形態学とは? わかりやすく解説

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けいたい‐がく【形態学】

読み方:けいたいがく

生物学一分科で、生物体制構造研究する学問対象目的により、組織学細胞学解剖学発生学分類学などに分けられる

鉱物結晶幾何学的性質研究する結晶学一分野。


形態「学」

【英】Morphology
読み方けいたい「がく」

生物形態構造を扱う学問

形態学

出典: フリー百科事典『ウィキペディア(Wikipedia)』 (2025/07/23 05:38 UTC 版)

日本のコシトゲワレカラ Caprella mutica の形態学的構造

形態学(けいたいがく、独:Morphologie、英:Morphology)とは、生物学の一分野であり、生物構造と形態に関する学問。形態学的記述では、主に、生物の器官組織の肉眼的・可視的な特徴を得る。 光学器械と、染色技法の発達によって、19世紀にはすでに細胞や細胞以下のレベルまで研究されていた。20世紀には、電子顕微鏡のレベルで研究が進んだ(微細構造)。

用語

形態学の原語(独:Morphologie、英:Morphology)は、ギリシア語μορφή, morphé(形態)とλόγος, lógos(言葉、学問、理性)の合成語である。 これは、ゲーテ(1790年)と、それとは独立に1800年ドイツの解剖・生理学者フリードリヒ・ブルダッハによって作られた。

英語圏では、この言葉は、リボゾームRNAのような高分子の形態の記述のときにも「分子形態学」("molecular morphology")のように使われるようになってきている[1]。しかしドイツ語圏では、「形態学」は分子より上の構造にのみ使われるのが普通である。

なお、独:Morphologie、英:Morphology の言葉によって、「形態学」という学問分野と、「形態」を意味する場合があるので注意を要する。生物学における形態とは、生物の形や構造のことである[2][3]。これには、外形的な現れ(形、構造、色、模様)とともに、骨や器官などの体内の形状や構造も含んでいる。おもに機能に関係する生理と対比される。

また、"gross morphology"(外部形態、全体形態)の語も使用される。これは、生物個体や分類群の、目立っていたり、重要な形態を意味する。生物の外部形態としては、たとえば、全体の形状、色、目立つ模様などの記述が含まれ、細部は含まれない。

形態学の諸分野

形態学的な研究は、さまざまな目的で行われる。目的に応じて、形態学の異なる分野が形成されてきた。

たとえば、「比較」「機能」「実験」という分け方が考えられる。

  • 比較形態学においては、各個体が持つ形態の多様性の中から基本的な型を、すなわち分類群固有の形質を識別する。また逆に、特徴的な形質に基づき、分類群を導き出すこともある。
  • 機能形態学の趣旨は、特定の機能に着目し、それに関する構造を調べることにある。生理学生化学薬理学とも密接に関わっているが、この研究で注目するのは、生物個体の、特定の機能に関係している部分である。そのため、構造は、特定の機能(つまりその生物の生態へ適応)に特殊化されたものとして理解される。全体性、あるいは、個別の機能間の相互作用についての記述があるときは、構造形態学(de:Konstruktionsmorphologie)的記述といわれる。
  • 実験形態学では通常、器官の発達について研究する。形態の継時的変化における意味での発生規則を究明するために、環境条件などを変更した実験を行う。(通常のものと、障害を与えたものの発生プロセスを比較し、相違の原因を確認する)

このように、形態学の研究は、きわめて多様な分野の基礎になりうる。 形態や、発達中の変化についての客観的な記録は、現代の生物学において生物の分類の基礎になる。 従って形態学は、分類学進化論の基礎を作る(系統学を参照)。 だが、古い時代の形態学者は、彼らが体系化した生物分類が、共通祖先からの枝分かれの結果であるとは考えなかった。 そのかわり、既知の分類群に対し、「理想像」あるいは「原型」を当てはめることができるかどうかが問題になった[4]。生物の中に、プラトンのイデア論的な理想像をも見ようとしたのである。 このような姿勢の著名な例は、既知のすべての植物形態から、一つの理想的典型「原植物(独:de:Urpflanze)」を推測しようとするゲーテの試みである。 この考え方は今日では、近代の進化生物学への第一歩と評価されており、歴史的には「理想主義の形態学」とまとめられている[5]

一方、観察する箇所が、生物の内部か外部かによっても、細分することができる。

  • 解剖学は、生物の構造や、内部器官についての研究である。
  • 生物の外観に対する研究はエイドノミー(英:en:eidonomy)と呼ばれ、生物学の歴史の初期では主流だったが、収斂進化の影響もあり、もはやほとんど研究されていない。外観から得られる情報は、解剖で得られる情報よりも乏しいので、外観の研究は通常、形態の研究の一要素として、系統学の分野などで行われる。

形態学による分類の問題

ほとんどの場合、特定の分類群は、形態学的に他の分類群と違っている。通常、関係の近い分類群同士は、関係の遠い分類群よりも違いが少ない。ただし例外はある。隠蔽種というものが存在するが、これは、非常に似ていたり、外見上ほとんど同一であるが、おたがいに生殖的隔離がなされている複数の種である。また、無関係な分類群が収斂進化や擬態などによって、類似した外観になることがしばしばある。形態学的データに依存することのさらなる問題点は、形態的には別々の2種であるとみなされたものが、DNA分析によって実は1つの種であるとわかるというようなことである。

注釈

  1. ^ Ender & Schierwater 2003
  2. ^ Morphology”. Biology-Online.org. 2009年4月9日閲覧。
  3. ^ morphology”. Encyclopædia Britannica. 2009年4月9日閲覧。
  4. ^ Adolf Remane: Die Grundlagen des natürlichen Systems, der vergleichenden Anatomie und der Phylogenetik, Theoretische Morphologie und Systematik I. Akademische Verlagsgesellschaft, Leipzig 1954
  5. ^ Lefevre 1984

参考文献

  • A. Ender & B. Schierwater(2003): Placozoa are not derived cnidarians: Evidence from molecular morphology. Molecular Biology and Evolution 20, S. 130-134
  • W. Lefèvre(1984): Die Entstehung der biologischen Evolutionstheorie. Frankfurt, Berlin, Wien: Ullstein, ISBN 3-548-35186-7

参照

外部リンク


形態学

出典: フリー百科事典『ウィキペディア(Wikipedia)』 (2020/05/31 06:57 UTC 版)

バーキットリンパ腫」の記事における「形態学」の解説

アポトーシスした細胞マクロファージ貪食するため、ところどころ染色抜け星空像(starry sky appearance)という特徴的所見認められる。ただしこの所見はDLBCLでも見られるため、形態からのみでは診断できない典型的な像では均一な中型細胞びまん性増殖しているが、非典型像では大きさや形が不均一である。この非典型像はDLBCLとBLとの中間的なリンパ腫に多い。 他の悪性リンパ腫病理組織では反応性小型T細胞混在することが多いが、バーキットリンパ腫では非常に少ない骨髄スメアでは、腫瘍細胞脂肪顆粒を持つため、メイ・ギムザ染色過程でのアルコール処理で溶出してしまい細胞質空胞生じる(疾患情報BOX写真参照)。PAS染色スダンⅢ染色陽性になる。

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「形態学」を含む「バーキットリンパ腫」の記事については、「バーキットリンパ腫」の概要を参照ください。

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