生息水域による魚の種類
出典: フリー百科事典『ウィキペディア(Wikipedia)』 (2021/08/13 06:02 UTC 版)
淡水魚(たんすいぎょ、英: freshwater fish) 淡水に棲む魚。魚類全体の41.8%。純淡水魚(じゅんたんすいぎょ) または (広義の)一次淡水魚(いちじたんすいぎょ) 一生淡水域に限り生息している魚。一次性淡水魚(いちじせいたんすいぎょ) または 一次淡水魚(いちじたんすいぎょ) 古い地史年代から淡水域で種の分化を生じ、現在では海水にまったく耐性のないもの。ハイギョ、コイ科、ナマズ目魚類の大部分やチャラシン科など。魚類全体の33.1%(約10450種)。 二次性淡水魚(にじせいたんすいぎょ) または 二次淡水魚(にじたんすいぎょ) 淡水域に限り生息しているが、海水に対する耐性が多少あり、短期間なら海水中を移動できるもの。メダカ科、カワスズメ科魚類など。--魚類全体の8.7%。 通し回遊魚(とおしかいゆうぎょ、英: diadromous fish) または (広義の)両側回遊魚(りょうそくかいゆうぎょ) 通し回遊(両側回遊)する魚。本来は海水中で分化してきた分類群に属するが、生活史のある期間を海と川の両方に持ち、両者間を往来できるもの。遡河回遊魚(そかかいゆうぎょ、英: anadromous fish) 淡水で生まれ、海で育った後、産卵のために淡水に戻る魚。サケ、マス類の多くはこれに当る。陸封がみられる。 降河回遊魚(こうかかいゆうぎょ、英: catadromous fish) 産卵のために海へ下り、海に生まれた仔稚魚は淡水域に入り、そこで育つ魚類のこと。ウナギなど。 両側回遊魚(りょうそくかいゆうぎょ、英: amphidromous fish) 淡水に生まれすぐに海に下り、産卵とは関係なく再び淡水に戻る魚。アユ、チチブ、ヨシノボリ、ボウズハゼ、アユカケなど。汽水域や河口域を往復する魚類も含める考え方もある。陸封がみられる。アユなどを淡水性両側回遊魚、ボラなどを海水性両側回遊魚という。 海水魚(かいすいぎょ) 海水に棲む魚。魚類全体の58.2%(14550種)。汽水魚(きすいぎょ) 内湾から沿岸の、塩素量1-17%の範囲に生活の中心を持つ魚。サッパ、コノシロ、ドロクイ、サヨリ、ボラ、マハゼ、シマハゼ、ウロハゼなど。 沿岸魚(えんがんぎょ、英: coastal fish) タイドプール域から水深50mまでの沖合に分布する魚。外洋魚の対語。沿岸付近ではチョウチョウウオ科、ベラ科、ブダイ科、イシダイ科、キス科など。やや沖合ではニシン科、エソ科、サバ科、アジ科、ヒラメ科など。 近海魚(きんかいぎょ) または 沿海魚(えんかいぎょ) 水深50mから大陸棚縁辺または大陸斜面上部にわたる範囲に生息する魚。沿岸魚との明確な区別は困難で沿岸魚に含まれることも多い。表層魚は沿岸魚とよく似た組成で、底層はマダイ、ヘダイ、コチ類、ヒメコダイ、カスミサクラダイ、ニギス、アオメエソ類、アラなど。 外洋魚(がいようぎょ) 大陸棚上にも侵入してくるが、生活の本拠地を外洋に持つ魚。表層性魚類はシイラ、カツオ、マグロ類、カジキ類、大型サメ類など。および、中深層、深層性の深海魚。 表層遊泳魚(ひょうそうゆうえいぎょ) または 表層魚(ひょうそうぎょ) 上部表層から下部表層に棲む魚。カツオ・マグロ類など。 中深層遊泳魚(ちゅうしんそうゆうえいぎょ) または 中深層魚(ちゅうしんそうぎょ) 中深層に生息する魚。ヨコエソ科、ハダカイワシ科など。 深層遊泳魚(しんそうゆうえいぎょ) または 深層魚(しんそうぎょ) 上部漸深層以下に生息する魚。ミツマタヤリウオ、チョウチンアンコウなど。 底生魚(ていせいぎょ) または 底魚(そこうお) 底帯に棲む魚。底生生物(ベントス、英: benthos)のうちのメガベントス(巨大ベントス、英: megabenthos)に分類される。 また底生動物(動物ベントス、英: benthic animal。ベントスのうち動物のものを指す。)のうち遊泳性底生動物(英: nektobenthos。遊泳力を持ち遊泳と底生の相互移行的な生活をする。)に分類される。 底層遊泳魚(ていそうゆうえいぎょ) 底帯を遊泳する魚。 回遊魚(かいゆうぎょ、英: migratory fish) または 回遊性魚類(かいゆうせいぎょるい) マグロ、カツオ、ニシン、サンマなど、餌や産卵場所を求めて広く移動する魚。 鹹水魚(かんすいぎょ) 浮き魚(浮魚、うきうお、英: pelagic fish) 底魚の対語。表層や中層に棲む魚の総称。浅海から深海に及ぶ広大な水域に分布し、分類群も多様。底魚との明確な境界はない。深度帯によって表層性、中深層性、漸深層性、深海性などに大別される。浮魚は食物連鎖の上位に位置し、水平もしくは鉛直的回遊を行うものが多いが、特に表層性のものにおいて顕著。つまり発育段階や生態的周期性との関連で生活様式や地理的分布の性状が著しく動的な構造を持つ場合が多い。イワシ、サケ、マグロなどの多獲性の水産的に重要な魚種はここに含まれる。中深層性のものは小型で、種多様性の高いハダカイワシやヨコエソ類などマイクロネクトン魚類が中心である。これらは海洋における鉛直的物質輸送の役割が注目され、直接漁獲対象となることはまれである。 深海魚(しんかいぎょ、英: deep-sea fish) 深海に生息する魚。 冷水種(れいすいしゅ、英: cold-water species) 生態分布において、冷水中だけにみられる種。生活の最低温度、最適温度、最高温度が低温にあり、高緯度の海域や湖沼、高山の湖沼に多く、河川では上流域にみられる。海水魚ではタラやニシン、淡水魚ではイワナやマス類など。
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