肥満と糖尿病
出典: フリー百科事典『ウィキペディア(Wikipedia)』 (2022/05/06 16:27 UTC 版)
TGF-β/SMAD3シグナル伝達経路はグルコースの調節とエネルギー恒常性に重要であり、糖尿病性腎症に関与している可能性がある。 マクロファージに関する節で述べた通り、肥満によるTGF-βシグナル伝達の喪失は、肥満症例で形成される炎症性環境に寄与する因子の1つである。 IL-2の存在下でTGF-βによって刺激されたiTregは、Foxp3とIL-10(英語版)を介した応答によって、多発性硬化症の動物モデルである実験的自己免疫性脳脊髄炎の発症を抑制する。このことはTGF-βとiTregによる多発性硬化症の調節と治療の可能性を示唆している。 TGF-βレベルの低下は多発性硬化症と診断された患者で観察される。多発性硬化症におけるTGF-βの役割は、Th17細胞のアポトーシスの調節であると説明される。TGF-βのレベルが低下すると、Th17細胞のアポトーシスを誘導することができなくなる。Th17細胞はTNF-αを分泌し、TNF受容体TNFR1(英語版)を介してオリゴデンドロサイトの脱髄を誘導する。TGF-βレベルの低下はTh17細胞の増加とTNF-αレベルの増大をもたらし、その結果、神経細胞の脱髄が生じる。TGF-βはオリゴデンドロサイトの成長を誘導することも観察されており、TGF-βレベルの低下は神経細胞の髄鞘再生も妨げている可能性がある。
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