生息環境と活動様式
出典: フリー百科事典『ウィキペディア(Wikipedia)』 (2022/03/31 05:43 UTC 版)
Lysiosquilla tredecimdentata モンハナシャコ 巣穴の入り口で待ち構えるシャコ類 ほとんどは海産で一部に汽水性のものがある。寒帯から熱帯まで世界中に広く分布する。刺撃型の種類は夜行性の待ち伏せ型で海底の砂や泥、打撃型の種類は昼行性かつ徘徊性で熱帯と亜熱帯の浅海域を好んで生息する傾向が見られる。また、保護色として生息環境に溶け込むように体色と模様が地域ごとにバリエーションをもつものも知られ、ホソユビシャコ科の種類が特に顕著である。 底生性で、海底の環境で巣穴を作って生活し、この巣穴は休憩・捕食・脱皮・交尾・抱卵などを行う場所となる。多くの場合、打撃型の種類はサンゴ・サンゴ礁の破片・岩・貝殻・サンゴモ・稀にカイメンなどの硬い素材、刺撃型の種類は海底の砂や泥などの柔らかい堆積物で垂直もしくはUの字型の坑道を掘って巣穴を作る。例えば刺撃型であるシャコ科の中で、日本に分布するシャコ属のシャコ(Oratosquilla oratoria)などは海底の泥や砂泥に大小1対の開口部をもつU字型の巣穴を作る一方、アメリカのロードアイランド州に分布するホンシャコ属には寒さを避けるため垂直な巣穴を掘る種類があり、巣穴の長さが4mを超えるものもある。ただし、前述のカテゴリに当てはまらない例外もいくつかある。例えば打撃型であるハナシャコ科はサンゴ礁破片に覆われた柔らかい堆積物で巣穴を掘り、細かい破片で坑道の内壁を補強する。刺撃型の中で Parvisquilla 属は硬いサンゴに潜んだ多毛類の棲管を巣穴とし、Coronididae 科の一部の種類は坑道を掘らず、サンゴ礁破片と砂の間で巣穴を作る。中間型であるハリツメシャコ科は、刺撃型のように柔らかい堆積物で坑道を掘る。 巣穴を作成する時には第3-5顎脚で素材を運搬し、堆積物で作る場合は腹肢と尾節まで坑道を掘るのに用いられる。 巣穴の入り口は種類や場合によって常に開く(シャコ科)、何らかの素材で埋められる、もしくは岩や貝殻で周りを装飾される(ハリツメシャコ科)。例えば多くのトラフシャコ科の種類は堆積物で入り口を埋めて、眼と触角のみ表面に出して獲物を待ち伏せる。フトユビシャコ科などの昼行性の種類は、明け方で巣穴から出たあと入り口を開けっぱなしで、夕暮れの帰巣で再びそれを閉じる。
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生息環境と活動様式
出典: フリー百科事典『ウィキペディア(Wikipedia)』 (2022/06/16 04:12 UTC 版)
ヒヨケムシは主に砂漠やその周辺の荒れ地に生息し、そこの昆虫などの捕食者である同時に鳥類などの主な獲物でもあるため、乾燥帯の生態系における重要なニッチ(生態的地位)を占めると考えられる。例外としてヒカラビヒヨケムシ科の構成種は植物の多い地域を好む傾向があり、Dinorhax rostrumpsittacici は現世で唯一に熱帯雨林に生息するヒヨケムシである。 多くの種類は夜行性で、名に現れるように日当たりを避けている。しかし日中で活動する昼行性種もあり、ウモウヒゲヒヨケムシ科、ヒカラビヒヨケムシ科とヒヨケムシ科で特に多く知られている。ヒヨケムシ科の昼行性種からは、日中で後体を立てて体温調節をする行動が観察される。また、雨など湿度の高い天候を嫌がるらしく、水をかけられるとすぐ穴を掘って身を隠す。寿命が数年ほど長い種類は、一年中に夏を中心にして外で活動し、残りの時期を巣穴に隠れて休眠する。 活動的で、徘徊する間では獲物や配偶に遭うまで立ち止まらないほどである。「風のように走る」と言われるほど素早く走り、最速のものはおよそ時速16kmまで達する。特に体毛が発達したものは、走る姿が転んでいる冠毛にも見えて、ネズミと見間違われることすらある。触肢の吸盤を利して滑らかな表面を掴み、植物やガラスなどもある程度登れるが、基本的には地表で活動する。移動の際、第2-4脚のみ歩脚として歩行に用いられ、第1脚と触肢は地面から浮かんで感覚器として働いている。第4脚のラケット器官の明確な機能は未だに不明だが、餌や配偶を探すのに役立つ化学受容器とされ、またサソリの感覚器である櫛状板のように常に地面に触れるため、それに似た機能(振動を読み取るなど)をもつとも考えられる。 その高い活動性を支えるように、ヒヨケムシの代謝率は高く、発達した気管系で効率よく呼吸する。呼吸色素をもたないため、ガス交換は完全に気管系に依存すると考えられる。昆虫のように気門を開閉して断続的な換気を行い、前体の後半が常に上下の伸縮を繰り返すのは、横隔膜の伸縮による換気の動きだと考えられる。大型種の鋏角に見られる気嚢は昆虫のそれに似て、酸素を蓄える、もしいくはふいごのように伸縮して能動的な換気を行ったと考えられる。ヒヨケムシの発達した気管系は、前述のようなガス交換の効率を上げるだけでなく、エネルギーの節約に繋がる軽量化にも役立つと考えられる。特に大型種が鋏角に気嚢をもつのは、この強大な捕食器官の酸素供給と軽量化に適した性質だと考えられる。
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