消費者物価指数とは? わかりやすく解説

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しょうひしゃぶっか‐しすう〔セウヒシヤブツカ‐〕【消費者物価指数】

読み方:しょうひしゃぶっかしすう

消費者購入する商品・サービス価格変動を示す指数総務省統計局作成し毎月発表している。CPIconsumer price index)。→卸売物価指数

[補説] 好景気不景気を示す指標となるため、「経済体温計」ともよばれる


消費者物価指数(しょうひしゃぶっかしすう)

1995年物価水準基準としたときの現在の物価水準

全国消費者世帯購入する商品とサービス価格表した経済指標で、物価の変動時系列測定する。「経済体温計」という役割果たしさまざまな用途利用されている。

現在使われている消費者物価指数は、1995年当時の物価水準100としたときに現在の水準がどの程度であるのかを数値表している。100超えていれば物価上昇反対に100下回っていれば物価下落していることを意味する

消費者物価指数は総務省統計局算定行い毎月発表している。算定方法は、消費者世帯家計一定の商品とサービス消費される固定して、それらを購入するめにかかる費用物価の変動でどうなっているのかを調べる。

最近では、家計消費構造1995年当時比べて変わってきているので、消費者物価指数よりも実際体感物価のほうが低くなっているとの指摘がある。総務省では、5年ごとに算定基準改定していて、夏にも2000年基準とする消費者物価指数に移行する。このとき、パソコン携帯電話代などが新しく指数反映される

消費者物価指数は、経済政策参考使われるだけでなく、国民年金厚生年金などの物価スライド制にも利用されている。これは、物価変動しても、実質的な給付水準維持することを目的としている。

(2001.07.03更新


消費者物価指数(CPI:consumer price index)


消費者物価指数

消費者物価指数は、全国消費者世帯農林漁家世帯及び単身世帯を除く。)が購入する各種商品とサービス価格総合した物価の変動時系列的に測定するのである。すなわち、消費者物価指数は、家計消費構造一定のものに固定し、これに要する消費物価の変動によってどう変化するかを指数値示したのである
 したがって世帯購入する商品とサ一ビス種類購入数量変化に伴う世帯生活費変化測定するものではない。

消費者物価指数

出典: フリー百科事典『ウィキペディア(Wikipedia)』 (2024/06/19 06:10 UTC 版)

消費者物価指数(しょうひしゃぶっかしすう、: consumer price index、略称:CPI)とは、最終価格 (消費者が実際に購入する段階の、相対価格(一般物価)) の変動を表す指数。消費者物価指数の項目、構成比、算出方法には国ごとに違いがある[1]

算出

米国のCPI(青線)

アメリカ合衆国では、人口の約90%を対象とする全都市消費者物価指数(CPI-U:CPI for All Urban Consumers)がCPIとして一般的に使用されている[3]。アメリカ労働統計局(US Bureau of Labor Statistics)が発表している[3]

アメリカでは、天候要因によって供給が大きく左右される食料と、他国の需要と供給にも影響を受けるエネルギーを除く指数を『コアCPI』としている[1][3]

米国のCPI(棒線)と、M2マネーサプライ(折れ線)

日本

総務省が毎月発表する小売物価統計調査を元に作成される指標で、物価の一つ。1946年8月より調査開始。「東京都区部消費者物価指数」など一地域での指数と区別するため「全国消費者物価指数」と称されることもある。

同省の定義では「全国の世帯が購入する家計に係る財及びサービスの価格等を総合した物価の変動を時系列的に測定するもの。すなわち家計の消費構造を一定のものに固定し、これに要する費用が物価の変動によって、どう変化するかを指数値で示したもの。」となっている[4]

国民の生活水準を示す指標のひとつとなっている。消費者物価指数は「経済の体温計」とも呼ばれており、経済政策を的確に推進する上で重要な指標となっている[5]。家計調査やGDP統計における家計消費支出など他の経済指標を実質化するためのデフレーターとしても利用されている[5]。また、年金などでは、物価変動に応じて実質的な給付水準を見直すことが法律によって定められており、この物価の動きを示す指標として消費者物価指数が使われている[5]日本銀行金融政策における判断材料として使用しているほか、賃金、家賃や公共料金改定の際の参考に使われるなど、官民を問わず幅広く利用されている[5]

日本のCPI(COICOP2018基準)。水色がCPI、緑がコアコアCPI。
日本の1980年代以降のCPI(前年度比)

作成方法

小売物価統計調査(総務省調査)の小売価格の平均から個別の指数を作成し、家計調査(総務省調査)からウェイトを作成、統合して全体の指数を作成している。

  • 小売価格調査:全国から167市 町村を選び、小売価格はその中で代表的な小売やサービス事業所約30,000店舗、家賃は約25,000世帯、宿泊料は約530事業者を対象として約880名の調査員が調査している。価格は実際に販売している小売価格(特別セール売り等は除外)。
  • 指数品目:消費者が購入する商品及びサービスの物価変動を代表できるように
  1. 家計支出上重要である
  2. 価格変動の面で代表性がある
  3. 継続して調査が可能である
という観点から選んだ平常小売価格596品目及び、持ち家の帰属家賃4品目の合計600品目を対象とする。品目は、最近の消費の変化を反映させ、なるべく物価の動きを正しくつかめるようにするため、5年ごとに見直される。
日本の消費者物価指数(前年同月比)の推移

総合指数

総合指数として、2021年現在、通常の総合指数(CPI)のほかに別掲として以下の三つを公表している[5]

  • 生鮮食料品を除く総合(コアCPI
  • 食料(酒類を除く)及び石油石炭天然ガスなどエネルギーを除く総合(コアコアCPI
  • 持ち家の帰属家賃を除いたもの

通常、ニュース等で報道される消費者物価上昇率や物価が○%上がった、といった値は全国総合指数が使われる。

消費者物価は個人所得等のデフレータとして使用される。例えば実質個人所得を求める際の式は以下のとおり。

名目個人所得÷消費者物価指数×100

平均価格・購入単価との違い

家計調査では、家計が支出した金額だけでなく購入数量も調査している。このため、個別の品目について家計が購入した平均価格や購入単価を知ることができる。消費者物価指数の個別品目の価格動向と、家計調査の平均価格や購入単価の動きとはかなり異なった動きをすることが知られている。

これは消費者物価指数では、品質や性能を一定とした商品やサービスの価格を調査しているのに対して、家計調査では家計が購入するものの品質が一定ではないからである。また、同じ品質・性能の商品であっても、購入する店によって価格が変わることがある。例えば、紳士服などではデパートで購入していたものを、ディスカウント店で購入するようになると、品質が同じであっても購入単価が下落することになる。消費者物価指数では、同一店舗における価格が変化しなければ物価は変わらないので、より価格の安い店で購入するようになるといった家計の行動の変化による平均購入価格の変動を捕らえることはできない。

実体経済との誤差

アメリカ

1996年、アメリカではマイケル・ボルトンを委員長とする「消費者物価指数諮問委員会」が「アメリカの消費者物価指数は、実際の物価上昇率を平均1.1ポイント過大評価している」という報告書を公表し、議論を呼んだ[6]。以降、アメリカでは広範な製品について、バイアス調整が行われるようになった[6]

日本

日本の消費者物価指数は、実体より1ポイント程高めであることが知られており、仮に消費者物価指数でみて0%のインフレーションの場合、実際はマイナス1%のデフレーションである[7]

数字が高めになるのは、

  1. 消費構成を固定して捉えている。
  2. 消費者物価指数の算定対象に新しい品目が採用されにくい。
  3. 「実質的値下げ」を考慮していない。

の3つの要因があるからである[8]

日本銀行の白塚重典の集計では、消費者物価指数はプラス0.9ポイントほど高めの数値が出る傾向にあるとしている[9]

経済学者のクリスチャン・ ブローダ、デビッド・E・ワインスタインの研究では、日本の消費者物価指数はプラス1.8%の上方バイアスがあるとしている[10][11]

日本の消費者物価指数は5年ごとに基準改定があるが、改訂の直前に誤差が最大となる[12]

また、消費者物価指数は安売りが反映されなく、製品の質は考慮されにくい[13]

GDPデフレーターとの乖離

消費者物価指数と内閣府が試算しているGDPデフレーターの動きを比較すると、大きく異なっている[5]。この乖離については、対象の違いによる要因、算式の違いなどの要因が考えられている[5]

GDPデフレーターは国内で生産されるすべての財・サービスの価格を反映するが、消費者物価指数は消費者によってのみ消費された財・サービスの価格を反映するという違いがある[14]。GDPデフレーターは輸入製品の価格の変化を反映しないが、消費者物価指数は輸入製品の内の消費者が消費したモノの価格を反映する[14]

消費者物価指数には、自国で生産されていない外国から輸入された財・サービスが含まれる[15]。GDPデフレーターには、消費者が購入しないような工作機械・外国向けの販売品の価格が含まれる[15]

脚注

  1. ^ a b c 投資に役立つ経済ワードvol.6 インフレ”. 野村アセットマネジメント. 2020年6月27日閲覧。
  2. ^ 若田部昌澄 『もうダマされないための経済学講義』 光文社〈光文社新書〉、2012年、243頁。
  3. ^ a b c アメリカ経済を知る! 第8回 物価は経済の体温計”. 大和総研. 2020年6月27日閲覧。
  4. ^ 消費者物価指数(CPI)統計局ホームページ
  5. ^ a b c d e f g 消費者物価指数に関するQ&A(回答)”. 総務省統計局. 2022年12月閲覧。
  6. ^ a b 田中秀臣 『デフレ不況 日本銀行の大罪』 朝日新聞出版、2010年、頁。
  7. ^ 岩田規久男 『日本経済を学ぶ』 筑摩書房〈ちくま新書〉、2005年、246頁。
  8. ^ 森永卓郎 『日本経済50の大疑問』 講談社〈講談社現代新書〉、2002年、133-134頁。
  9. ^ 上念司 『デフレと円高の何が「悪」か』 光文社〈光文社新書〉、2010年、80頁。
  10. ^ 上念司 『デフレと円高の何が「悪」か』 光文社〈光文社新書〉、2010年、81頁。
  11. ^ 田中秀臣 『不謹慎な経済学』 講談社〈講談社biz〉、2008年、157-158頁。
  12. ^ 上念司 『デフレと円高の何が「悪」か』 光文社〈光文社新書〉、2010年、76頁。
  13. ^ 岩田規久男 『日本経済にいま何が起きているのか』 東洋経済新報社、2005年、180頁。
  14. ^ a b 岩田規久男 『日本経済にいま何が起きているのか』 東洋経済新報社、2005年、14頁。
  15. ^ a b 田中秀臣 『経済論戦の読み方』 講談社〈講談社新書〉、2004年、39頁。

関連項目

外部リンク


消費者物価指数

出典: フリー百科事典『ウィキペディア(Wikipedia)』 (2021/09/10 07:35 UTC 版)

物価」の記事における「消費者物価指数」の解説

詳細は「消費者物価指数」を参照 消費者物価指数の項目、構成比算出方法には国ごと違いがある。 日本での調査機関総務省1946年8月より調査開始

※この「消費者物価指数」の解説は、「物価」の解説の一部です。
「消費者物価指数」を含む「物価」の記事については、「物価」の概要を参照ください。

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