鶏冠状突起
出典: フリー百科事典『ウィキペディア(Wikipedia)』 (2022/06/01 17:07 UTC 版)
画像-1 :2013年以前の考え方に基づく棒状のトサカの復元 画像-2 :2013年以後の研究結果に基づいた復元図 チンタオサウルスはもともとユニコーンの角のような突起をもった頭で復元されていた。このトサカは欠けている部分を補修した状態で長さ約40cm、鼻面に対してほぼ垂直に伸びるものと推定されていた。その構造は曲がった先端部に隙間があり筒状になっている。 アルバート・マルケスとジョナサン・ワーグナーによる2013年のホロタイプの同定に基づく新たな復元では、棒状の骨はより鼻骨の先端から始まるより大きく広いものであるとされた。鶏冠状突起の前部は、前上顎骨の隆起によって形成されたと思われる。突起の後部は隆起プロセスの拡張された鼻骨上部と方形骨の接触面で形成されていた。突起の後部基部は、前頭骨の発達によって覆われていた。癒合した鼻骨は他のランベオサウルス亜科のようにチューブ状構造を形成すると思われる。突起の高さは、少なくとも標本に残されている部分を超えたに違いない。ほぼ垂直ではあるが、後方にわずかに傾いている。ホロタイプの突起の前方傾斜は、化石化する中で変形した結果であるとされる。 マルケスとワグナーによる新たな復元は、突起の内部気道についての新たな仮説を導いた。楊は、ホロタイプの保存された部分の管状空洞化が呼吸に役立つと仮定していたが、マルケスらはこれを拒否した。楊の考えは、鶏冠状突起内部が前方の気道とつながっており、呼吸をすると空気が嘴上部の後ろにある疑似鼻孔を通ったという、ランベオサウルス亜科の鶏冠状突起の説明として一般的な仮定である。空気は前上顎骨の頂点まで側頭骨の下に位置する一対の気道を通って輸送され、続いてローブ(丸い突出部)内で共通(左右の気道から合流する)の中央の空洞に入る。空洞の後部は、鼻骨によって形成され、恐らく鼻腔と相同であった。空洞は、正面に1つ、背面に2つの小さな空洞に分割され、空洞の間の通路は周りの前上顎骨と側頭骨のフック状の構造によって形成された。後部空洞から、空気は頭骨内部の隙間に向かって下方に運ばれた。一般的にはこれが気道であると考えられているが、マルケスらは鼻腔が前上顎骨の側頭骨の内側、下向きに位置していることから、鶏冠状突起内の空気とは繋がらない可能性が高いと結論づけ、中央の空洞は恐らく軟骨性の隔壁によって左右の区画に分割されるとした。 マルケスらの結論は、後方の鼻骨の管状構造は空気の通路ではなく、相対強度と低骨量とを組み合わせることで鶏冠状突起を軽量化していたに過ぎないと主張した。チンタオサウルスはその鼻孔の位置からして、他の多くのランベオサウルス亜科とは鶏冠状突起の構造や役割がかなり違っていたと思われる。
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