生息状況と保護活動
出典: フリー百科事典『ウィキペディア(Wikipedia)』 (2022/03/22 03:40 UTC 版)
国際自然保護連合とバードライフ・インターナショナル によれば、オウムのうち8種が危急(絶滅危惧II類)ないしそれよりも危険な状況にあると考えられ、1種は準絶滅危惧であると考えられている。これらのうち2種、すなわちフィリピンオウムとコバタンは絶滅寸前(絶滅危惧IA類)の状況にあると考えられている。 オウムに対する主たる脅威とは、居住環境の破壊(英語版)と野生生物の売買(英語版)である。すべてのオウムは営巣のために樹木に依存しており、その喪失に対して脆弱である。さらに、多くの種が居住地に対する要求が専門化されていたり小さな島に生息しているため、必然的に生息範囲が限定されており、これらの居住地の喪失に対して脆弱になってしまっている。オウムはペットとして人気が高く、このためその捕獲と売買によって生存を脅かされている種がある。1983年から1990年の間に、記録されただけでも66,654羽のオオバタンがインドネシアから輸出されている。この数字には国内での売買のために捕獲された鳥や、違法に輸出された鳥の数は含まれていない。その後さまざまな種の捕獲は禁止されたが、違法な売買は続いている。鳥は木枠や竹で編んだ筒に入れられて、インドネシアやフィリピンからボートで運び出される。希少種の鳥がインドネシアから密輸出されるばかりではなく、同様にオーストラリアからも、ありふれた種や希少種が密輸出されている。鳥は眠らされ、ナイロンストッキングで包まれてからポリ塩化ビニルのチューブに詰められて、国際貨物便の別送貨物で送り出される。死亡率は著しく(30%)、また卵のほうがはるかに容易に飛行中の密輸業者の体に隠すことができることから、鳥の密輸に代わって卵の密輸がますます増大している。違法な取引は、組織化された犯罪者たちによって実行されていると考えられるが、彼らはまた密輸出の他にオーストラリア産の種を、たとえばコンゴウインコのような外国種と交換することも行う。 オカメインコをのぞくすべての種のオウムが、ワシントン条約(CITES(サイテス)、「絶滅のおそれのある野生動植物の種の国際取引に関する条約」)の保護下にあり、これにより捕獲された野生種のインコおよびオウムの輸出入と売買は違法である。以下の種類のオウムはそのすべての亜種も含めて、ワシントン条約付属書Iに絶滅危惧状態 (Endangered) として掲げられ、保護されている。 シロビタイムジオウム Tanimbar Corella (Goffin's Cockatoo とも), Cacatua (Licmetis) goffiniana フィリピンオウム Red-vented Cockatoo, Cacatua (Licmetis) haematuropygia オオバタン Salmon-crested Cockatoo, Cacatua (Cacatua) moluccensis コバタン Yellow-crested Cockatoo (Lesser Sulphur-crested Cockatoo とも), Cacatua (Cacatua) sulphurea亜種マメコバタン Abbott's Cockatoo, Cacatua (Cacatua) sulphurea abbotti 亜種コガタコバタン Timor Cockatoo, Cacatua (Cacatua) sulphurea parvula 亜種コキサカオウム Citron-crested Cockatoo, Cacatua (Cacatua) sulphurea citrinocristata ヤシオウム Palm Cockatoo, Probosciger aterrimus これ以外のすべての種類のオウムはワシントン条約付属書IIに危急(vulnerable)として掲げられ、保護されている。
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