血液 造血と破壊

血液

出典: フリー百科事典『ウィキペディア(Wikipedia)』 (2020/10/13 08:09 UTC 版)

造血と破壊

造血

ヒトは誕生以前の胎生時に当たる発生の極めて初期[1]には卵黄嚢造血管組織(血島)で造血がされるが、これは体外造血に当たる[19]。その後肝臓や脾臓で造血され、胎生5ヵ月頃には造血組織は順次萎縮する[19]。その後、誕生するまでには造血の場は成人期造血器官である骨髄のみに移る[19]

発生生物学的には造血には2つの段階がある事が知られている。「一次造血」は、発生初期に胚体外の卵黄嚢組織で起こり一時的に胚に血液を供給し、生涯全身に血液を供給する「二次造血」は、胚のAGM (aorta-gonad-mesonephros) 組織で起る。この、二次造血を行う細胞がどこから来たのか明らかでなかったが、理化学研究所の研究グループは、卵黄嚢にある造血細胞が二次造血にも関与していることを突き止めた。[20]

子供の時期には脛骨のみがほとんどの造血能を担うが、20代の頃には失われ大腿骨肋骨などの造血比率が高まる[21]。成人では体躯の胸骨、肋骨、脊椎、骨盤、リンパ組織などで造血が行われる[19]。さらに年齢を重ねると胸骨椎骨骨盤での産出比率が高まる[21]

骨髄のうち、造血を起こす部分は赤色骨髄のみで、黄色骨髄にその能力は無い[21]。すべての血球は幹細胞(造血幹細胞)を元に作られる。これが造血因子を受けながら分裂による増殖を繰り返し、様々な血球へ分化・成熟する。まず、造血幹細胞はリンパ系幹細胞か骨髄系幹細胞のいずれかになる。リンパ系幹細胞はリンパ芽球を経て白血球のうちリンパ球になる。骨髄系幹細胞は複数の分化を辿り、前赤芽球・赤芽球を経て赤血球、骨髄芽球を経て白血球(好中球、好酸球、好塩基球)、単芽球を経て白血球(単球)、巨核芽球・巨核球を経て血小板となる[21]

破壊

赤血球は老化すると柔らかさを失う。こうなったものは脾臓で細胞内皮系細胞による食作用で分解される。ヘモグロビンは分解し黄色色素のビリルビンとなり、肝臓で水溶性化を受け胆汁の中に含まれた形で十二指腸へ排出される。これは細菌作用でウロビリノゲンへ変化し、ほとんどは糞便に混じって、一部は腸の吸収を経て腎臓から尿中に含まれて排出される。分離した鉄は肝臓や脾臓から骨髄へ送られ、新たな赤血球形成に使われる[22]。白血球[15]や血小板[17]も老化すると脾臓で破壊されるが、白血球の寿命は種類によりまちまちで、顆粒球が2 - 14日に対し、リンパ球はときに数十年もの寿命を持つ場合がある[15]




  1. ^ a b c d e f g h i j k l m n o p q r s t u 生化学辞典第2版、p.420 【血液】
  2. ^ 『三輪血液病学』p179
  3. ^ Flindt、p.219
  4. ^ a b 佐藤・佐伯(2009)、p22、第2章 血液 1.血液bloodの成分と機能 (3)血液の成分
  5. ^ a b 生化学辞典第2版、p.1210 【ヘモグロビン】
  6. ^ 生化学辞典第2版、p.204 【エリスロクルオン】
  7. ^ 生化学辞典第2版、p.1214 【ヘモシアニン】
  8. ^ 生化学辞典第2版、p.1009 【バナドクロム】
  9. ^ a b 生化学辞典第2版、p.425 【血液細胞】
  10. ^ 浅野茂隆、池田康夫、内山卓 監修 『三輪血液病学』文光堂、2006年、ISBN 4-8306-1419-6、pp.2031-2036
  11. ^ 関正利、他 編集 『実験動物の血液学』ソフトサイエンス社、1981年、pp.13-19
  12. ^ 通常、血液細胞はこの分類がされることが多いが、リンパ球をさらに細かく分類することもある。また組織中の肥満細胞は同じく造血幹細胞から分化し、同じく組織中に存在するマクロファージは造血幹細胞から単球を経て分化するため、これらも広義には血液細胞の1種に数えられることもあるー参考文献・巽典之 編集『血液細胞ノート』文光堂、2005年、ISBN 4-8306-1418-8
  13. ^ a b c d 佐藤・佐伯(2009)、p.24-25、第2章 血液 2.赤血球 (1)形状と機能
  14. ^ a b 佐藤・佐伯(2009)、p.25-26、第2章 血液 2.赤血球 (2)ヘモグロビン(血色素)
  15. ^ a b c 佐藤・佐伯(2009)、p.29-30、第2章 血液 3.白血球 (1)形状と機能
  16. ^ 生化学辞典第2版、p.430 【血小板】
  17. ^ a b c 佐藤・佐伯(2009)、p.30-31、第2章 血液 4.血小板 (1)形状と機能
  18. ^ 佐藤・佐伯(2009)、p.32、第2章 血液 5.血漿 (1)血漿の成分と機能
  19. ^ a b c d 生化学辞典第2版、p.760 【造血器官】
  20. ^ 血液は体の外からやってきた 独立行政法人 理化学研究所
  21. ^ a b c d 佐藤・佐伯(2009)、p.23、第2章 血液 1.血液bloodの成分と機能 (4)血液blood cellの産出と幹細胞stem call
  22. ^ 佐藤・佐伯(2009)、p.27-28、第2章 血液 2.赤血球 (3)生成と破壊
  23. ^ a b 生化学辞典第2版、p.915 【糖尿病】
  24. ^ a b 生化学辞典第2版、p.1092 【貧血】
  25. ^ 生化学辞典第2版、p.433 【血友病】
  26. ^ 生化学辞典第2版、p.1007 【白血病】
  27. ^ a b c 佐藤・佐伯(2009)、p.39-40、第2章 血液 7.血液型
  28. ^ 黒崎嘉子, 天野光彦, 栗田吾郎 ほか、「食用に供する豚血液の加工と細菌汚染」『日本獣医師会雑誌』 40巻 2号 1987年 p.108-112, doi:10.12935/jvma1951.40.108
  29. ^ 」は「平和」を象徴し、「血」は「暴力」を象徴する。
  30. ^ The Watchtower 15 June 2004, p. 22, "Be Guided by the Living God"
  31. ^ Flindt、p.72





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