血液 組成・成分

血液

出典: フリー百科事典『ウィキペディア(Wikipedia)』 (2021/06/11 04:57 UTC 版)

組成・成分

ヒトの血液成分(Enzyklopädie 1979から[3]
成分 血液100cm3
あたりの量(mg)
赤血球100g
あたりの量(mg)
81000 63000
ヘモグロビン 15000 33000
タンパク質 19000 35000
脂質 560 600
中性脂肪 135 95
リン脂質 245 350
コレステロール 175
グリコーゲン 5
ブドウ糖 90 75
非タンパク質窒素 30
尿素 15
クレアチン 3.9 8
クレアチニン 0.9 1.8
RNA 64
ナトリウム 190 42
カリウム 190 370
カルシウム 7 2
マグネシウム 3.8 6.2
48 100
塩素 290 270
非有機態リン 2.5 4
リン 35 66
重炭酸塩 220

血球成分(細胞性成分、血液細胞)と血小板、これらを浮遊させる血漿成分(液性成分)からなり[1]、その比率は およそ40 - 45:60 - 55である[4]。また、血球成分(血液細胞)は重量比で赤血球96%、白血球3%、血小板1%で構成される。血漿成分は水分90%、血漿蛋白質7%、そのほか微量の脂肪、糖、無機塩類で構成される[4]

血の色

色はヒトを含む脊椎動物の場合、赤く見える。これは赤血球に含まれるヘモグロビン(鉄を含むタンパク質)という色素に由来する[5]。ヘモグロビンは多くの無脊椎動物においても血液中の酸素運搬に寄与する[5]ゴカイミミズ等の環形動物の血液も赤いが、これはヘモグロビンと同じく鉄系ではあるがエリスロクルオリンという成分による。ただし、補欠分子族や機能面で大きな差異が無い為、これもヘモグロビンの一種と取り扱うことができる[6]

無脊椎動物である頭足類または軟体動物カニ・エビなど甲殻類は銅系タンパク質のヘモシアニン(血青素)のために青みがかっていたり[7]ホヤなどではバナジウムを含むポルフィリン化合物のヘモバナジン(バナドクロム、バナドヘモクロモーゲン、ヘモバナジウム[8])のため緑色に見えるものなど多数の血色素が存在し、同じような色であっても異なる色素成分によることも多い。また、呼吸色素の種類により、酸素の運搬能力(効率)も異なる。

造血

哺乳類の場合、血球(血液細胞)はいずれも骨髄で造血幹細胞から分化・成熟したものである[9](造血の場は哺乳類と鳥類では主に骨髄、魚類では主に腎臓、両生類では脾臓である。爬虫類は種によってさまざまである[10][11])。健康人では未熟な細胞は骨髄から血液内に移動することは出来ず、血液内には赤血球、白血球、血小板のみが存在する[12]

●ヒトの血液物性や成分は以下の値となる[1]

血液を抗凝固剤と共に遠沈管に入れて遠心分離すると、血液中の細胞成分が底の方に移動するが、大部分が暗赤色の赤血球部分で、赤血球部分と上澄みの間に白血球部分ができる。

赤血球

様々な脊椎動物の赤血球細胞の比較

中央がやや凹んだ直径約7.5µm、厚さ約1 - 2µmの円盤状で[13]、ヘモグロビン量が体積の1/3に相当する。酸素の運搬を担い、細胞核やミトコンドリアを持たない[9]。膜は弾性に優れて容易に変形できるため、毛細血管など細いところも通りやすい[13]

赤血球は成人男子で430万 - 570万/mm3、女子で380万 - 500万。全身細胞の1/3に相当する[14]。全血液中容量中の赤血球容量の割合をヘマトクリットという。正常値は成人男性約45%、女性約40%であり、貧血時に下がり、脱水症状になると上がる[14]

ヘモグロビンは酸素と結びつくと鮮やかな紅色となり、分離すると暗い赤色になる。これがそれぞれ動脈血と静脈血の色を特徴づける[13]。仮にヘモグロビンが血漿中に溶けた状態にあると、血液は粘度が非常に高く、流れにくくなる。また、ヘモグロビンそのものもすぐに分解され、酸素を運搬できなくなる[13]

白血球

形態や染色性から顆粒球(好中球、好酸球、好塩基球)、単球、リンパ球の5種に分類できる細胞種の集合体で、細胞核を持つ。殺菌作用を持ち、免疫機能にも作用する。血中の数は5000 - 9000/mm3であり、好中球が全体の50 - 70%、次いでリンパ球が約30%、単球が約5%である[15]

細胞の名称 形の特徴 働き
リンパ球 10 - 15µm程で、赤血球よりやや大きなサイズ。 抗体を作り、腫瘍細胞やウイルスに感染した細胞を攻撃。
好中球 12 - 15µm程で、核が2つから4つに別れることもある。 細菌の捕食、殺菌に役立つ。
好酸球 好中球より僅かに大きい。顆粒がある。 寄生虫を攻撃、アレルギー反応を引き起こしたり、抑制したりする。
好塩基球 好中球より僅かに小さい。顆粒がたくさんある。 詳細は不明だが、アレルギー反応を引き起こすと考えられている。
単球 20µm程で、末梢血の中で最大。 細菌などの異物を捕食。リンパ球に抗体の特徴を伝える。マクロファージは単球から分化したもの。

血小板

直径2 - 3µmの細胞核を持たない細胞で、血管が損傷を受けると粘着・凝集反応を起こし止血に重要な作用を担う[16]。血中数は15万 - 40万/mm3[17]

血管が破壊されると露出した膠原繊維(コラーゲン繊維)と反応して、血小板が粘着する。さらに変形してセロトニンアデノシン二リン酸などを含む粒を放つ。これらが血管収縮やさらなる血小板の凝集を促し、血栓を形成して出血を止める[17]

血漿

血漿は血液の液体成分で、その90%を占める水は物質の運搬を担う。電解質は細胞へミネラルを補給したり、体液の浸透圧や緩衝作用に影響を与える。血漿タンパク質は浸透圧や緩衝作用調整のほかにも、アミノ酸やホルモン・ビタミン類の運搬や、フィブリノゲンが血液凝固に作用したり、抗体として免疫作用に関係したりと、多様な機能を持つ[18]




注釈

  1. ^ 」は「平和」を象徴し、「血」は「暴力」を象徴する。

出典

  1. ^ a b c d e f g h i j k l m n o p q r s t u 生化学辞典第2版、p.420 【血液】
  2. ^ 『三輪血液病学』p179
  3. ^ Flindt、p.219
  4. ^ a b 佐藤・佐伯(2009)、p22、第2章 血液 1.血液bloodの成分と機能 (3)血液の成分
  5. ^ a b 生化学辞典第2版、p.1210 【ヘモグロビン】
  6. ^ 生化学辞典第2版、p.204 【エリスロクルオン】
  7. ^ 生化学辞典第2版、p.1214 【ヘモシアニン】
  8. ^ 生化学辞典第2版、p.1009 【バナドクロム】
  9. ^ a b 生化学辞典第2版、p.425 【血液細胞】
  10. ^ 浅野茂隆、池田康夫、内山卓 監修 『三輪血液病学』文光堂、2006年、ISBN 4-8306-1419-6、pp.2031-2036
  11. ^ 関正利、他 編集 『実験動物の血液学』ソフトサイエンス社、1981年、pp.13-19
  12. ^ 通常、血液細胞はこの分類がされることが多いが、リンパ球をさらに細かく分類することもある。また組織中の肥満細胞は同じく造血幹細胞から分化し、同じく組織中に存在するマクロファージは造血幹細胞から単球を経て分化するため、これらも広義には血液細胞の1種に数えられることもあるー参考文献・巽典之 編集『血液細胞ノート』文光堂、2005年、ISBN 4-8306-1418-8
  13. ^ a b c d 佐藤・佐伯(2009)、p.24-25、第2章 血液 2.赤血球 (1)形状と機能
  14. ^ a b 佐藤・佐伯(2009)、p.25-26、第2章 血液 2.赤血球 (2)ヘモグロビン(血色素)
  15. ^ a b c 佐藤・佐伯(2009)、p.29-30、第2章 血液 3.白血球 (1)形状と機能
  16. ^ 生化学辞典第2版、p.430 【血小板】
  17. ^ a b c 佐藤・佐伯(2009)、p.30-31、第2章 血液 4.血小板 (1)形状と機能
  18. ^ 佐藤・佐伯(2009)、p.32、第2章 血液 5.血漿 (1)血漿の成分と機能
  19. ^ a b c d 生化学辞典第2版、p.760 【造血器官】
  20. ^ 血液は体の外からやってきた 独立行政法人 理化学研究所
  21. ^ a b c d 佐藤・佐伯(2009)、p.23、第2章 血液 1.血液bloodの成分と機能 (4)血液blood cellの産出と幹細胞stem call
  22. ^ 佐藤・佐伯(2009)、p.27-28、第2章 血液 2.赤血球 (3)生成と破壊
  23. ^ a b 生化学辞典第2版、p.915 【糖尿病】
  24. ^ a b 生化学辞典第2版、p.1092 【貧血】
  25. ^ 生化学辞典第2版、p.433 【血友病】
  26. ^ 生化学辞典第2版、p.1007 【白血病】
  27. ^ a b c 佐藤・佐伯(2009)、p.39-40、第2章 血液 7.血液型
  28. ^ 黒崎嘉子, 天野光彦, 栗田吾郎 ほか、「食用に供する豚血液の加工と細菌汚染」『日本獣医師会雑誌』 40巻 2号 1987年 p.108-112, doi:10.12935/jvma1951.40.108
  29. ^ The Watchtower 15 June 2004, p. 22, "Be Guided by the Living God"
  30. ^ Flindt、p.72






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