趣
読み方:おもむき
「趣」とは、風景や佇まいの中にしみじみと感じられる、優美な風情、情緒、味わい深さ、風流さ、さりげない工夫の面白さ、などを意味する表現である。あるいは、雰囲気や様子の意味で用いられることもある。
「趣がある」とか「趣深い」のような言い方で用いられる場合の「趣」は、言葉では表現しにくい(えも言われぬ)美しい余情のようなものである。ある意味では「侘び寂び」「幽玄」「枯淡」「もののあはれ」「エモさ」などに類する概念といる。
「趣」は、文脈によっては「雰囲気や様子」のような意味で用いられる。「昭和レトロの趣」や「昔ながらの趣」のように、「味わい深い良さがある」という意味合いも汲み取れる場合もあれば、「いかにも小さな町工場といった趣」「平生とは趣の異なる喋り方」のように、味わい深さの意味合いをほぼ含まない場合もある。
漢字の「趣」そのものは、音読みで「シュ」、訓読みで「おもむき」と読む。
とはいえ、(「えも言われぬ風情」を意味する)名詞としての「趣」には、送り仮名は不要である。
特別な意図をもって敢えて「趣き深い」と表記する場合はあり得るが、誤記・誤変換と疑われる。
ちなみに動詞「赴く(趣く)」には「おもぶく」 という読み方もある。しかし「趣」を「おもぶき」と読むことはないといってよい。
「おもむく(面向く)」は「ある方向に向かう」ということである。これが「肉体的・物理的にある方向へ向かう」という意味で「赴く」に、また「精神的に(心が)ある方向に向かう」という意味で「趣」に転じた。
漢字の「趣」は元々は「急いで向かう」という原義の字とされる。心がひたすらに特定の方向に向かっているという意味で「意向」や「趣向」の意味を持つ字として定着したらしい。
「趣」を「あるものを彷彿させる雰囲気や様子」の意味で用いる場合、その類語としては、「風情」「雰囲気」「佇まい」などの表現が挙げられる。たとえば「古き良き時代の趣」は「古き良き時代の風情」と言い換えられる。
「趣がある」という表現は、昔ながらの風情が漂う古民家や古民具、かつての城下町、開国まもない頃に立てられた洋風建築、などのように、古き良き佇まいを感じさせる物を評する言葉として用いられやすい。
「趣がある」は全面的にポジティブな評価であり褒め言葉である。ただし、遠回しに「古臭い」と表する皮肉の意味で用いられる場合も考えられる。
風景や文物に対して用いる「趣」「趣がある」という言い方は、人物を形容する表現としては用いられない。「雰囲気や様子」を意味する「~の趣」という言い方なら使える。
「趣がある」と「趣深い」との間に、そう大きな違いはない。ほぼ同義といっても差し支えない。
「趣」とは、風景や佇まいの中にしみじみと感じられる、優美な風情、情緒、味わい深さ、風流さ、さりげない工夫の面白さ、などを意味する表現である。あるいは、雰囲気や様子の意味で用いられることもある。
「趣がある」とか「趣深い」のような言い方で用いられる場合の「趣」は、言葉では表現しにくい(えも言われぬ)美しい余情のようなものである。ある意味では「侘び寂び」「幽玄」「枯淡」「もののあはれ」「エモさ」などに類する概念といる。
「趣」は、文脈によっては「雰囲気や様子」のような意味で用いられる。「昭和レトロの趣」や「昔ながらの趣」のように、「味わい深い良さがある」という意味合いも汲み取れる場合もあれば、「いかにも小さな町工場といった趣」「平生とは趣の異なる喋り方」のように、味わい深さの意味合いをほぼ含まない場合もある。
「趣」の読み方
「趣」の読み方は、「おもむき」である。漢字の「趣」そのものは、音読みで「シュ」、訓読みで「おもむき」と読む。
「趣」と「趣き」の違い
漢字の「趣」は「赴」の異字として扱われる場合もある。その場合は、動詞「赴く(おもむく)」の異表記として「趣く」(その活用形として「趣き」)と、送り仮名つきで表記する場合がある。とはいえ、(「えも言われぬ風情」を意味する)名詞としての「趣」には、送り仮名は不要である。
特別な意図をもって敢えて「趣き深い」と表記する場合はあり得るが、誤記・誤変換と疑われる。
ちなみに動詞「赴く(趣く)」には「おもぶく」 という読み方もある。しかし「趣」を「おもぶき」と読むことはないといってよい。
「趣」の語源・由来
「おもむき」という言葉の語源は「面向き(おもむき)」である。「おもむく(面向く)」の連用形が名詞化した「おもむき」と、漢字の「趣」が対応づけられて、「趣(おもむき)」という言葉が成立したわけである。「おもむく(面向く)」は「ある方向に向かう」ということである。これが「肉体的・物理的にある方向へ向かう」という意味で「赴く」に、また「精神的に(心が)ある方向に向かう」という意味で「趣」に転じた。
漢字の「趣」は元々は「急いで向かう」という原義の字とされる。心がひたすらに特定の方向に向かっているという意味で「意向」や「趣向」の意味を持つ字として定着したらしい。
「趣」の類語
「趣」を「しみじみと感じられる味わいや美しさ」という意味で用いる場合、その類語としては、「風情」「味わい」「味わい深さ」「雅趣」「おもしろさ」などの表現が挙げられる。「心が惹かれる」のように言い換えることもできる。「趣」を「あるものを彷彿させる雰囲気や様子」の意味で用いる場合、その類語としては、「風情」「雰囲気」「佇まい」などの表現が挙げられる。たとえば「古き良き時代の趣」は「古き良き時代の風情」と言い換えられる。
「趣」を含む熟語・言い回し
「趣がある」
「趣がある」とは、主に「しみじみとした味わい深さや美しさが感じられる」といった意味で用いられる言い回しである。「趣がある」という表現は、昔ながらの風情が漂う古民家や古民具、かつての城下町、開国まもない頃に立てられた洋風建築、などのように、古き良き佇まいを感じさせる物を評する言葉として用いられやすい。
「趣がある」は全面的にポジティブな評価であり褒め言葉である。ただし、遠回しに「古臭い」と表する皮肉の意味で用いられる場合も考えられる。
「趣がある人」
「趣がある人」は、たいてい「~の趣がある人」または「~といった趣がある人」という言い方で用いられ、おおむね「~という雰囲気や佇まいの人」「~を彷彿とさせる印象のある人」という意味を示す表現である。風景や文物に対して用いる「趣」「趣がある」という言い方は、人物を形容する表現としては用いられない。「雰囲気や様子」を意味する「~の趣」という言い方なら使える。
「趣深い」
「趣深い」は、しみじみと感じられる味わいが、とても強く感じられる、といった意味の表現である。「趣が深い」または「深い趣がある」とも言い換えられる。「趣がある」と「趣深い」との間に、そう大きな違いはない。ほぼ同義といっても差し支えない。
おも‐むき【趣】
趣き、赴き
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「おもむき」の例文・使い方・用例・文例
- 2 人とも大変な美人で, いずれあやめかかきつばた, といった趣(おもむき)だった.
- 絵のようなおもむき
- 上品なおもむき
- 芸のおもむき
- 古くなっておもむきがあること
- もの静かなおもむき
- すぐれたおもむき
- 仏法を聞くことによって味わうおもむき
- 言うに言われないすばらしいおもむき
- 詩文などの言外に感じられるおもむき
- 詩歌や文章などで,言外にあるおもむき
- 心細くて寂しいおもむき
- 物や場面から感じられるおもむき
- あじわい深いおもむき
- 味わい深いおもむき
- それらはヨーロッパの家々に東洋の趣(おもむき)を添えている。
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