エイズ エイズの概要

エイズ

出典: フリー百科事典『ウィキペディア(Wikipedia)』 (2023/06/14 16:04 UTC 版)

ヘディ・ラマーを採用した広告(1952年)

フレーバーと成分

「エイズ」のフレーバーには、チョコレート、チョコミント、バタースコッチ、キャラメルなどがあり、後にピーナッツバターも加わった。オリジナルのパッケージには「Ayds Reducing Plan vitamin and mineral Candy」というロゴがタイプされており、後に「appetite suppressant candy」(食欲抑制キャンディ)というロゴに変更された。サプリとしての有効成分はベンゾカイン[1]、おそらく食欲を抑制するために味覚を感じにくくさせるためであるが、後に(ニューヨーク・タイムズが報じたところでは)キャンディの中身はフェニルプロパノールアミンに変更された[2]

ただし1944年、連邦取引委員会は、この商品を服用すれば「ダイエットもエクササイズもなしで、5日で10ポンド〔約4.5キログラム〕痩せる」とうたったカーレイ・コーポレーションの広告を問題視している[3][4]

カーレイ社(シカゴ)ほか。いわゆるダイエット製品である「エイズ」は、当委員会の調査では、特定のビタミンとミネラルが添加されたキャラメル・キャンディに過ぎなかった。この製品の販売に関連して当該企業には、この製品を服用し当該企業の提供する減量計画に従えば、食事制限をすることなく過剰な体重を除去することができるという表現をもちいた広告の差し止めを命じる。[5]

歴史

「エイズ」は、シカゴのカーレイ・カンパニーが発表した商品である。1937年を使用日(first use in commerce)として1946年に商標が登録された[6]

カーレイ・カンパニーは後にイリノイ州バタヴィアのカンパーナ・コーポレーション(Campana Corporation)の一部門に吸収される。その後、カンパーナは1956年にカンザスシティのアライドラボラトリーズ(Allied Laboratories)を買収し、さらにそのカンパーナがダウ・ケミカルによって買収される。当時の社長であったアーヴィング・ウィラード・クラルは、ダウ・ケミカルの社長も6か月弱つとめ、その間に1960年代のカンパーナのピュレックス(Purex)への売却を実行している。彼は、ピュレックスの副社長もつとめながら再びカンパーナの社長になり、それによりカンパーナは同社のカンパニーとして機能するようになった[7]。そしてクラルは、「エイズ」のプロモーションのために、ボブ・ホープやその妻ドロレス・ホープ、タイロン・パワーのようなハリウッドや社交界の有名人を人脈として利用した。コスモポリタンの1956年11月の記事によると、この頃すでにクラルはダイエットのための「エイズ」服用をプロモートするために有名人やハリウッドのセレブの友人を大量にスカウトしていた。

1981年、ピュレックスは「エイズ」のネーミングに関する権利をジェフリー・マーティン社に譲渡した。ジェフリー・マーティンおよび同社の生産ライン(エイズのほかに睡眠薬なども手掛けていた)はデップ・コーポレーションに買収された[8]

AIDSとの関係

1980年代半ばに、後天性免疫不全症候群であるAIDSが社会問題になると、この病気が「エイズ」と同じ発音であることや、AIDSが患者に急激な体重減少をもたらす(悪液質)疾患であるという事実もあいまって、ダイエットキャンディ「エイズ」の悪名が高まった[9]。それでもすぐに売り上げに影響がでたわけではなかった。当時商品を販売していた会社の社長による1985年9月のインタビューでは、AIDSとの連想がうまれてから、売り上げはむしろ伸びたと語られている[10]。1986年の初頭には別の役員が「この商品は発売されて45年近くになる。病気のほうの名前を変えたらいいのでは」という発言した記録が残っている[11]

1988年、すでに「エイズ」に関連する権利がデップ・コーポレーションに譲渡されている時期に、同社の経営陣から、AIDSに関する社会的な意識が高まったことで売上が50パーセントにまで落ちこんでいるため、新たな商品名を検討中であることがアナウンスされている[12]


  1. ^ Beverly J. McCabe; Jonathan James Wolfe; Eric H. Frankel (2003). Handbook of Food-drug Interactions. CRC Press. p. 234. ISBN 9780203490242. オリジナルの2023-04-02時点におけるアーカイブ。. https://web.archive.org/web/20230402204947/https://books.google.com/books?id=1UH76Uw1RHcC&q=ayds+benzocaine&pg=PA234 2011年10月13日閲覧。 
  2. ^ Lindsey Gruson (1982年2月13日). “A Controversy Over Widely Sold Diet Pills and not the disease”. New York Times. オリジナルの2010年8月31日時点におけるアーカイブ。. https://web.archive.org/web/20100831100805/http://www.nytimes.com/1982/02/13/style/a-controversy-over-widely-sold-diet-pills.html 2011年10月13日閲覧。 
  3. ^ FTC: Advertising Cases Involving Weight-Loss Products and Services 1924-1997”. www.nutriwatch.org (2000年5月15日). 2019年8月12日時点のオリジナルよりアーカイブ。2019年8月12日閲覧。
  4. ^ Annual Report 1945”. Federal Trade Commission (2013年6月11日). 2019年8月12日時点のオリジナルよりアーカイブ。2019年8月12日閲覧。
  5. ^ Federal Trade Commission (1945). ANNUAL REPORT OF THE FEDERAL TRADE COMMISSION FOR THE FISCAL YEAR ENDED JUNE 30 1945. Federal Trade Commission. pp. 39-40 
  6. ^ USPTO.gov. Latest Status Info: AYDS Archived 2011-08-30 at the Wayback Machine.. Accessed on June 2, 2009.
  7. ^ Batavia Industries”. 2006年2月6日時点のオリジナルよりアーカイブ。2006年3月4日閲覧。
  8. ^ Histor of DEP Corporation - FundingUniverse”. 2017年11月27日時点のオリジナルよりアーカイブ。2020年4月18日閲覧。
  9. ^ Ayds - Epic, embarrassing product failures - CBS News”. 2020年12月8日時点のオリジナルよりアーカイブ。2020年11月29日閲覧。
  10. ^ “AIDS has aided Ayds”. Tampa Bay Times: pp. 58. (1985年9月23日). オリジナルの2021年6月25日時点におけるアーカイブ。. https://web.archive.org/web/20210625101152/https://www.newspapers.com/clip/59684999/aids-has-aided-ayds/ 2020年9月21日閲覧。 
  11. ^ “Ayds name won't be suppressed by AIDS”. The Central New Jersey Home News: pp. 9. (1986年2月4日). オリジナルの2021年6月25日時点におけるアーカイブ。. https://web.archive.org/web/20210625104900/https://www.newspapers.com/clip/59685233/ayds-name-wont-be-suppressed-by-aids/ 2020年9月21日閲覧。 
  12. ^ “Diet Candy Seeking Name”. The New York Times. (1988年3月4日). オリジナルの2016年8月31日時点におけるアーカイブ。. https://web.archive.org/web/20160831063051/http://www.nytimes.com/1988/03/04/business/diet-candy-seeking-name.html 2017年2月5日閲覧。 


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