非核三原則 特定海域・領海の自己制限

Weblio 辞書 > 同じ種類の言葉 > 人文 > 概念 > 原則 > 非核三原則の解説 > 特定海域・領海の自己制限 

非核三原則

出典: フリー百科事典『ウィキペディア(Wikipedia)』 (2024/05/16 01:07 UTC 版)

特定海域・領海の自己制限

日本政府ら国際海洋法による非核三原則適応不可配慮のため、特定海域を5つ設定し、領海の意図的縮小を行っている[27]。領海を12海里とする主張が世界的に優位になったことを受け、日本は1977年(昭和52年)に領海法を制定し、これまでの3海里の幅の領海を12海里に拡張した。この立法趣旨に従えば5海峡(宗谷海峡津軽海峡対馬海峡東水道、同西水道、大隅海峡[27])は領海が12海里になるはずだが、この5海峡にかぎって3海里に留められている。その理由は非核三原則にあるという証言が元外務事務次官により共同通信になされている[28][29]。仮に、この5海峡の領海幅を3海里から12海里にしてしまうと、5海峡は完全に日本の領海になる。一方、国際法海洋法条約38条2)では、国際海峡[注 2]における外国の船舶及び航空機の通過通航権[注 3]が認められている(それは核兵器を搭載した外国の軍艦あるいは軍用機であっても同じである)。とすると、核兵器を搭載した外国の軍艦が当該海峡を通過する場合、日本は国際法上、軍艦の通過は拒否できず、結果として領海内に核兵器が持ち込まれたこととなり、非核三原則の「持ち込ませず」の原則を堅持できなくなるのである[28]。そこで、海峡上に領海に含まれない海域を残し、核兵器を搭載した軍艦をこの海域上を通航させることによって、こういった事態に対処しようとした[28]。 

2021年10月、日本と軍事的に対立関係にある中国やロシアの軍艦が本州と北海道の間にある津軽海峡を堂々と通過した。神戸新聞はこれを疑問に思った人々に対して、津軽海峡は日本政府が非核三原則のために特定海域と設定し、その中央部分を公海としているため、中露海軍の航行は国際法上問題なくなってしまっていると報道している。領海の場合、外国籍の軍艦は安全や秩序を害さない限り、他国の領海を航行することが可能なのだが、公海となっているため有害的な通行も可能になってしまっている。 中・ロシアによる日本周辺での牽制が今後も続くため、日本国民は海洋覇権で想起されがちな南西諸島以南だけでなく、本土周辺にも大きな関心をむけた方が良いと警告している[27]


注釈

  1. ^ 西ドイツによる東ドイツが侵略してきた際の東独管轄地域への核攻撃を含む
  2. ^ 条約では「国際航行に使用されている海峡」について定められている。
  3. ^ 通過通航権を認める海峡には例外規定がある。

出典

  1. ^ 非核三原則”. 2024年5月16日閲覧。
  2. ^ a b c d 外務省「非核三原則に関する国会決議
  3. ^ 「核を求めた日本: 被爆国の知られざる真実」p21 ,NHK スペシャル取材班 ,2012 年
  4. ^ a b 「核を求めた日本: 被爆国の知られざる真実」p23 ,NHK スペシャル取材班 ,2012 年  
  5. ^ a b 高市早苗氏、ウクライナ侵攻は「遠いところの話ではない」 非核三原則「持ち込ませず」は「党内で議論を」(スポニチアネックス)”. Yahoo!ニュース. 2022年3月6日閲覧。
  6. ^ a b 核兵器シェアリングへの誤解と幻想(JSF) - 個人”. Yahoo!ニュース. 2022年2月28日閲覧。
  7. ^ 「核を求めた日本: 被爆国の知られざる真実」p46 ,NHK スペシャル取材班 ,2012 年
  8. ^ 「サルでもわかる日本核武装論」p24, 田母神俊雄 , 2009
  9. ^ 日本の「非核三原則」堅持を希望 中国外交部報道官 - 中華人民共和国駐日本国大使館”. www.mfa.gov.cn. 2022年2月28日閲覧。
  10. ^ 第19回国会本会議第29号議事録、1954年4月5日 - 参議院議事録情報
  11. ^ 野崎哲「非核三原則の形成過程について(メモ)
  12. ^ 1957年(昭和32年)2月5日衆議院本会議 11国務大臣(岸信介君)
  13. ^ 1957年(昭和32年)2月8日衆議院予算委員会 5国務大臣(岸信介君)
  14. ^ 1957年(昭和32年)5月7日参議院予算委員会 161国務大臣(岸信介君)
  15. ^ チアン & ハリデイ, p. 148
  16. ^ 回收生物返回舱”. 雷霆万钧 (2005年9月19日). 2008年7月24日閲覧。[リンク切れ]
  17. ^ a b c 春名幹男「『偽りの平和主義者』佐藤栄作」『月刊現代』2008年9月号,講談社。
  18. ^ 国会議事録検索システム
  19. ^ 1967年(昭和42年)12月11日衆議院予算委員会 議事録
  20. ^ 1968年1月30日衆議院本会議議事録
  21. ^ 1968年2月10日 朝日新聞
  22. ^ “【政治部遊軍・高橋昌之のとっておき】佐藤元首相の密約文書(上)当時はやむをえない決断 (3/4ページ)”. MSN産経ニュース (産経デジタル). (2009年12月26日). オリジナルの2009年12月29日時点におけるアーカイブ。. https://web.archive.org/web/20091229165749/http://sankei.jp.msn.com/politics/policy/091226/plc0912261802012-n3.htm 
  23. ^ 長崎新聞 2010年3月10日
  24. ^ 参議院事務局 (31 March 2016). 第190回国会参議院外交防衛委員会会議録第10号 (PDF). 外交防衛委員会. 参議院. p. 14. 2017年5月15日閲覧
  25. ^ 参議院議員立木洋君提出核兵器廃絶に関する質問に対する答弁書 - 参議院
  26. ^ 衆議院事務局 (25 November 2016). 第192回国会衆議院安全保障委員会会議録第4号 (PDF). 安全保障委員会. 衆議院. p. 12. 2017年5月15日閲覧
  27. ^ a b c 中露艦艇が「津軽海峡」を通過!?…日本と対立関係にある国の軍艦が通ってもOKな理由とは” (Japanese). 神戸新聞NEXT (2021年11月13日). 2022年2月28日閲覧。
  28. ^ a b c “核通過優先で5海峡の領海制限 元外務次官証言”. 47NEWS. 共同通信 (全国新聞ネット). (2009年6月21日). https://web.archive.org/web/20090628203901/http://www.47news.jp/CN/200906/CN2009062101000321.html 2010年3月15日閲覧。 
  29. ^ “核通過見込み5海峡で領海3カイリ 「密約」で政府判断”. 中国新聞ヒロシマ平和メディアセンター. (2009年6月22日). https://www.hiroshimapeacemedia.jp/?p=1221 
  30. ^ 【島人の目】ノーベル平和賞”. 琉球新報デジタル. 2022年2月28日閲覧。
  31. ^ “外務省が二・五原則化を模索 非核三原則堅持の内閣に重い課題 密約参考人質疑”. MSN産経ニュース (産経デジタル). (2010年3月19日). http://sankei.jp.msn.com/politics/policy/100319/plc1003192026024-n1.htm 2010年3月20日閲覧。 [リンク切れ]
  32. ^ ウクライナ最高議会「ウクライナ主権宣言」ウクライナ語(2007年5月21日時点のアーカイブ)・英語(2006年3月25日時点のアーカイブ
  33. ^ 在ウクライナ日本国大使館「ウクライナ概観(2010年5月更新)」(2010年5月27日時点のアーカイブ
  34. ^ グレンコ・アンドリー『プーチン幻想 「ロシアの正体」と日本の危機』PHP研究所、2019年、第3章2節


「非核三原則」の続きの解説一覧




非核三原則と同じ種類の言葉


英和和英テキスト翻訳>> Weblio翻訳
英語⇒日本語日本語⇒英語
  

辞書ショートカット

すべての辞書の索引

「非核三原則」の関連用語

非核三原則のお隣キーワード
検索ランキング

   

英語⇒日本語
日本語⇒英語
   



非核三原則のページの著作権
Weblio 辞書 情報提供元は 参加元一覧 にて確認できます。

   
ウィキペディアウィキペディア
All text is available under the terms of the GNU Free Documentation License.
この記事は、ウィキペディアの非核三原則 (改訂履歴)の記事を複製、再配布したものにあたり、GNU Free Documentation Licenseというライセンスの下で提供されています。 Weblio辞書に掲載されているウィキペディアの記事も、全てGNU Free Documentation Licenseの元に提供されております。

©2024 GRAS Group, Inc.RSS