通し回遊(川と海をめぐる回遊)
出典: フリー百科事典『ウィキペディア(Wikipedia)』 (2022/06/15 06:30 UTC 版)
「回遊」の記事における「通し回遊(川と海をめぐる回遊)」の解説
動物には海の中を回遊するものだけでなく、川と海をまたぐ回遊をするものも存在する。これは通し回遊(とおしかいゆう)と総称される。 1年のうちで生息場所を移動するものもいれば、生活環のある期間で移動するものもある。いわゆる「川の動物」として知られていても、実は一生のどこかで海を利用しているという動物は数多い。つまり、河川の環境保護を考える場合には、その川が繋がる海の環境にもまた注目する必要がある。 通し回遊は、どちらをメインに生活するか、どちらで産卵をするかにより分類することができる。 遡河回遊 川で産卵し、川で生まれるが、生活の大部分を海に降って過ごし、産卵の時に再び川に戻ってくるものを遡河回遊(そかかいゆう)という。サケ、ウグイ降海型、マルタウグイ、カワヤツメなどがいる。 降河回遊 普段は川で生活しているが、海に降って産卵し、誕生したこどもが川をさかのぼるものを降河回遊(こうかかいゆう)という。代表的なのはウナギだが、ウナギの場合は川に上らず沿岸域で過ごす個体もいるので完全には当てはまらない。他にはアユカケ、ヤマノカミなどのカジカ科魚類、甲殻類ではモクズガニなどがこれに該当する。 両側回遊 普段から川で生活していて、産卵も生まれも川だが、生活環の一部で一旦海に降り、再び川をさかのぼるものを両側回遊(りょうそくかいゆう)という。特に卵から孵化後間もなく海に降り、ある程度まで成長してから川に戻ってくるという形をとるものが多い。アユ、カジカ小卵型、ヨシノボリ類、ウキゴリ、チチブなどの魚類が挙げられるが、ヤマトヌマエビなどのヌマエビ科のエビ、テナガエビ類、イシマキガイなど、多くの甲殻類や貝類もこれに該当する。 その他にも、通し回遊に似た行動をとる動物もいる。 陸封 かつては通し回遊を行っていたものが、回遊を行わなくなったり、海の代わりに湖などで回遊するようになったものを陸封(りくふう)という。ヒメマスや琵琶湖におけるアユなどの他、ヨシノボリやテナガエビなどでも見られる。ヤマメやアマゴ等陸封種に特別な命名がされる場合も多い。 周縁魚 普段は海で生活しているが、汽水域や淡水域にも侵入する魚を周縁魚(しゅうえんぎょ)という。スズキ(海で産卵する両側回遊ともいえる)、クロダイ、シマイサキ、マハゼ、ボラ、オオメジロザメなどの沿岸魚がよく知られる。
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