差別 差別の概要

差別

出典: フリー百科事典『ウィキペディア(Wikipedia)』 (2021/06/04 04:54 UTC 版)

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差別さべつ)とは、特定の集団や属性に属する個人に対して、その属性を理由にして特別な扱いをする行為である。それが優遇か冷遇かは立場によって異なるが、通常は冷遇、つまり正当な理由なく不利益を生じさせる行為に注目する。国際連合は、「差別には複数の形態が存在するが、その全ては何らかの除外行為や拒否行為である。」としている[1]

定義の難しさ

ある事柄を差別と判定する場合、告発する者の伝達能力・表現力と受け手の感性に因るところが大きく、客観的事実として差別の存在を証明するのは実際にはそれほど簡単ではない[2]。なぜなら、差別として疑われるとある待遇について、その待遇が正当か不当かについては、時と場合によって様々な解釈ができ、議論の余地があるためである。例えば、最終学歴が高卒程度の者に対して、大卒程度の者を優遇すること(学歴差別)は正当か不当かといった価値命題は、科学的に論定することができない。差別は普遍的な実体とし存在するものの、その定義付けは困難であり、定義不能とする研究者も少なくない[2]

差別に関する研究

20世紀以来、差別に関する研究は社会学心理学の分野で行われている。社会学で行われた差別の研究には、コックスマルクス主義的社会構造論や、パークJ.H.ヴァン・デン・ベルクが行った人種差別を優位集団と劣位集団の競争・葛藤関係として分析した研究がある。心理学では差別は偏見の表現行動とされ、偏見が発生する仕組みを解明することで差別を説明する[2]。偏見説の例としてオールポートの研究がある。これらの古典的な差別に関する研究は、差別の一側面を他の分野の理論を応用する形で行われており、差別そのものを包括的に分析したものではなく、説明しきれない現象や予測と異なる現象も多い[2]

マートン準拠集団モデルでは、差別は集団間の敵対関係ではなく、同一集団内の特殊なカテゴリー化に内在する問題であるという[2]。また、ミュルダールの『アメリカのジレンマ』仮説と、仮説に対する追研究によって、差別は規範のずれとその対応の問題であること、被差別者は差別を行う人々との一定の関係性によってのみ同定可能であることが示唆されている[2]

差別の種類

身分に関する差別

前近代社会においては身分制を敷いた社会がある。近代化の過程で社会契約論などによって身分制は再編成され、階級制へと移行した。法学者ヘンリー・サムナー・メインは「身分から契約へ」という言葉を残している。

階級と職業に関する差別

人種・民族・宗教・文化に関する差別

言語・地域に関する差別

性に関する差別

能力に関する差別

ほか、低所得層への差別や学歴差別・学力差別、老人差別、病人差別なども能力による差別と重なる面がある。

病人に関する差別

その他

逆差別

差別を受けているとする人々団体に対して雇用教育に関する優遇政策(ポジティブ・アクションなど)がとられることがあるが、これが逆差別であると批判されることがある。




  1. ^ United Nations CyberSchoolBus: What is discrimination? 差別とは何ですか?]”. 2021年4月7日閲覧。国際連合
  2. ^ a b c d e f 坂本佳鶴恵『アイデンティティの権力』 新曜社 2007年(平成19年) 第2刷、ISBN 4788509377 pp.2 - 19.
  3. ^ “[https://www.tibethouse.jp/about/information/human_rights/human14.html チベットでの中国の存在と人権の侵害 TCHRD(チベット人権・民主センター)1997年発行]”. ダライ・ラマ法王日本代表部事務所. 20021-04-08閲覧。
  4. ^ 現代、士農工商の序列の下に穢多非人などの被差別階級が置かれていた、という説が広く知られているが、歴史学的にはこれに異議が唱えられている。詳しくは士農工商参照
  5. ^ ジョン・W・ダワー、「容赦なき戦争」、猿谷要監修、2001年(平成13年)、平凡社ライブラリー、394ページ
  6. ^ 土居健郎、「甘え」の構造、1971年(昭和46年)、弘文堂、39ページ
  7. ^ 土居健郎、「甘え」の構造、1971年(昭和46年)、弘文堂、40ページ
  8. ^ ガバン・マコーマック、[属国 米国の抱擁とアジアでの孤立]、2008年(平成20年)、凱風社、284ページ


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