生活・行動
出典: フリー百科事典『ウィキペディア(Wikipedia)』 (2021/08/13 06:02 UTC 版)
特化(とっか) 原始的なものから進化するが、特に特異な特徴を進化させた場合に用いる。 個体変異(こたいへんい、英: indivisual variation) 個体間にみられる形質の違い。遺伝的なものとそうでないものがある。 体色変異(たいしょくへんい) 同種であっても体色が生息場所などによって著しく変化していること。 年齢(ねんれい) 通常、産卵期を境とする満年齢で数えるが、数え年で数える場合もある。耳石、鱗、主鰓蓋骨などに現れる年輪で数える。 天然魚(てんねんぎょ、英: native fish) または 在来魚(ざいらいぎょ) もとからその場所に生息していた居着きの魚。人間の手を借りず自然繁殖を続けているもの。 放流魚(ほうりゅうぎょ、英: stocker) 生まれが孵化場、養魚場の人工種苗魚。発眼卵、稚魚、幼魚が、あるいは未成魚、成魚に育てられてから放流された魚。ハッチェリーフィッシュ(英: hatchery fish) 特に、稚魚放流された放流魚。稚魚を放流したものが成長し回帰してきたものもこれに当る。「ハッチェリー」(英: hatchery)は孵化場の意。 (移植による)野生繁殖魚(やせいはんしょくぎょ、英: wild fish, wild propagator, planted fish, ailen) または 自然繁殖魚(しぜんはんしょくぎょ) 放流された魚が自然繁殖したもの。最初の魚は放流魚なので移植群だが、生態として考えるならその子孫は野生魚である。移植魚が在来魚と異なる種の場合、それが生態を乱すという意見もある。野生繁殖魚の中には天然魚との交雑も含まれている。 肺呼吸(はいこきゅう、英: pulmonary respiration) 肺を用いてガス交換する外呼吸。呼吸運動により肺内に入ってきた空気と血管内の血液との間でガス交換がおこなわれる。魚類ではハイギョ類や一部の硬骨魚類に見られる。脊椎動物の肺は原始的な硬骨魚類の咽頭が膨出することによって生じたものである。硬骨魚類の鰾はそれが二次的に転じたとされる。 鰓呼吸(えらこきゅう、英: branchial respiration) 鰓を用いて水中でガス交換する外呼吸。水(呼吸媒質)は鰓の表面を流れる。魚類では呼吸水の流れの方向は二次鰓弁の毛細血管を流れる血液の方向と反対である。よって二次鰓弁を流れる血液と水との間には常に一定の酸素分圧の勾配が維持され、血液は水によって常に効果的な酸素飽和の仕事がなされる。鰓呼吸型循環系(えらこきゅうがたじゅんかんけい、英: gill-plan of circulatory system) 鰓呼吸する脊椎動物にみられる血管系。円口類、魚類、両生類の幼生が行う。 食性(しょくせい、英: food habit, diet) 何を食べるかということ。胃内容物を見れば食べているものがわかる。同じ種でも成長の程度、餌の量、生息場所、時間帯、季節などによって変化する。食性によって口も変化する。肉食性、魚食性、藻食性、雑食性などという。 雑食魚(ざっしょくぎょ、英: omnivorous fish) 植物性、動物性両方の餌を食べる(雑食性)魚類。ただし、肉食魚でも草食魚でもともに異なる食餌をとることがあり(つまり肉食魚は植物餌、草食魚は動物餌)、厳密には区別は困難。典型的な雑食魚はオイカワ、コイ、キンブナ、ドジョウ、メジナ、スズメダイ類、ミゾレチョウチョウウオ、アイゴなど。 魚食魚(ぎょしょくぎょ、英: piscivorous fish) もっぱら魚を餌とする魚のこと。肉食魚の一つ。 濾過摂食(ろかせっしょく、英: filter feeding) 水中に懸濁している食物の粒子を繊毛や剛毛の動きによって集めて食べる摂食法のこと。ニシンやサバなどのプランクトン食の魚類は鰓耙を篩のようにして小甲殻類などを濾しとって食べる。表層の海水でさえ1L当り0.2-1.8mgの有機物粒子しか含まないので、濾過摂食を行う動物は大量の水を摂食器官で通過させる必要がある。 擬態(ぎたい、英: mimicry/mimesis) 動物が体やその一部の色彩や形態を他の物に似せること。例えば、流れ藻に暮らすツバメウオの幼魚は枯葉や藻が漂うように擬態している(隠蔽的擬態)。またアカククリの幼魚は毒性のあるヒラムシ類に擬態している(標識的擬態)。隠蔽的擬態(いんぺいてきぎたい、英: mimesis) または 模倣(もほう,、英: mimesis) 動物の形態、色彩や行動が捕食者の関心をひかない他の動物や無生物に似ているような擬態。これを隠蔽(いんぺい)やカムフラージュ(カモフラージュ、英: camouflage)に含めることもあるが、捕食者がそれを背景から識別できないようなものを隠蔽、識別しているものの食べられないものと認知するような場合を隠蔽的擬態と区別することもある。隠蔽的動物擬態(英: zoomimesis)、隠蔽的植物擬態(英: phytomimesis)、隠蔽的異物擬態(英: allomimesis)などがあり、リーフィーシードラゴン、ウィーディーシードラゴンなどは海藻と紛らわしい扁平な長い突起を持つため隠蔽的植物擬態の一つである。 標識的擬態(ひょうしきてきぎたい、英: mimicry) 動物が警告色を持つほかの動物など、捕食者の注意を引くものに似るような擬態。狭義の擬態。似せようとする側を擬態者(ぎたいしゃ、英: mimic)、似せる対象をモデル(英: model)という。美味で捕食されやすい被食者が有毒もしくは不味で警告色を持つ他の動物に姿を似せて敵を欺くベイツ擬態(-ぎたい、英: Batesian mimicry)と、2種以上の動物が持つ警告色がよく似た斑紋や色彩に収斂し未経験者の捕食者に食われる率を低め合うミュラー擬態(-ぎたい、英: Müllerian mimicry)がある。 種内擬態(しゅないぎたい、英: intraspecific mimicry) 標識的擬態のうち、モデルが同種の他個体である擬態。口内哺育をする魚類の中には、雄の腹鰭に自種の卵そっくりな模様(エッグスポット)をもって、それを波うたせることにより雌の産卵を促す。この場合モデルは自種の卵で、信号受信者である雌を騙している。雌擬態も種内擬態の一つである。 雌擬態(めすぎたい、英: female mimicry) 種内擬態の一つ。同種の雌に擬態すること。縄張りを持てない雄が雌と似た姿を持つことで他の雄の縄張りに潜み、繁殖に加わろうとする。 隠蔽色(いんぺいしょく、英: concealing coloration, cryptic coloration) 動物個体の存在を背景の中に埋没させてしまう効果を持つ体色。捕食者は獲物に警戒されず近づけ、被食者は捕食者の眼を逃れやすくなる(保護色)。隠蔽的擬態もこれに含まれる。魚類の中にはカレイ類など周囲の色の変化に際して急速な体色変化を起こし、相応する隠蔽色を現すものもある。保護色(ほごしょく、英: protectove coloration, protecting color) 被食者が持つ隠蔽色。捕食者の眼を逃れやすくする効果がある。寄生虫などには全く効果を持たない。捕食者が持つ隠蔽色も含める場合がある。 カウンターシェイディング(カウンターシェーディング、英: counter shading) 隠蔽色の一種で、中層を遊泳する魚類の腹側が白っぽく背側が暗い色をしていること。 威嚇行動(いかくこうどう、英: threat behavior) 敵を嚇して追い払う行動。魚類では鰓蓋を広げるなどして、体を大きく見せると同時に歯や角のような武器を露わにする。通常は実際の闘争に至ることなく、その目的を達する。 儀式的闘争(ぎしきてきとうそう、英: conventional fighting) または 試合闘争(しあいとうそう、独: Turnierkampf) 同種個体間における闘争で、一定のルールに従って行っているように見えるもの。多くは最後には弱い方が服従行動をとって相手のそれ以上の攻撃を抑制するか逃げ去るかして一方または双方が傷ついたり死ぬことなく終わる。攻撃は儀式的闘争のために発達したと考えられる器官によって相手の体の特定の部位(トゲウオでは強固な皮膚を持つ顎)だけに与えられ、致命傷を与える部位には向けられない。スポーツの試合に似た性格を持つ。ゲーム理論に基づいて個体の利益を見る観点から説明されている。 縄張り(なわばり、英: territory) 他の個体または集団の生息や侵入を許さない一定の生息区域。 順位(じゅんい、英: order) 社会集団の中の個体の優位序列。魚類ではベラ類に多くみられる。ハーレムの雄がいなくなると最高順位の雌が雄に性転換する。その他ハナダイ、ヤッコの仲間でも知られ、クマノミ類では逆の例がみられる。クマノミは単独の大型の雌がイソギンチャクを中心に一定の縄張りを持ち、複数の雄が随うが、産卵に参加できるのは順位が最高の雄のみである。雌がいなくなると、最上位の雄が雌に性転換する。 発音魚(はつおんぎょ、英: sound-producting fish) 遊泳、採餌、呼吸などに伴い生じる音は除き、警戒、求愛、威嚇、認識などの目的で音を発する魚の総称。発音魚の多くは鰾が大きい役割を果たす。その他、歯、肩帯、鰭条なども発音に利用される。 発音(はつおん) 発音の目的は敵への威嚇や仲間の位置の察知、同種同士の警戒などがあるが、ドジョウ類の呼吸音など生態的意味を持たないものも多い。カサゴでは縄張りの侵入者を威嚇するときに、ニベ類では産卵期に激しく発音する。摩擦音(まさつおん) 体の一部を摩擦する音。ゴンズイの場合、胸鰭の棘を付着している骨に押し付ける。ヒイラギは主上顎骨の上端から後方に伸びている突起を顎骨と擦り合せる。アジ類は上下咽頭骨を、マツカサウオやイトヨは腹鰭の大きな棘を立てその基部の関節面に摩擦する。セミホウボウは頭骨中の舌顎骨を他の頭骨と摩擦し、カジカは鰓蓋の一部を摩擦し、フグ目の多くは上下の歯を擦りあわせて発音する。ドンコなどでも発音のための特別な筋肉は発達していないが、肩帯の骨の振動音などを鰾で増幅させて音を出す。 振動音(しんどうおん) 鰾に付随する筋肉の収縮で鰾が振動して非常に高い音を発する。ホウボウ、イシダイ、シマイサキ、コトヒキ、ニベ類、カサゴ類などが振動音を発音する。イットウダイ、ハタンポ、ニベ類、シマイサキ、カサゴなどでは鰾と頭骨、脊椎骨、体腔壁を結ぶ発音筋が発達し、それにより鰾壁を振動させて大きな音を出す。マトウダイ、ガマアンコウ、カナガシラなどでは鰾壁に密着した発音筋が発達し、その働きにより発音する。特にホウボウの雄は咽頭骨を摩擦し、鰾を共鳴器とするため声が高い。 呼吸音(こきゅうおん) ドジョウやタウナギなど腸呼吸を行う魚が発する。水中に酸素が少なくなったり、空気中に出したりすると空気を口から消化管の中に入れ、腸壁に分布する毛細血管を吸入し、残物を肛門から出す。これが狭い腸管を漏れる際音を発する。 棲み分け(すみわけ、英: habitat segregation, interactive habitat segregation) 似た生活様式を持つ2種以上が同じところに棲むこともできるのに生息場所を分け合っている現象。例えばイワナとヤマメは夏季の水温13℃の付近を境にして分かれて棲むことが多い。しかし他種のいない場合はヤマメは13℃より水温の低い上流にも、イワナは13℃より水温の高い下流にも生息する。 片利共生(へんりきょうせい、英: commensalism) 共生者の一方が何らかの利益を受け、もう一方は利益も不利益も受けていない状況のこと。 ラム換水(-かんすい、英: ram ventilation) 魚類の呼吸法の一つ。能動的な呼吸運動をせず、自身の移動の結果として口から入ってくる水流により鰓に一方向性の水流を与えて呼吸する方法。サバ、サメ類にみられる。 比重調節(ひじゅうちょうせつ、英: regulation of specific gravity) 魚類は遊泳力を使うか自身の比重を変えることにより自由に生息深度を変えられる。サメ、エイ、カレイやヒラメなど鰾を持たない魚類は遊泳をやめるとその深度を維持できず、その比重により浮き上がるか沈むかしてしまう。 発光魚(はっこうぎょ、英: luminous fish) 発光魚はツノザメ目、フウセンウナギ目(フクロウナギ科など)、ソトイワシ目(ソコギス亜目など)、ワニトカゲギス目(ムネエソ科、ヨコエソ科などほぼすべて)、キュウリウオ目(セキトリイワシ科など)、ハダカイワシ目(ハダカイワシ科、ソトオリイワシ科など)、タラ目(ソコダラ科など)、アンコウ目(チョウチンアンコウ科など)、キンメダイ目(マツカサウオ科など)、スズキ目(ヒイラギ科、テンジクダイ科など)などの分類群に現れる。 発光(はっこう、英: luminescence) または 生物発光(せいぶつはっこう、英: bioluminescence) 発光する魚はすべて海産で光の色は淡緑色や白色のものが多い。中には濃緑色や深紅色(キュウリエソなど)のものもある。発光の目的は認識信号(仲間に自分の所在を知らせる)、照明(自分の進路を照らす)、誘引(餌生物を誘き寄せる)、威嚇(敵を嚇す)、防御(敵の眼を眩ます)など種類によってさまざま。自力発光(じりきはっこう) または 閉鎖式(へいさしき) 自分で発光素を分泌し、酸化による発光。細胞から発光素ルシフェリンを分泌しそれが体内もしくは水中の酸素で燃焼して起こる。このとき酵素ルシフェラーゼにより燃焼が補助される。この燃焼は炎も熱も発生しない冷光である。 ほとんどが深海魚だが、ツマグロイシモチの腸管の一部は自力発光腺となっている。深海魚ではハダカイワシ科、ヨコエソ科、ムネエソ科、カラスザメ属(カラスザメやフジクジラ)などである。発光器は眼のような構造をし、体に散在している。しかしカラスザメ類は皮膚器官として無数にあり、ミズテングでは発光器がないのにも拘らず発光する。ハダカイワシ類のものはよく発達しており、神経や血管もきわめて多く発達しており、瞬間的に発光できる。チョウチンアンコウ類では擬餌状体に発光器がある。 共生発光(共棲発光、きょうせいはっこう、英: symbiotic luminescense) または 他力発光(たりきはっこう)、開孔式(かいこうしき) 発光器の中に発光バクテリアが共生し、その発光によって光を発する。発光バクテリアが侵入するために発光腺は必ず消化管のある部分か肛門付近に開いている。ヒイラギ(食道を取り巻く部分が発光腺)、マツカサウオ(下顎の前端に左右一対の発光器))、ホタルジャコ(魚体の下半部全体が発光器、発光腺は肛門付近に開孔)、トウジン科の多く(腹部に縦走した細長い発光腺、後端は肛門直線に開孔)などがこの仕組みを持つ。 発電魚(はつでんぎょ、英: electric fish) または 電気魚(でんきうお) 発電器官を備えた魚類。系統的には少なくとも6回独立に出現しており、進化における収斂の例として知られる。発電力の強さにより2つに大別できる。発電魚は発電器官を使って短い時間間隔で自らの周囲に電場を形成し、その電場の乱れを感知して餌や外敵の存在を知る。強い発電力を持つ発電魚 シビレエイ(Narke japonica)、シビレエイの一種 Torpedo marmorata、デンキナマズ(Malapterurus electricus)、デンキウナギ(Electrophorus electricus)、ミシマオコゼの仲間(Astroscopus)など。数百Vにも及ぶ。その起電力は、他の動物を倒すという攻撃的、または防御的役割を果たす。 弱発電魚(じゃくはつでんぎょ) または 弱電気魚(じゃくでんきうお) モルミルスMormyrusやギュムノートゥス(Gymnotus)、ガンギエイ(Raja)など。1V程度の放電を50-750Hz程度の頻度で出す。これらの魚では別に電気を受容する感覚器官(電気受容器)を備えており、放電によって周囲に形成される電場を感知し(電場定位)、外敵や障害物の接近を知る方向探知機構として用いられる。 魚介毒(ぎょかいどく、英: marine toxin) 生きている魚介類が持っている自然毒の総称。 刺咬毒(しこうどく) 一般に高分子蛋白質だが、充分な毒液が集めにくく、毒の成分が不安定だったりすることなどにより性状については明らかでない点が多い。ゴンズイやカサゴ類が持つ。毒腺から分泌され、腫脹、痛み、痙攣、呼吸困難などを起こし、致命的な場合もある。刺毒魚(しどくぎょ、英: venomous fish) 体表の一部の棘に毒腺を持ち、他の生物が刺されると毒液が注入される。約200種程度が知られ、ゴンズイやオコゼ類では刺さると先端が折れ毒が外的に注入されやすくなっている。 皮膚毒(ひふどく) 多くはペプチドを含む分子量数千の物質。ヌノサラシ、アゴハタ、コバンハゼ、ミナミウシノシタ、ハコフグなどが持つ。表皮の毒分泌細胞やこの細胞が真皮に落ち込んでできた毒腺に貯蔵される。他個体を殺し、防御的効果を持つ。 フグ毒(ふぐどく、河豚毒、鰒毒、英: fugu toxin) フグの臓器(卵巣と肝臓に顕著)に含まれる毒素。食中毒の一種。細菌の産生する毒素をフグが蓄えたもので、食用フグに多く含まれるが、カナフグやキタマクラなどではほとんど認められない。他に皮膚や腸から毒が認められるものもあるが、血液はほぼ無毒である。フグ以外にもツムギハゼやカリフォルニアイモリの卵、タコからも認められる。 毒成分はテトロドトキシン(英: tetrodotoxin、TTX)で、毒作用は細胞膜における神経や骨格筋の電位依存性ナトリウムチャネルのナトリウムイオン透過経路の阻害による。症状は筋肉弛緩、感覚麻痺、嘔吐、神経節遮断(血圧下降・腸管の運動抑制)で呼吸麻痺による中毒死を起こす。類似の毒素にチリキトキシン(ヤセヤドクガエルから)サキシトキシン(貝毒)などがある。 シガテラ毒(-どく、英: ciguatera toxin) 熱帯・亜熱帯地域に生息する魚類を食べて起こる食中毒の総称。その魚に固有の毒ではなく、有毒プランクトンで産生され、食物連鎖を通じて蓄積されたもの。主な毒性を持つ物質としてシガトキシン(英: ciguatoxin、CTX)とアルテリンなどが分離されている。バラフエダイ、バラハタ、ドクカマス、ドクウツボなどの内臓や筋肉に存在する。致死率は低く、手や口の周りの感覚異常や運動失調などの神経系障害を引き起こす。その他下痢や嘔吐、ドライアイスセンセーション(英: dry-ice sensation)、関節痛、倦怠感などを引き起こす。 イクシオトキシン(英: ichthyotoxin) 魚雷型(ぎょらいがた) 魚の遊泳方法の基本形は3つに分けられ、その遊泳法の一つ。紡錘形の魚の遊泳。体の大部分はほとんど屈伸せず、尾鰭と体の後端部を左右に屈伸する。体側筋が発達している。 漕艇型(そうていがた) 遊泳法の一つ。対鰭(特に胸鰭)によって水を後方に押して前進する。魚雷型に比べると遅く、持続力も弱い。エイ類にみられる。 この型の変形で、背鰭と臀鰭のみを波状に動かすか左右に振って推進するものがある。フグ目にみられる。 蛇行型(だこうがた) 遊泳法の一つ。延長形の魚にみられる。長い体を左右に何度も屈伸して水を押し前進する。尾鰭の発達は悪く、持たないものもある。対鰭は遊泳に与らないため対鰭を持たないものもある。ヒラメ類は体が扁平のためヒルのように主軸を垂直に屈伸して前進する。 回遊(回游、洄游、かいゆう、英: migration) 魚が地理的に大きく移動すること。餌を求めたり、産卵場所を求め移動したり、生息に適した場所を求めて移動したりと、一つの場所にとどまらず移動を繰り返す。通し回遊(とおしかいゆう) または (広義の)両側回遊(りょうそくかいゆう) 海と川を往来する回遊。遡河回遊(そかかいゆう) 長期間海で成長した後、産卵のため川を遡ること。遡河回遊魚も参照。 降海回遊(こうかいかいゆう) または 降河回遊(こうかかいゆう) 長期間川で成長し、産卵のため海へ下ること。降河回遊魚も参照。 両側回遊(りょうそくかいゆう) ある一定期間海でも川でも生活し、産卵に関係なく領域を移動すること。普通河川で孵化し、流下して仔稚魚期を海で過ごし、稚魚期中後期ごろ遡上し、成長して河川で産卵するものが多い。両側回遊魚も参照。 河川回遊(かせんかいゆう) 河川の中での回遊。孵化した仔魚が河川中を流下し、遡上しながら成長すること。ソウギョ、オイカワなど。 海洋回遊(かいようかいゆう、英: oceanic migration) 海洋中で行われる回遊。沿岸回遊、外洋表層回遊、垂直回遊などが含まれる。 偶来回遊(ぐうらいかいゆう) 偶発的に海から河川に遡上すること。スズキ、ボラ、ギンガメアジ、ナガエバなどがこれに当る。 索餌回遊(さくじかいゆう) 餌を食べるための回遊。索餌回遊域(さくじかいゆういき) 餌を求めて回遊(索餌回遊)する海域。 陸封型(りくふうがた、英: land locked form) または 陸封魚(りくふうぎょ) 元来は河川や湖沼と海を行き来していた魚が温度などの気候や地形変化などで淡水域に閉じ込められ河川や湖で一生を送るようになったもの。サケ科、トゲウオ科にみられる。 降海型(こうかいがた、英: sea run form) または 走海型(そうかいがた)、シーラン(英: sea run form) 生活の中心が淡水域にある種において、海に下って生活しているグループ。ウグイなどにみられる。 遡上(そじょう) 海と川を行き来する魚が海から川へ遡ること。湖に棲む魚が川へ遡る際にも使われる。 食物連鎖において周囲の生態系と一体化して栄養をつなぎ、重要な役割を果たしている。 モドリ(戻り、もどり) 海と川を行き来する魚において、海へ降りられる環境でも流程が長い河川の場合、途中で引き返してくることがあり、その個体。 母川回帰(ぼせんかいき) または サーモン・ラン(英: salmon run) サケ科魚類が一度外洋に出て生まれ育った川に回帰(英: homing)すること。太陽コンパス、磁気コンパス(英: magnetic compass)、嗅覚を組み合わせて利用していることが分かっている。うち嗅覚が最も重要である。
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