睡眠・覚醒リズムは、体温などの自律神経系、内分泌ホルモン系、免疫・代謝系などと同様に、体内時計によって約1日のリズムに調節されており、このような約1日の周期をもつリズムのことを概日リズムと呼んでいます。ヒトの体内時計の周期は約25時間であることがわかっていますが、地球の1日の周期は24時間であり、体内時計とは約1時間のずれがあります。日常生活において、さまざまな刺激(同調因子)を受けることにより、体内時計が外界の周期に同調して約1時間のずれが修正されています。もっとも強力な同調因子は光であり、食事や運動、仕事や学校などの社会的な因子も同調因子として働いていると考えられています。
この体内時計の周期と地球の24時間の周期との間のずれを修正することができない状態が続くと、望ましい時刻に入眠し、覚醒することができなくなってきます。また、無理に外界の時刻に合わせて覚醒しても、眠気や頭痛・倦怠感・食欲不振などの身体的な不調が現れてきます。このように体内時計の周期を外界の24時間周期に適切に同調させることができないために生じる睡眠の障害を概日リズム睡眠障害といいます。
概日リズム睡眠障害は、人為的・社会的な理由により体内時計を短期間にずらさなければならない場合に起こる時差症候群(時差ぼけ)、および交代勤務睡眠障害、体内時計が外界の周期に同調する機能に問題がある場合に起こる内因性概日リズム睡眠障害(睡眠相後退症候群、睡眠相前進症候群、非24時間睡眠覚醒症候群、および不規則型睡眠覚醒パターン)に分類されます。
がいじつリズム‐すいみんしょうがい〔‐スイミンシヤウガイ〕【概日リズム睡眠障害】
概日リズム睡眠障害(がいにちりずむすいみんしょうがい)
概日リズム睡眠障害
【英】:Circadian rhythm sleep disorder
概日リズム睡眠障害
出典: フリー百科事典『ウィキペディア(Wikipedia)』 (2022/08/13 01:47 UTC 版)
概日リズム睡眠障害(がいじつリズムすいみんしょうがい)とは、概日リズムの障害に基づくと考えられる睡眠障害の一群である。概日リズム睡眠障害を持つ人は出勤、登校、その他の社会生活において要求される通常の時間に寝起きすることができない。もし自らの体内時計の要求する時間に寝起きすることが許されるのならば、彼らは通常十分な睡眠をとることができる。その他の睡眠障害を併せ持っていない限り睡眠の質も通常である。
- ^ a b c 医学博士小池茂文, 2008 & p69.
- ^ a b 日本睡眠学会・認定委員会、睡眠障害診療ガイド・ワーキンググループ 『睡眠障害診療ガイド』医学書院、2011年7月、63頁。ISBN 978-4830636219。
- ^ a b c Burgess, Helen J.; Revell, Victoria L.; Molina, Thomas A.; et al. (2010). “Human Phase Response Curves to Three Days of Daily Melatonin: 0.5 mgVersus3.0 mg”. The Journal of Clinical Endocrinology & Metabolism 95 (7): 3325–3331. doi:10.1210/jc.2009-2590. PMC 2928909. PMID 20410229 .
- ^ 馬場 麻好・山下 秀尚・中原 光史・澤 雅世・岡田 剛・片桐 秀晃・水野 創一・村岡 満太郎・山脇 成人 (2007). “精神遅滞,強迫性障害を合併した概日リズム睡眠障害患者の治療にリスペリドンが著効した1例”. 心身医学 47 (12): 1055.
- ^ The Cleveland Clinic Guide to Sleep Disorders by Nancy Foldvary-Schaefer, DO (PDF)
- ^ Lewy AJ, Ahmed S, Jackson JM, Sack RL (1992). “Melatonin shifts human circadian rhythms according to a phase-response curve”. Chronobiol. Int. 9 (5): 380–92. PMID 1394610.
- ^ a b 山寺博史「その他の睡眠障害の治療薬」 『睡眠学』朝倉書店、2009年2月、681-685頁。ISBN 978-4254300901。
- ^ 河合, 真 (2009年8月31日). “第3回 現代医学と睡眠について ~生理的であるということ~”. 一般社団法人日本臨床睡眠医学会. 2022年8月13日閲覧。
- ^ Kathryn Doyle (2014年8月12日). “Little evidence to support sleep/wake drugs for shift workers: study”. Reuters. Reuters. 2022年8月13日閲覧。
- ^ “Drugs for treating people with sleepiness during shift work and sleep problems after shift work”. Cochrane (2014年8月12日). 2022年8月13日閲覧。
- ^ Goodspeed, Eric; Coulter, Lois; Hudson, Jonell (2014). “Is modafinil safe and effective at improving mental performance in shift workers?”. Evidence-Based Practice (Family Physicians Inquiries Network) 17 (12): 14. doi:10.1097/01.EBP.0000540864.23326.8e.
- ^ 医学博士小池茂文, 2008 & p72.
- ^ 医学博士小池茂文, 2008 & p73.
- 1 概日リズム睡眠障害とは
- 2 概日リズム睡眠障害の概要
- 3 診断
- 4 参考文献
- 概日リズム睡眠障害のページへのリンク