眠気の発作を主な症状とする睡眠障害である。日本語で居眠り病(いねむりびょう)と呼ばれる。自発的に覚醒を維持する能力、およびレム睡眠を調節する機能の両者が阻害される[1][2]。
注釈
出典
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- ^ a b 本多裕『ナルコレプシーの研究―知られざる睡眠障害の謎』悠飛社、54, 56頁。ISBN 9784860300180。
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- ^ “俳優・岩義人「ナルコレプシー」で芸能活動休止 今後はYouTubeで活動”. 2020年5月1日閲覧。
- ^ “「純情のアフィリア」に加入した青葉区出身セラさん「夢は大きく、武道館」 | 青葉区”. タウンニュース (2017年8月31日). 2020年8月5日閲覧。
ナルコレプシー
出典: フリー百科事典『ウィキペディア(Wikipedia)』 (2021/05/21 22:08 UTC 版)
睡眠障害国際分類(ICSD)などの診断基準によって、ナルコレプシーの確定診断を受けた場合である。また添付文書の重要な基本的注意には、睡眠関連障害の診断・治療に精通した精通した医師のもとでと記載されている。
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ナルコレプシー
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「メチルフェニデート」の記事における「ナルコレプシー」の解説
ナルコレプシーの睡眠発作に効果があり、日中の異常な眠気を抑え正常な日常生活が送れるようにする。ナルコレプシー患者の多くはメチルフェニデートによって日中の異常な眠気・居眠りが抑えることができる。リタリンの一般臨床試験で有効率は89.6%(95/106)で、各症状に対する改善率は 睡眠発作:91.5% 精神活動性減退:90.1% 脱力発作:79.4% 入眠時幻覚:75.2% 睡眠麻痺:79.8% 夜間熟眠困難:57.4% であった。
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ナルコレプシー
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「インフルエンザワクチン」の記事における「ナルコレプシー」の解説
2013年に発表されたある研究によると、2009年にH1N1インフルエンザが大流行した際に用いられたワクチンのひとつである「H1N1インフルエンザASO3アジュバント添加ワクチン」の接種者において、ナルコレプシーの発生率が増加していることが確認されており、この機序を解明することによって、ナルコレプシーが自己免疫疾患であることが示唆された。この研究では、「H1N1インフルエンザASO3アジュバント添加ワクチン」は、オレキシン(ヒポクレチン-1)と類似しており、ナルコレプシー発症の原因となり得るとされていた。ただし、上記の主旨で発表された2013年の論文は、論文の構成上重要な実験が再現できなかったとして、2014年に著者により取り下げられている。
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