アイヌ 現在のアイヌ

アイヌ

出典: フリー百科事典『ウィキペディア(Wikipedia)』 (2014/08/29 15:07 UTC 版)

現在のアイヌ

北海道のアイヌ人の分布地図 1999年
1930年代のアイヌの夫婦。日常の服装は、周辺の和人と変わらない。

北海道においては、アイヌ居留地などは存在しないが、平取町二風谷に多数が居住するほか、白老阿寒湖温泉では観光名所としてコタンが存在する。2006年の北海道庁の調査によると、北海道内のアイヌ民族は23,782人[20]となっており、支庁(現在の振興局)別にみた場合、胆振日高支庁に多い。なお、この調査における北海道庁による「アイヌ」の定義は、「アイヌの血を受け継いでいると思われる」人か、または「婚姻・養子縁組等によりそれらの方と同一の生計を営んでいる」人というように定義している。また、相手がアイヌであることを否定している場合は調査の対象とはしていない。この調査は、調査に応じた人口のみのため、実際には調査結果よりもはるかに多くのアイヌ人口が見積られる。[独自研究?] 1971年当時で道内に77,000人という調査結果もある。北海道外に在住するアイヌも多いが、国勢調査ではアイヌ人であるという項目はなく、国家機関での実態調査は全く行われていないに等しい、そのため、アイヌ人の正確な数は不明である。なお、1988年の調査において東京在住のアイヌ推計人口が2,700人と見積もられている調査がある[20]

1989年の東京在住ウタリ実態調査報告書では、東京周辺だけでも北海道在住アイヌの1割を超えると推測されており、現在[いつ?]首都圏在住のアイヌは1万人を超えるとされる。日本全国に住むアイヌは総計20万人に上るという調査もある[21]。また、日本・ロシア国内以外にも、ポーランドには千島アイヌの末裔がいるとされる[22]。一方、アイヌ研究の第一人者であったポーランドの人類学者ブロニスワフ・ピウスツキがアイヌ女性チュフサンマと結婚して生まれた子供たちの末裔はみな日本にいる。

長い間、アイヌであることを肯定的に捉える人は少なく、和人への同化とともに出自を隠す傾向が強かった。しかし、近年はAINU REBELSのような若者を中心として積極的にアイヌ語アイヌ文化の保持を主張し、自らがアイヌであることを肯定的にとらえる傾向も、徐々にみられるようになってきた。各地でアイヌ民族フェスティバルなどが開かれ、北海道以外に住むアイヌ民族の活動も盛んになってきており、世界中の先住民族との交流も行われている。

2007年9月13日に国連総会で採択された先住民族の権利に関する国際連合宣言を踏まえて、2008年6月6日、アイヌを先住民族として認めるよう政府に促す国会決議が衆参両院とも全会一致で可決された[23][24][25]

アイヌ利権

2014年札幌市議会議員の金子快之が、自身のTwitter上に、「アイヌ民族は今はもういない」と受け止められかねない書き込みを行っていたことが判明し、不見識だとの批判がアイヌ民族の団体などから噴出している[26]。それらの批判に対して金子は、アイヌ民族であることを法的に証明する手段が現状存在しないため、アイヌ民族であることを『証明』している北海道アイヌ協会が、「アイヌの血を受け継いでいる『と思われる』人」という曖昧な基準で認定していることや、出自がアイヌ民族でなくとも養子や婚姻といった手段で認定してもらえればアイヌ民族としての優遇措置を受けられること、北海道アイヌ協会自体に数々の『不正行為』が存在していることなどを挙げ、アイヌの文化や歴史を否定するものではないとし、アイヌに様々な苦労があったことを認めつつも、今後もこの問題について取り組んでいくと反論している[27]


アイヌ
(ウタリ)[1]
AinuGroup.JPG
アイヌ民族
総人口

23,782人
(2006年、調査に応じた人口、北海道内のみ[2]
(推計200,000人)[要出典]

居住地域
日本北海道東京他)
ロシア樺太
言語
日本語アイヌ語ロシア語
宗教
仏教アニミズムキリスト教正教会
関連する民族

ウィルタニヴフ

脚注
  1. ^ アイヌ語で同胞、仲間を意味し名称などで使用されるが、民族呼称ではない
  2. ^ アイヌ生活実態調査”. 北海道. 2013年8月18日閲覧。
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  1. ^ 北海道大学名誉教授(北東アジア考古学) 菊池俊彦 編集 「オホーツク世界と日本」
  2. ^ (1) 立教大学名誉教授(日本近世史) 荒野泰典 編集 「東アジアの中の日本の歴史〜中世・近世編〜」 の『「四つの口」の国際関係――近世日本国家の中華秩序からの自立を中心に――』より。
    (2) 「NHK高校講座 日本史 第20回 海外交流の実態 ~4つの窓口~」 の『4つの窓口』より。
  3. ^ 小学館 『デジタル大辞泉』、《アイヌ語から》 人民、同胞、仲間。
    三省堂大辞林』 第三版、〔アイヌ語〕 親族、同胞、仲間。現在ではアイヌ人自身の民族の呼称としても用いられる。
  4. ^ 『ハリストス正教徒としての千島アイヌ』Malgorzata Zajac
  5. ^ 2014年1月12日中日新聞朝刊サンデー版1面
  6. ^ http://www.natureasia.com/ja-jp/aj/jhg/highlights
  7. ^ 日独伊三国軍事同盟が締結された時も、この説はナチス・ドイツによって利用された。すなわち「アイヌ人はアーリア人であり、日本人はアイヌ人の子孫である。だから日本人はアーリア人である」というのである(ナチス人種学者のハンス・ギュンターの「アーリアン学説」)。
  8. ^ 自然人類学から見たアイヌ民族 国立科学博物館
  9. ^ 消えた北方民族の謎追う 古代「オホーツク人」北大が調査
  10. ^ 【プレスリリース】日本列島3人類集団の遺伝的近縁性
  11. ^ 「山梨大の安達登教授や国立科学博物館の篠田謙一・人類史研究グループ長らが、 縄文早期から続縄文期にかけての道内54体、東北地方20体の人骨からミトコンドリアDNAを取り出し、遺伝子型の種類と出現頻度を関東縄文人のデータと比較した。 その結果、関東集団ではほとんど見られない、ハプログループN9b遺伝子型が、北海道・東北集団では6割を超える高頻度で見つかった。 また、北海道集団だけが、シベリア先住民族に見られるハプログループG1b遺伝子型を10人に1人の割合で持っていることも明らかになった。」 http://www.hokkaido-np.co.jp/news/environment/215305.html 北海道出土の縄文・続縄文時代人骨のDNA分析 http://research.kahaku.go.jp/department/anth/s-hp/s5.html
  12. ^ 「北海道縄文人集団にはN9b、D10、G1b、M7aの4種類のmtDNA(ミトコンドリアDNA)ハプログループが観察され、その頻度分布はN9bの頻度が極めて高い(64.8 %)特徴的なものであった。これらのmtDNAハプログループのうち、D10は、アムール川下流域の先住民・ウリチにみられるものの、現代日本人での報告はない。更にハプログループGも主として北東アジアに見られるタイプで、特に北海道の縄文人と同じサブグループG1bはカムチャツカ半島の先住民に高頻度でみられる一方、現代日本人での報告例はない。また、全体で半数以上の個体が属するハプログループであるN9bも、アムール川下流域の先住民の中に高頻度で保持している集団があることが報告されている。」http://research.kahaku.go.jp/department/anth/s-hp/s28.html
  13. ^ オホーツク人のDNA解読に成功ー北大研究グループー。2012年6月18日の北海道新聞朝刊
  14. ^ http://www.47news.jp/news/2009/06/post_20090618133824.html
  15. ^ 田島等の2004年の論文"Genetic Origins of the Ainu inferred from combined DNA analyses of maternal and paternal lineages"による
  16. ^ 西浦宏巳『アイヌ、いま-北国の先住者たち』新泉社、1984年
  17. ^ さとうち藍『アイヌ式エコロジー生活:治造エカシに学ぶ、自然の知恵』小学館、2008年、130ページ
  18. ^ Russian Empire Census of 1897: TotalsRussian Empire Census of 1897: Sakhalin (ロシア語)
  19. ^ 「昭和21年(1946)12月19日、東京でデレヴャンコ中将と日本における連合国軍最高司令官代表ポール・J・ミューラー中将が、ソ連領とのその支配下にある地域からの日本人捕虜と民間人の本国送還問題に関する協定に署名した。協定では、日本人捕虜と民間人はソ連領とその支配下のある地域から本国送還されなければならない、と記されていた。日本市民はソ連領から自由意志の原則に基づいて帰還することが特に但し書きされていた。」(ネットワークコミュニティきたみ・市史編さんニュース №100 ヌプンケシ 平成17年1月15日発行
  20. ^ a b 北海道アイヌ協会
  21. ^ Poisson, B. 2002, The Ainu of Japan, Lerner Publications, Minneapolis,p.5.
  22. ^ 「1992年、千島アイヌがポーランドで発見されたという報道がなされた。しかしアキヅキトシユキは実際には1975年の樺太・千島交換条約の際に千島に住んでいた90人のアレウト族の末裔だったのではないかと推測している。そのアイヌがどこのだれのことを示しているのかということに関してそれ以上の情報はでてこなかった」 David L. Howell. “Geographies of Identity in Nineteenth-Century Japan”. University of California Press. 2014年7月13日閲覧。 なお、ここで触れられた報道(press reports)とは以下の文献を示すものと推測される。 小坂洋右 『流亡: 日露に追われた北千島アイヌ』 北海道新聞社、1992年ISBN 9784893639431
  23. ^ 「アイヌ民族を先住民族とすることを求める決議」に関する内閣官房長官談話”. 首相官邸 (2006年6月6日). 2013年10月24日閲覧。
  24. ^ アイヌ民族を先住民族とすることを求める決議 平成20年6月6日 参議院本会議
  25. ^ アイヌ先住民族決議、国会で採択”. All About (2008年6月10日). 2008年10月24日閲覧。
  26. ^ 札幌市議:「アイヌはもういない」 ネットで自説 毎日新聞 2014年8月17日
  27. ^ http://kaneko-yasu.seesaa.net/article/403843702.html アイヌ施策に関するツイートについて: 札幌市議会 金子やすゆき ホームページ 2014年8月16日






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