概念記法とは? わかりやすく解説

概念記法

出典: フリー百科事典『ウィキペディア(Wikipedia)』 (2022/10/05 19:17 UTC 版)

The title page of the original 1879 edition

概念記法』(がいねんきほう、: Begriffsschrift)は、ゴットロープ・フレーゲによって1879年に出版された論理学に関する短い本の題名であり、またその本で創始された形式体系の名称である。

この本の完全な書名は「算術式言語を模した、純粋な思考のための一つの式言語 eine der arithmetischen nachgebildete Formelsprache des reinen Denkens」である。『概念記法』は、アリストテレスが論理学という主題を創設して以来、論理学に関するおそらく最も重要な出版物であった。フレーゲが自分の式を開発して論理に到達しようとした動機は、ライプニッツが彼の推論計算機に対して持った動機と似ている。続いてフレーゲは、数学の基礎の研究に彼の論理計算を用い、それは次の四半世紀にわたって遂行された。

『概念記法』の意義

Terrell Ward Bynumは『概念記法』の意義を11項目挙げている[1]。そのうちの主なものは以下の通りである。

命題関数

命題関数の発明(第1章§9 関数)。「水素は二酸化炭素より軽い」を表す式言語において,「水素」の代わりに「酸素」あるいは「窒素」を代入することができる。そこで,「水素」を項,「二酸化炭素より軽い」を関数と呼ぶ。項Aの関数をΦ(A)のように書く。フレーゲは,それまで名辞(主語-述語)で表されていた命題を,関数で表したのである。

量化理論

量化理論の発明(§11 一般性)。「すべての(all)」や「ある(some)」を扱う量化記号を導入した。これによって「誰もが誰かを愛している」のような多重量化された文を扱うことができるようになった。

関係の祖先

関係の祖先の最初の定式化(第3章§23- 系列の一般理論)。後述「祖先関係」。

数学的帰納法

数学的帰納法の証明の最初の論理的分析(第3章§23- 系列の一般理論)。後述「祖先関係」の「数学的帰納法」。


である。また,第二階の量化の考えも見られる。

第二階の量化

(§10)。フレーゲは,Φ(A)において記号Φは他の記号Ψ,Xで置き換え可能なものであるから,Φ(A)を項Φの関数と見なすことができる,と言う。ここで彼は関数の関数を考えている。

表記法およびシステム

この計算には,量化された変数という概念が初めて導入され,また,高度に特異的な2次元表記法で表示されているとはいえ,同一性を持った本質的に古典的な2値の二階論理である:結合子と限量子は,今日使用される¬,∧,∀ではなく,式をつなぐ線を用いて書かれる。たとえば,Bという判断に材料として判断Aが含まれること(実質含意),すなわちと書かれる。

第1章でフレーゲは,命題(「判断」),全称量化子(「一般性」),条件法,否定,内容の相等性のための記号 はこれらの可能性のうちで3番目のことは起こらず,他の3つのうちの1つが起こるという判断を意味する。すなわち,我々が を否定するということは,3番目の可能性が妥当であることを意味する,すなわち我々はAを否定し,かつ,Bを肯定する。」

公理

第2章でフレーゲは,9つの式化された命題公理として宣言し,それらは意図された意味を与えられて直観的真実を表現する,と非公式に論争してそれらを正当化した。現代的な表記法で再表現すると,これらの公理は次のとおりである:

  1. ウィキメディア・コモンズには、概念記法に関連するカテゴリがあります。




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