ポリクローナル抗体
英訳・(英)同義/類義語:polyclonal antibody
動物を免役して血清から調製した抗体は、同じ抗原に対して複数のB細胞が応答するために抗原との反応性が異なる免疫グロブリンの混合物となっているため、こうよぶ。通常はモノクローナル抗体よりも高い反応性を示す。
| 化合物名や化合物に関係する事項: | ホスファチジルセリン ホルムアルデヒド ポリ ポリクローナル抗体 マンガン ムスカリン メチル水銀 |
抗血清
(ポリクローナル抗体 から転送)
出典: フリー百科事典『ウィキペディア(Wikipedia)』 (2025/07/22 07:45 UTC 版)
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抗血清(こうけっせい、英: antiserum)とはポリクローナル抗体を含む血清。抗血清は多くの疾病の受動免疫を伝達するために使用される。 過去のヒトの生存者からの受動抗体の導入はエボラ出血熱に対する唯一有効な治療法である。
ポリクローナル抗体
ポリクローナル抗体とはヒトや動物に抗原を投与して得られる抗体分子群の総称である。また、モノクローナル抗体を複数組み合わせた薬剤もポリクローナル抗体と呼ばれる。
ウサギやヤギに対して免疫して作ることが多い。作られた抗体はウェスタンブロッティングや免疫染色などで、抗原の検出に用いられる。主に血清として回収されるため、抗血清とほぼ同義である。モノクローナル抗体と対比される概念で、複数の抗体産生細胞に由来する抗体群を表す言葉として、モノクローナル抗体の発明の後に広まった。抗原は一般に複数のエピトープを含むため、病原体の感染などにより自然の状態で生体に誘導される抗体は、すべてポリクローナル抗体である。複数の部位を認識するため、免疫沈降法においてはモノクローナル抗体よりも適しているが、非特異的吸着も起こりやすい。
血清療法
動物(馬など)に、毒素を無毒化・弱毒化した上で注射し、毒素に対する抗体を作らせる。血清療法は、この抗体を含む血清を、病気の治療や予防に用いる方法である。例えば、ニホンマムシやハブの毒素に対する抗体を、馬に作らせる。マムシ等による咬傷の際、この血清を患者に投与して治療する。ただし、馬血清はヒトにとって異物であるので、投与の際にはアナフィラキシー・ショックと遅延型アレルギーに対する十分な注意が必要である。
1925年アラスカでジフテリアが猛威を振るったとき、犬ぞりで血清を届けた話は有名(バルト参照)。
歴史
血清療法は、1890年12月4日に北里柴三郎とエミール・ベーリングが連名で論文「動物におけるジフテリアと破傷風の血清療法について」において、血清療法の発見を発表したことにより始まる[1]。北里柴三郎は破傷風を、エミール・ベーリングはジフテリアを研究し、特にジフテリアの場合はエミール・ルーのジフテリア毒素の発見もあって血清療法の進展にとって画期的なものとなり、後の第1回ノーベル生理学・医学賞受賞に繋がった[2]。ただし、ベーリングのジフテリア血清療法は、北里の破傷風血清療法を基にしたものであり、ベーリング本人も北里あっての受賞であることを認めている[3]。
こうして生み出された血清療法だが、運用されていく上で効果が確実ではないことと副作用の存在が課題となった。血清療法の問題点は血清中に抗体以外の物質が多く存在し、副作用や効力を弱める因子となっていたことだった。そのため、血清中から抗体のみを抽出する方法が研究され、純度の高い免疫グロブリン製剤が生み出されるに至り、多くの問題点が改善された。しかし、それでも医療現場からはより純度の高い抗体が求められ、1953年に東北大学で開発されたハイブリドーマ技術によって、1970年代にモノクローナル抗体が発明される。モノクローナル抗体は動物由来の血清を使用しない点で特色があり、血清によらずして抗体を生産する手法は1990年代から実用化されていく[4]。一方ではヒト化抗体の研究も進められており、特にエボラ出血熱では生存したヒトから取り出した抗体が使用された。
脚注
- ^ E., Behring; S., Kitasato (1890). “Ueber das Zustandekommen der Diphtherie-Immunitat und der TetanusImmunitat bei Thieren.”. Dtsch. Med. Wschr. 16: 1113-1114.
- ^ Linton, Derek S., Emil von Behring: Infectious Disease, Immunology, Serum Therapy (Philadelphia: American Philosophical Society, 2005).
- ^ http://www.saiki.tv/~miro45/kitazato.index.html
- ^ 抗体物語
関連項目
外部リンク
- 『命を守る 北里研究所-伝統と未来-』(1990年) - 北里研究所創立80周年記念作品。当該作品前半の後半部分に於いて、北里自身が留学先のベルリン大学にてコッホの下で破傷風菌の研究を展開する過程で、同菌の毒素を少しずつ繰り返し注入した動物血清中に抗毒素が生成されていることを見出し、そこから抗血清の作成そして血清療法の開発に繋がったことにも触れている。ヨネ・プロダクション製作。『科学映像館』より
ポリクローナル抗体
出典: フリー百科事典『ウィキペディア(Wikipedia)』 (2022/04/30 10:14 UTC 版)
異種性のポリクローナル抗体は、患者の胸腺細胞やリンパ球を注射した動物(ウサギやウマなど)の血漿から得られる。抗リンパ球グロブリン (ALG) や抗胸腺細胞グロブリン (ATG) が使われる。ステロイド耐性の急性拒絶反応や重篤な再生不良性貧血の治療に使われる。しかし基本的には他の免疫抑制剤の量を減らし毒性を抑えるために併用するものである。 ポリクローナル抗体によりTリンパ球が抑制され、補体系およびオプソニン化によるT細胞溶解がおき、それに続いて脾臓・肝臓で循環系からの網内系細胞の除去が起きる。この方法で細胞性免疫の反応による移植片拒絶や遅延型過敏症(つまりツベルクリン反応)、移植片対宿主症(GVHD)などを抑制するが、胸腺依存的な抗体産生に影響が出る。 現在市場には2つの製剤がある。ウマ血清から得られるAtgam (R)とウサギ血清から得られるThymoglobuline (R)である。ポリクローナル抗体は全てのリンパ球に作用し、全般的な免疫抑制を起こすため、移植後リンパ増殖性疾患(PTLD)やサイトメガロウイルスなどによる深刻な感染症を引き起こす可能性がある。こうしたリスクを減らすために、この処置は感染からの適切な隔離が可能な病院で行われる。通常は5日間静脈注射で適切量が投与される。患者は免疫系が血清病の危険がなくなるまで回復するのに3週間ほど病院に留まる。 ポリクローナル抗体の高い免疫原性のため、ほぼ全ての患者はこの処置に対して急性反応を示す。発熱、硬直症状、アナフィラキシーが特徴である。その後の治療中に、血清病や免疫複合体性糸球体腎炎を起こす患者もいる。血清病は治療開始後7から14日後に起こる。患者は発熱、関節痛、紅斑を示し、ステロイドや鎮痛剤で鎮めることができる。蕁麻疹が出ることもある。高度に精製された血清分画と、例えばカルシニューリン阻害剤や細胞成長抑止剤、糖質コルチコイドのような他の免疫抑制剤を併用することでこの毒性を緩和することができる。最もよく使われるのは抗体とシクロスポリンを同時に使用する組み合わせである。患者はこれらの薬剤に対して次第に強い免疫反応を示すようになり、その効果が薄れたりなくなったりする。
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