ソコダラ科とは? わかりやすく解説

ソコダラ科

出典: フリー百科事典『ウィキペディア(Wikipedia)』 (2022/05/24 22:10 UTC 版)

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ソコダラ科
Coelorinchus carminatus
分類
: 動物界 Animalia
: 脊索動物門 Chordata
亜門 : 脊椎動物亜門 Vertebrata
: 条鰭綱 Actinopterygii
亜綱 : 新鰭亜綱 Neopterygii
上目 : 側棘鰭上目 Paracanthopterygii
: タラ目 Gadiformes
: ソコダラ科 Macrouridae
学名
Macrouridae
亜科
本文参照

ソコダラ科(学名:Macrouridae)は、タラ目に所属する魚類の分類群の一つ。4亜科38属396種で構成される、タラ目で最大のグループである。 学名の由来は、ギリシャ語の「makros(大きな)」+「oura(尾)」から[1]

形態

体は前後に延長している。尾部は紐状で尾鰭を欠いていて、ほとんどの種類では骨格レベルで消失している。鰓条骨は6-8本、服椎骨は10-16本ある[1]。 バケダラ亜科以外のものは背鰭が2基あり(バケダラ科は1基)、第2背鰭と臀鰭は尾部で連続する。顎にヒゲがあり、鱗が小さい。発光器をもつ種類があり、肛門の近くに開口する。体長は80cm程度までのものが多い[1]が、1.5mに達する種類もある。

分布・生態

ほぼ全深海に分布する。生息水深は大陸棚近縁 (100m) から海溝の深部 (6,000m以深) まで極めて広範囲に及ぶが、多くは200-2,000mにかけて生息しているとみられる。

分類

口の開く位置や背鰭の数・形状などに基づき4亜科に分類される。トウジン属、ネズミダラ属、ホカケダラ属など、50種以上を含む大きな下位分類群が属している。

アナダラ亜科

Gadomus melanopterusとみられる種

アナダラ亜科 Bathygadinae は2属26種[2]からなり、最も原始的な一群と考えられている。第2背鰭は第1背鰭のすぐ後ろにあり、臀鰭よりも発達している。鱗は円鱗。口は大きく体の前端に開き、吻は丸みを帯びている。太平洋東部を除く熱帯から亜熱帯海域の中深層~漸深層に広く分布し、最大で65cmほどになる。アナダラ属は顎ヒゲをもたないか不明瞭であるのに対し、カタダラ属は明瞭なヒゲをもっている。

  • アナダラ属 Bathygadus (13種)
  • カタダラ属 Gadomus (13種)

バケダラ亜科

バケダラ亜科 Macrouroidinae は2属2種[3]のみで構成される。背鰭は1基で、軟条のみからなり、棘条は存在しない[4]。頭部は塊状でまったく角張りがなく、口は体の下側に開く。腹鰭は退縮し、バケダラ属の種のものは小さく5軟条からなり[4]、バケダラモドキ属の種には全くない。熱帯から温帯の海底に生息し、全長35cm前後。本亜科は独立のバケダラ科 Macrouroididaeとして分類されていた。

  • バケダラ属 Squalogadus (1種)
  • バケダラモドキ属 Macrouroides (1種)

Trachyrincinae 亜科

Trachyrincinae 亜科 Trachyrincinae は2属7種[5]からなる。第2背鰭は第1背鰭のすぐ後ろにあり、臀鰭よりもわずかに丈が高い。口は大きく体の下側に開き、吻は長くとがっている。顎ヒゲは小さいか、欠いている。世界中の温帯域の深海に住む。体長は最大60cm。

  • Idiolophorhynchus (1種)
  • Trachyrincus (6種)

ソコダラ亜科

イバラヒゲ
Coryphaenoides acrolepis
オナジネズミダラ
Nezumia aequalis
Coryphaenoides leptolepis、水深3,158mにて。

ソコダラ亜科 Macrourinaeは21属361種[6]で構成される。タラ目魚類の半数以上が所属する大きな一群であり、新種の記載も相次いでいる。北極海の高緯度地帯を除く全海域に分布し、深海底の生態系において非常に重要である一方、水産資源として利用可能な種類は限られている。進化している一群で、海底に適応している。

臀鰭が第2背鰭よりも発達し、第1背鰭との間隔は離れている。口が小さく、位置は亜端位もしくは体の下面に開き、下顎先端のヒゲの有無もさまざまである。発光器をもつ種類が多い。最大で1.5mになる種(ムネダラ、Albatrossia pectoralis)がある。鱗は大部分の種で櫛鱗。

  • ムネダラ属 Albatrossia (1種)
  • ナラクノソコダラ属 Asthenomacrurus (2種)
  • Cetonurichthys (1種)
  • ダンゴヒゲ属 Cetonurus (2種)
  • トウジン属 Coelorinchus (121種)
  • ホカケダラ属 Coryphaenoides (65種)
  • Cynomacrurus (1種)
  • Echinomacrurus (2種)
  • Haplomacrourus (1種)
  • スジダラ属 Hymenocephalus (24種)
  • カガミヒゲ属 Kumba (8種)
  • スルガネズミダラ属 Kuronezumia (6種)
  • Lepidorhynchus (1種)
  • Lucigadus (7種)
  • Macrosmia (1種)
  • Macrourus (5種)
  • マンジュウダラ属 Malacocephalus (7種)
  • Mataeocephalus (6種)
  • Mesobius (2種)
  • ネズミダラ属 Nezumia (51種)
  • クロボウズダラ属 Odontomacrurus (1種)
  • Pseudocetonurus (1種)
  • ニホンソコダラ属 Pseudonezumia (5種)
  • Sphagemacrurus (6種)
  • ヤリダラ属 Spicomacrurus (4種)
  • ワタヒゲ属 Trachonurus (6種)
  • ミサキソコダラ属 Ventrifossa (24種)

出典・脚注

  1. ^ a b c Macrouridae FishBase
  2. ^ BathygadinaeFishBase
  3. ^ MacrouroidinaeFishBase
  4. ^ a b 『山溪カラー名鑑 日本の海水魚』 p.129
  5. ^ TrachyrincinaeFishBase
  6. ^ MacrourinaeFishBase

参考文献

  • 岡村収・尼岡邦夫 編・監修 『山溪カラー名鑑 日本の海水魚』 山と溪谷社 1997年8月20日 初版第1刷発行 124-129頁 ISBN 9784635090278

 (バケダラ亜科は独立した科として記載)


外部リンク


ソコダラ科

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タラ目」の記事における「ソコダラ科」の解説

ソコダラ科 Macrouridae は4亜科27350種を含む、タラ目最大グループである。北極海南極海含めた、ほぼ全海域深海分布する生息水深大陸棚近縁から海溝深部(6,000m以深)まで極めて広範囲に及ぶが、多く200-2,000mにかけて生息しているとみられる背鰭バケダラ亜科除いて2つあり、第2背鰭臀鰭尾部連続する尾鰭欠いており、ほとんどの種類では骨格レベル消失している。顎にヒゲがあり、小さい。発光器をもつ種類があり、肛門の近く開口する。体長一般的に80cm程度までだが、1.5mに達す種類もある。 口の開く位置背鰭の数・形状などに基づき4亜科分類されるトウジン属、ネズミダラ属、ホカケダラ属など、50種以上を含む大きな下位分類群いくつかある。

※この「ソコダラ科」の解説は、「タラ目」の解説の一部です。
「ソコダラ科」を含む「タラ目」の記事については、「タラ目」の概要を参照ください。

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