業 業の概要

出典: フリー百科事典『ウィキペディア(Wikipedia)』 (2024/04/04 13:41 UTC 版)

インド哲学正統派、および異端派の一部(仏教など)の説では、またはの業を作ると、因果の道理によってそれ相応のまたはの報い(果報)が生じるとされる[2][4]。業は果報と対になる語だが、業の果報そのものを業という場合もある[4]

業の思想はインド発祥の宗教(とりわけヒンドゥー教仏教ジャイナ教シーク教)と道教において、輪廻と強く結びつく概念である[5] これらの多くの説では、善意と善行は良いカルマと幸福な転生をもたらし、悪意と悪行は悪いカルマと悪い再生をもたらすとされる[6](善因善果、悪因悪果)[7]


注釈

  1. ^ 原語の karman は、サンスクリットの動詞語根「クリ」(√kṛ)、為す) より派生した[1]羯磨(かつま)と音写する[2]
  2. ^ 原始仏典である阿含経典(二カーヤ)において、ウパニシャッドは言及すらされておらず、まったく存在していなかったと考えるからである[要出典]。登場するヴェーダも三つまでである[要出典]
  3. ^ ただし、業因には、煩悩などの「業を起こさせる原因」という意味もあり、因業には「因と業」すなわち「主と助」という意味もある[2]
  4. ^ 業とその苦である報いのことを業苦という場合もある[2]
  5. ^ 非善非悪の無記業は業果を引く力がない[2]
  6. ^ 経量部大乗仏教では、身・語を動初(どうほつ)する(意志)の種子(しゅうじ)のことを指して業道という場合もある[2]

出典

  1. ^ 宮元啓一「インドにおける唯名論の基本構造」『RINDAS ワーキングペーパー伝統思想シリーズ19』、龍谷大学現代インド研究センター、2014年、6-8頁。 }
  2. ^ a b c d e f g h i j k l m n o p q r s t u v w x y z aa ab ac ad ae af ag ah ai aj ak al am an ao ap aq 総合仏教大辞典 1988, p. 363-365.
  3. ^ スマナサーラ 2014, 11%.
  4. ^ a b 広辞苑 1986, p. 789.
  5. ^ Parvesh Singla. The Manual of Life – Karma. Parvesh singla. pp. 5–7. GGKEY:0XFSARN29ZZ. https://books.google.com/books?id=1mXR35jX-TsC&pg=PP5 2011年6月4日閲覧。 
  6. ^ Halbfass, Wilhelm (2000), Karma und Wiedergeburt im indischen Denken, Diederichs, München, Germany
  7. ^ スマナサーラ 2014, No.91/359.
  8. ^ a b c d e f g h i 岡田 2002, pp. 120–121.
  9. ^ スマナサーラ 2014, 16%.
  10. ^ スマナサーラ 2012, No.893/1930.
  11. ^ 志賀浄邦「インド仏教復興運動の軌跡とその現況」『京都産業大学世界問題研究所紀要』第25巻、2010年、23-46頁、NAID 110007523445 
  12. ^ 長友泰潤「原始仏典に見る人間観 : チャラカ・サンヒターの人間観との比較研究」『南九州大学研究報告. 人文社会科学編』第44巻、2014年、21-28頁、NAID 40020099536 
  13. ^ a b c d e f g チャンディマ・ガンゴダウィラ『新しい生き方を切り拓く7つの実践 『小業分別経』』Sukhi Hotu、2020年、22%。ASIN B0852RN3Q3 
  14. ^ 馬場 2018, pp. 121–122.
  15. ^ a b c d e f 岩波仏教辞典 1989, p. 314.
  16. ^ a b c 岩波仏教辞典 1989, p. 246.
  17. ^ a b c d e f 櫻部・上山 2006, p. 117~118.
  18. ^ 精選版 日本国語大辞典、小学館『邪淫・邪婬』 - コトバンク
  19. ^ a b c 松久保 2001, p. 77.
  20. ^ 櫻部・上山 2006, p. 索引頁「仏教基本語彙(3)」.
  21. ^ 櫻部・上山 2006, p. 117.
  22. ^ a b c 池田練太郎「思業と思已業」『印度學佛教學研究』第30巻第1号、1981年、298-302頁、doi:10.4259/ibk.30.298 
  23. ^ 櫻部・上山 2006, p. 120.
  24. ^ 櫻部・上山 2006, p. 117-18.
  25. ^ a b 岩波仏教辞典 1989, p. 788.
  26. ^ 櫻部・上山 2006, p. 索引頁「仏教基本語彙(7)」.
  27. ^ a b c 櫻部・上山 2006, p. 121.
  28. ^ a b c d 青原 2017, p. 847.
  29. ^ 櫻部・上山 2006, p. 索引頁「仏教基本語彙(9)」.
  30. ^ a b c 櫻部 1989, p. 63.
  31. ^ a b 青原 2017, p. 846.
  32. ^ 加藤 1967, p. 120.
  33. ^ 工藤 1981, p. 130.
  34. ^ 阿部 1995, p. 35.
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  36. ^ 青原 2017, p. 844-846.
  37. ^ a b 青原 2017, p. 844-843.
  38. ^ 干潟龍祥「業(ごう)の社会性-共業(ぐうごう)-について (昭和五十年二月十二日提出)]」『日本學士院紀要』第33巻第1号、1975年、1-7頁、doi:10.2183/tja1948.33.1 
  39. ^ 「順現法受業」 - 佛光大辭典 (慈怡法師主編)
  40. ^ 「順次生受業」 - 佛光大辭典 (慈怡法師主編)
  41. ^ 「順後次受業」 - 佛光大辭典 (慈怡法師主編)
  42. ^ 清水 2011, p. 17.
  43. ^ 精選版 日本国語大辞典『業識』 - コトバンク
  44. ^ 山本 1960, p. 16.
  45. ^ 秋月 2002, p. 33.
  46. ^ 教皇庁 2007, pp. 36–37.
  47. ^ a b c d 山田政信 「新宗教のブラジル伝道(14)キリスト教の変容 ⑪」天理大学
  48. ^ 山田政信 「改宗を正当化する語りの論理」 ラテンアメリカ研究年報No.19(1999年)
  49. ^ 津城 2005, p. 76.
  50. ^ Tingay, 宮坂清訳 2009, pp. 428–434.
  51. ^ a b c 教皇庁 2007, p. 119.
  52. ^ a b York, 井上監訳 2009, pp. 428–434.
  53. ^ a b c d e f 津城 2005, pp. 71–73.
  54. ^ 大田 2013. 位置No.1173/2698
  55. ^ 大田 2013. 位置No.1165/2698






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