血液 文化と血液

血液

出典: フリー百科事典『ウィキペディア(Wikipedia)』 (2021/07/23 09:54 UTC 版)

文化と血液

「血液」は、より基本的には「」と言う。「血」は様々な文化で、親子関係、親族関係、遺伝に結び付けられて用いられている。例えば、「血統」「血脈」「血族」「血のつながり」や「血縁」といった表現で用いられている。

また、血液は負傷時に体外に流れ出るので、戦争暴力象徴メタファーとして用いられる[注 1]。例えば「血の日曜日」「血のバレンタイン」「無血革命」「血塗れの(ブラッディ)メアリー(メアリー1世)」などといった表現がある。「血の気が多い」「血気盛んな」といった表現は、気性が荒く乱暴な人物に対して用いられる。

宗教

旧約聖書レビ記』14章の記述を基に書かれたアスペルギルム英語版(聖水を振りかける道具)の原型

血液を生命、あるいはそれを象徴するものとして扱う文化がある。ゲルマン人は、Blótsという生贄の儀式で、血液に特殊な力があると信じられ、家畜の血を神像や自分の体などに振り撒いた。

ユダヤ教
ユダヤ教では血液は生命であるとされ、食べることが禁じられている(レビ記)。そのため、動物を食べる際には屠殺の方法が厳格に規定されている。
レビ記1章「主への燔祭(生贄の捧げ方)の仕方」として、1:5に「彼は主の前でその子牛をほふり、アロンの子なる祭司たちは、その血を携えてきて、会見の幕屋の入口にある祭壇の周囲に、その血を注ぎかけなければならない。」と記述されるほか、子牛以外の生贄についても血液による清めの方法を記載されている。
キリスト教
福音書によると、イエス・キリスト最後の晩餐の席において、(その場に自分を裏切ろうとしている者がいることを指摘し)、パンブドウ酒を手にとって、それらが、自分の体であり、多くの人のために流す契約の血である、と言った。(『マルコによる福音書』14章17節〜。)。キリスト教では、ユダヤ教より食物規定は緩く、ブラックプディングやブルート・ヴルストなど血液を用いた料理も食べられている。
キリスト教系のエホバの証人は、使徒言行録 15章28, 29 ("Keep abstaining...from blood.")の解釈を理由に輸血拒否する場合がある。信徒によっては、自分自身の血液や、主要な血液分画(赤血球、白血細胞、血小板、血漿)の中から受け入れられる要素を個人の決定で受け入れることができる[29]
イスラム教
イスラム教では、血を含む食品を食べるのはクルアーン食卓の章(5章3「あなたがたに禁じられたものは、死肉、血、豚肉、アッラー以外の名を唱え殺されたもの~」)の解釈で禁止されている。血は穢れと考えられ、血が出た場合の対処法も規定されている。動物を屠殺する際、血を完全に抜いてから食肉処理するなどの細かいハラールの規定がある。
アステカにおいては太陽の運行と血には密接な関連があると信じられており、太陽の正常な運行を守るために人間の心臓と血を生贄として捧げた。

食用

本ページ、「#栄養源としての血」を参照の事。

他の用途

  • 血粉 - 家畜などを食肉処理した際に出た血液を乾燥させたもの。飼料肥料とする。
  • 義兄弟(blood brother) - 血縁関係のない人間同士で兄弟となること。英語圏では、自らの指・手・腕のいずれかに傷を付け互いの傷同士を重ね血を交換して義兄弟となる。別の場所では、血とワインを混ぜて、飲み干すという儀式を行う。このように血によって肉親としての関係性を築いた。
  • 契約書 - 血判状悪魔の契約書など、重要な契約を行う際に使われた。
  • その他、研究用途

注釈

  1. ^ 」は「平和」を象徴し、「血」は「暴力」を象徴する。

出典

  1. ^ a b c d e f g h i j k l m n o p q r s t u 生化学辞典第2版、p.420 【血液】
  2. ^ 『三輪血液病学』p179
  3. ^ Flindt、p.219
  4. ^ a b 佐藤・佐伯(2009)、p22、第2章 血液 1.血液bloodの成分と機能 (3)血液の成分
  5. ^ a b 生化学辞典第2版、p.1210 【ヘモグロビン】
  6. ^ 生化学辞典第2版、p.204 【エリスロクルオン】
  7. ^ 生化学辞典第2版、p.1214 【ヘモシアニン】
  8. ^ 生化学辞典第2版、p.1009 【バナドクロム】
  9. ^ a b 生化学辞典第2版、p.425 【血液細胞】
  10. ^ 浅野茂隆、池田康夫、内山卓 監修 『三輪血液病学』文光堂、2006年、ISBN 4-8306-1419-6、pp.2031-2036
  11. ^ 関正利、他 編集 『実験動物の血液学』ソフトサイエンス社、1981年、pp.13-19
  12. ^ 通常、血液細胞はこの分類がされることが多いが、リンパ球をさらに細かく分類することもある。また組織中の肥満細胞は同じく造血幹細胞から分化し、同じく組織中に存在するマクロファージは造血幹細胞から単球を経て分化するため、これらも広義には血液細胞の1種に数えられることもあるー参考文献・巽典之 編集『血液細胞ノート』文光堂、2005年、ISBN 4-8306-1418-8
  13. ^ a b c d 佐藤・佐伯(2009)、p.24-25、第2章 血液 2.赤血球 (1)形状と機能
  14. ^ a b 佐藤・佐伯(2009)、p.25-26、第2章 血液 2.赤血球 (2)ヘモグロビン(血色素)
  15. ^ a b c 佐藤・佐伯(2009)、p.29-30、第2章 血液 3.白血球 (1)形状と機能
  16. ^ 生化学辞典第2版、p.430 【血小板】
  17. ^ a b c 佐藤・佐伯(2009)、p.30-31、第2章 血液 4.血小板 (1)形状と機能
  18. ^ 佐藤・佐伯(2009)、p.32、第2章 血液 5.血漿 (1)血漿の成分と機能
  19. ^ a b c d 生化学辞典第2版、p.760 【造血器官】
  20. ^ 血液は体の外からやってきた 独立行政法人 理化学研究所
  21. ^ a b c d 佐藤・佐伯(2009)、p.23、第2章 血液 1.血液bloodの成分と機能 (4)血液blood cellの産出と幹細胞stem call
  22. ^ 佐藤・佐伯(2009)、p.27-28、第2章 血液 2.赤血球 (3)生成と破壊
  23. ^ a b 生化学辞典第2版、p.915 【糖尿病】
  24. ^ a b 生化学辞典第2版、p.1092 【貧血】
  25. ^ 生化学辞典第2版、p.433 【血友病】
  26. ^ 生化学辞典第2版、p.1007 【白血病】
  27. ^ a b c 佐藤・佐伯(2009)、p.39-40、第2章 血液 7.血液型
  28. ^ 黒崎嘉子, 天野光彦, 栗田吾郎 ほか、「食用に供する豚血液の加工と細菌汚染」『日本獣医師会雑誌』 40巻 2号 1987年 p.108-112, doi:10.12935/jvma1951.40.108
  29. ^ The Watchtower 15 June 2004, p. 22, "Be Guided by the Living God"
  30. ^ Flindt、p.72






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