ブッチホンとは? わかりやすく解説

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ブッチホン(ぶっちほん)

小渕首相電話のこと

ブッチホンは、プッシュホンをもじっている。1999年12月自由国民社主催流行語大賞選ばれたことで話題上った。「ボキャ貧」のわりに、電話コミュニケーションには積極的だった首相在任中には、ビートたけしさんや中村勘九郎さんなど多くの人に「ブッチホン」した。

小渕内閣1998年7月30日スタートした組閣時の支持率32%(朝日新聞社世論調査)だったが、以来内閣支持率上り1999年9月には最高の51%(同)を記録した

※故小渕首相2000年4月脳梗塞のため緊急入院し、同5月死去された。

(2000.01.10更新


ブッチホン

出典: フリー百科事典『ウィキペディア(Wikipedia)』 (2025/08/01 15:55 UTC 版)

ブッチホンとは、「プッシュホン」のもじりで[1]、当時内閣総理大臣であった小渕恵三の「渕」(ぶち)と電話(telephone/テレフォン)の「フォン」を掛け合わせた造語[2]

概要

総理大臣の小渕[3]が著名人にかけた電話のことを指す[4]。それがあまりにも唐突でフランクなために電話を受けた相手が当惑したという。

小渕は国民の支持を獲得するために、国民と同じ目線で話し合えば自分の人間的な考え方への理解が深まるのではないかと考え、国民との接触機会を増やしていた[5][6]。小渕内閣は発足当初、国民から期待されておらず、新聞や雑誌の論調もきわめて辛辣だったからである[7]。ブッチホンの多くはお礼や相談、情報収集、依頼のためであった。数多くの人にかけただけでなく、秘書を通さず小渕自身がかけたことは異例であった[8]。小渕はこの言葉で1999年度の新語・流行語大賞(年間大賞)を受賞している[8][2]

小渕は、極力電話は自分でかけるようにしていた。なぜなら、「人に与えられた時間というものは決まっている。なのに電話をかけるとき、まず秘書にかけさせる。すると向こうも秘書が出る。それから相手が出て、最後にやっと自分が出る、なんてことをやっていたら一本の電話に四人が使われてしまう。こんなに無駄なことはない」というのが持論だったからである。ブッチホンにより小渕に対する親しみが増したと言われている。こうした努力が実り、発足当初は戦後最低の支持率を記録した小渕内閣は、1999年5月に支持率が不支持率を上回り、同年9月には51%まで上昇した[9]。しかし、ブッチホンを初めとする職務は体に負担をかけ、心臓に持病があった小渕の体は徐々に蝕まれていった[10]

2000年4月2日、小渕は脳梗塞を発症し、昏睡状態のまま5月14日に死去した[11][12][13][14][15][16][17]

ブッチホンを受けた人物

備考

読売テレビアナウンサー道浦俊彦は、「ブッチホン」の新語・流行語大賞受賞に関して「それほど流行ったとは思えない」と述べている[1]

同じ「プッシュホン」からのもじりとしては、ブッシュ米大統領から海部俊樹総理大臣(当時)への電話を意味する「ブッシュホン」が1990年度の新語・流行語大賞で新語部門・銀賞を受賞している。

当時官房副長官だった古川貞二郎は「小渕さんは総理執務室からこまめにいわゆる『ブッチホン』をかけていた。某有名評論家が雑誌に小渕さんを冷評した記事を載せた際、その評論家に電話する様秘書官に指示した。電話口に出た相手に小渕さんは朗らかな声で『もーしもし、総理の小渕です。いやあ、いい記事を書いてくれてありがとう』。電話を切ると、小渕さんは厳しい表情で、『これでもう俺の悪口は書かない』と言い切った。小渕さんは人柄の良さでは定評があったが、人柄の良さだけでは総理になれない。温厚な小渕さんの奥底に秘めた気迫、粘り、負けん気の強さを垣間見た思いがした」と回顧している[34]

脚注

  1. ^ a b ◆ことばの話34「99日本新語流行語大賞」、道浦俊彦の平成ことば事情、1999年12月2日。
  2. ^ a b 流行語大賞:「雑草魂」「リベンジ」「ブッチホン」が選ばれる」『毎日新聞毎日新聞社、1999年12月1日。オリジナルの2001年6月24日時点におけるアーカイブ。2025年6月1日閲覧。
  3. ^ 『首相支配』 126-127頁。
  4. ^ 『首相支配』 121-123頁。
  5. ^ 小渕氏通夜:参列者、口々に思い出を語る」『毎日新聞』毎日新聞社、2000年5月15日。オリジナルの2001年2月20日時点におけるアーカイブ。2025年6月1日閲覧。
  6. ^ 小渕氏死去:近所の人が普段着で弔問 都内の自宅静かな朝」『毎日新聞』毎日新聞社、2000年5月15日。オリジナルの2001年2月20日時点におけるアーカイブ。2025年6月1日閲覧。
  7. ^ 『首相支配』 118-119・121頁。
  8. ^ a b c d 『首相支配』 122頁。
  9. ^ 『首相支配』 122-123頁。
  10. ^ 小渕首相:過労で都内の病院に緊急入院」『毎日新聞』毎日新聞社、2000年4月2日。オリジナルの2001年4月19日時点におけるアーカイブ。2025年6月1日閲覧。
  11. ^ 『首相支配』 126-127頁。
  12. ^ 首相入院:体調不調で順天堂病院に緊急入院」『毎日新聞』毎日新聞社、2000年4月2日。オリジナルの2001年4月18日時点におけるアーカイブ。2025年6月1日閲覧。
  13. ^ 首相入院:病名は脳こうそく 青木官房長官が臨時代理に」『毎日新聞』毎日新聞社、2000年4月3日。オリジナルの2003年4月21日時点におけるアーカイブ。2025年6月1日閲覧。
  14. ^ 首相入院:小渕首相重体、退陣へ、後継は森幹事長軸に調整」『毎日新聞』毎日新聞社、2000年4月3日。オリジナルの2001年6月28日時点におけるアーカイブ。2025年6月1日閲覧。
  15. ^ 小渕前首相:容体悪化、予断許さず 関係者は急変に備える態勢」『毎日新聞』毎日新聞社、2000年5月13日。オリジナルの2001年6月28日時点におけるアーカイブ。2025年6月1日閲覧。
  16. ^ 小渕氏死去:家族らが見守る中、息を引き取る 闘病43日目」『毎日新聞』毎日新聞社、2000年4月2日。オリジナルの2000年12月6日時点におけるアーカイブ。2025年6月1日閲覧。
  17. ^ 小渕前首相:入院先の医院で死去 死因は「脳こうそく」」『毎日新聞』毎日新聞社、2000年5月14日。オリジナルの2001年4月18日時点におけるアーカイブ。2025年6月1日閲覧。
  18. ^ アエラ 2000年7月3日号 p.29
  19. ^ 毎日新聞 2002年2月7日付 東京朝刊 24面
  20. ^ 毎日新聞 2000年5月15日付 地方版 鹿児島
  21. ^ 第15代沈壽官 (2018年10月29日). “21世紀日韓パートナーシップ宣言に寄せて”. 沈壽官窯. 2021年12月31日閲覧。
  22. ^ 毎日新聞 2000年5月15日付 中部朝刊 25面
  23. ^ 毎日新聞 2000年4月6日付 東京朝刊 30面
  24. ^ 毎日新聞 2001年5月24日付 東京朝刊 3面
  25. ^ 毎日新聞 2000年5月24日付 大阪朝刊 16面
  26. ^ 毎日新聞 2000年5月15日付 大阪朝刊 29面
  27. ^ 朝日新聞 2000年4月13日付 朝刊 27面
  28. ^ a b 読売新聞 2000年5月15日付 大阪朝刊 32面
  29. ^ 朝日新聞 2004年4月22日付 夕刊 1面
  30. ^ 朝日新聞 2003年1月1日付 朝刊 1面
  31. ^ 朝日新聞 2000年3月7日付 朝刊(京都)27面
  32. ^ ブッチホン「ズームイン朝」に乱入スポーツ報知、2000年1月5日。(インターネットアーカイブのキャッシュ)
  33. ^ 別冊宝島『昭和・平成「政局」の真実』 宝島社、2016年、89頁。
  34. ^ 古川貞二郎、私の履歴書日本経済新聞社 2015年 100頁

参考文献


ブッチホン

出典: フリー百科事典『ウィキペディア(Wikipedia)』 (2022/06/15 05:07 UTC 版)

小渕恵三」の記事における「ブッチホン」の解説

2000年1月5日日本テレビズームイン!!朝!』に、突如電話生出演し、キャスター福澤朗出演者視聴者驚かせた。これは、番組内でブッチホンを取り上げて貰ったことに対すお礼兼ねた電話だった。また、4日後のテレビ朝日サンデープロジェクト』にも、突如電話生出演した。ただし、後者出演に関しては、後に記者クラブ側からクレームが来た。

※この「ブッチホン」の解説は、「小渕恵三」の解説の一部です。
「ブッチホン」を含む「小渕恵三」の記事については、「小渕恵三」の概要を参照ください。

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