邂逅
「邂逅」とは、人と思いがけなく出会う、出くわす、巡り合う、という意味の文語的な表現である。
「邂逅」とは・「邂逅」の意味
「邂逅」とは「偶然の出会い」や「思いがけない巡り会い」の意味で用いられる表現である。とりわけ「人との嬉しい出会い」について用いられる。「思いがけない出会い」を指す語としては「遭遇」の方がより一般的であるが、多少ニュアンスが異なる。「遭遇」は人に限らず動物や現象と出くわす場合にも使える。また、必ずしも良い出会いとは限らず、災難に出くわすという意味でも使える。
「邂逅」の読み方
「邂逅」の読み方は、かいこうである。「邂」も「逅」も、どちらも「会う」「見える」という意味の字である。どちらの字も、日本語においてはほぼ「邂逅」という熟語でのみ用いられる。
「邂逅」の語源・由来
「邂逅」は古語では、わくらばと読み万葉集にも見られる。意味は偶然にや、まれにである。邂にも逅にも会うという意味があるため、現在の意味になったと考えられる。邂逅
邂逅(かいこう)とは、「思いがけず出会う」ことを意味する表現である。「巡り逢い」「巡り会う」とも言い換えられる。英語では「encounter」が最も近い意味合いの語といえる。
邂逅は多くの場合、名詞として、「邂逅を果たす」「旧友との邂逅」といった言い方で用いられる。「~する」を加えて動詞として活用することも可能であり、「5年の歳月を経て邂逅した」というような言い方もできる。
「邂逅」の用例として使える典型的な場面・状況としては、「何年も会っていない、すっかり疎遠になっていた旧友と、街中で偶然に出会った」というような状況が挙げられる。ただの遭遇ではなくて「思いがけない・予期しなかった・偶然的な」遭遇を表現するニュアンスが多分に含まれるが、会うべくして会ったという状況について「邂逅」の語が用いられる場合もある。
「邂逅」は多少ならず「感動的な出会い」というニュアンスを込めて用いられる場合がままある。あるいは、「邂逅」が、単に「遭遇」「対面」を格好よく表現する語彙という位置づけてして用いられていると思われる使用例もある。
「邂逅」には「かいこう」の他に「わくらば」という読み方もある。ただし「わくらば」は、もっぱら古典文献に見出される例であり、現代日本語の中で用いられることはまずないといってよい。「邂逅」を「わくらば」と読む場合は形容動詞として、主に「わくらばに~」という使い方で用いられる。意味合いは「たまたま」「偶然に」といったところで、「かいこう(邂逅)」と同じである。
古語においては「わくらば」は「病葉」の読みとして用いられることもある。「病葉」は病害虫などに冒された葉のことであり、「邂逅」とは特に関係ない。
かいこう
日本の海洋科学技術センター(現海洋研究開発機構)が開発した大深度潜水調査のための無人探査機。平成7年(1995)完成。最大潜航深度1万メートル以上。深海調査研究船「かいれい」を母船とする。母船に曳航(えいこう)されるランチャー(親機)とテレビカメラやロボットハンドを搭載するビークル(子機)で構成される。世界で最も深いマリアナ海溝のチャレンジャー海淵におけるバクテリア採取に成功。平成15年(2003)、室戸岬沖でランチャーとビークルを結ぶ2次ケーブルが切断し、行方不明となった。
かい‐こう〔‐カウ〕【×偕行】
かい‐こう〔クワイカウ〕【回航/×廻航】
かい‐こう〔クワイクワウ〕【怪光】
かい‐こう〔クワイ‐〕【×恢×弘】
かい‐こう【戒功】
かい‐こう〔‐カウ〕【戒香】
かい‐こう〔‐カウ〕【改稿】
かいこう〔カイカウ〕【歌意考】
かい‐こう【海×寇】
かい‐こう〔‐カウ〕【海港】
かい‐こう【海溝】
読み方:かいこう
比較的急な斜面に囲まれた、細長い深海底の凹地。多くが深さ6000メートル以上を示し、長さは数百キロから数千キロに及ぶ。海洋プレートが沈み込む境界と考えられ、陸側は地震活動が活発。トレンチ(trench)。→トラフ
[補説] 世界の主な海溝(括弧内は最深部。単位はメートル)
マリアナ海溝(10920)
トンガ海溝(10800)
フィリピン海溝(10057)
ケルマデック海溝(10047)
伊豆小笠原海溝(9780)
千島カムチャツカ海溝(9550)
北ニューヘブリディーズ海溝(9175)
ヤップ海溝(8946)
ニューブリテン海溝(8940)
プエルトリコ海溝(8605)
南サンドイッチ海溝(8325)
サンクリストバル海溝(8322)
チリ海溝(8170)
日本海溝(8058)
パラオ海溝(8054)
アリューシャン海溝(7679)
南ニューヘブリディーズ海溝(7570)
南西諸島海溝(7460)
ジャワ海溝(7125)
中米海溝(6662)
ペルー海溝(6262)
東メラネシア海溝(6150)

かいこう【海紅】
かい‐こう〔‐カフ〕【×蟹甲】
読み方:かいこう
カニのこうら。
かい‐こう〔‐カウ〕【×蟹行】
かい‐こう〔かひカウ〕【貝香/▽甲香】
かい‐こう【×邂×逅】
かい‐こう【開口】
読み方:かいこう
3
㋑中世の猿楽で、最初に登場して祝賀の意を含めたこっけいな文句を述べること。能の形成に伴い、まじめなものとなった。開口猿楽。
㋒中世の延年などの一芸で、こっけいな地口(じぐち)やしゃれを唱えたりする話芸的なもの。㋑を取り入れたものらしい。
㋓近世、幕府の大礼能や本願寺の礼能などの儀式的な演能で、脇能の初めにワキの役が新作の祝賀の文句を謡うこと。また、その謡(うたい)。
かい‐こう〔‐カウ〕【開坑】
かい‐こう【開孔】
かい‐こう〔‐カウ〕【開校】
かい‐こう〔‐カウ〕【開港】
かい‐こう【開講】
かい‐こう〔‐カフ〕【開×闔】
開港
開坑
【英】: spud in
同義語: スパッド・イン
掘削装置を組み立て(リグ・アップ)て坑井を掘り始めること。 わが国では安全と成功を祈って開坑式と称する神事を行うのが通例となっている。 |

かいこう
出典: フリー百科事典『ウィキペディア(Wikipedia)』 (2023/06/27 15:06 UTC 版)



かいこうは、海洋科学技術センター(JAMSTEC; 2004年以降は海洋研究開発機構に改編)が開発・運用した有索式・遠隔操作式の無人潜水機(ROV)[1]。
1990年代中盤の実用化以降、世界初・唯一の11,000メートル級ROVとして活躍した。また2003年の事故でビークル(子機)を喪失[2]して以降は、7,000メートル級のかいこう7000に改造されて運用を継続した[3]。
来歴
JAMSTECでは、1980年代の「しんかい2000」の運用を通じて、有人潜水調査船の効率的・安全な運航のためには、洋上基地となる支援母船と、潜航前の事前調査および事故時の救難にあたる無人潜水機(ROV)の3点セットが有効であるとしていた[4]。
1980年代末には、しんかい2000の実績を踏まえて、より大深度への潜航が可能な「しんかい6500」が建造され、1991年より調査潜航を開始したが、同船の潜航深度に対応できるROVは、当時世界的にみても存在しなかった。このことから、「しんかい6500」の圧壊深度である10,000メートルにまで対応できる事前調査・救難装置として、1986年より開発着手されたのが本機である[3][5]。
設計
「しんかい2000」に対応して開発された3,000メートル級ROVであるドルフィン-3Kでは、母船の船上装置とビークル本体がテザーケーブルにより直結されていたが、5,000メートル以上の大深度でこの手法を採用すると、ケーブル自体の重さに加えて強力な潮流力が作用し、ビークルの行動が大幅に制限されることが懸念された。このことから、本機では、まず一次ケーブルでランチャー(中継機)を吊り下げて、ここから二次ケーブルを繰り出してビークル(子機)を発進させるという中間ランチャー方式が採用された[1][6][7]。
- 船上装置
- 操縦装置・制御装置、着水揚収装置、一次ケーブルハンドリング装置、データ伝送システム、音響測位システムから構成される[1]。
- 一次ケーブル
- 母船上の一次ケーブルハンドリング装置とランチャーを結ぶ光電力複合ケーブルで、母船からの送電および制御信号の送信とともに水中部からの情報を母船に伝送する[1]。直径45ミリ、全長12,000メートル、水中重量526 kg/km。ケーブルにかかる加重は2層のケブラー抗張力体によって保持されており、40トンの破断強度を有する[6]。
- ランチャー
- 自重約3トン[3]。一次ケーブルにより母船から吊り下げられており、音響的調査のためのサイドスキャンソナー(SSS)や地層探査装置(sub bottom profiler, SBP)、またCTDセンサも備えている。これらの特性を活かして、ソナー曳航体としても使うことができる。またビークルの誘導・回収のためのビークル結合装置および二次ケーブルハンドリング装置を備えている[1]。
- 二次ケーブル
- ランチャーとビークルを結ぶ光電力複合ケーブルで[1]、直径29ミリ、全長250メートル、水中重量40 kg/km。ビークルの運動性能を極力制約しないよう、抗張力体はケブラー繊維を格子状に編んだものとされ、3トンの破断強度を有する[6]。
- ビークル
- 目的とする調査深度で10 kgの浮力を持つように船上で浮力調整を受ける[6]。ランチャーより発進して、スラスター7基(水平4基、上下3基)により、二次ケーブルが届く範囲で海底付近を機動する。光学的調査および試料採取を担当するため、各種カメラ(3CCDカメラ1基、CCDカラーカメラ3基、35mmスチールカメラ1基)やマニピュレーター(7自由度)を備えている[1]。
運用
実海域試験は平成5年度から平成6年度にかけて、紀伊水道(1,000メートル)、南西諸島海溝(6,500メートル)、そして世界の最深部であるマリアナ海溝(11,000メートル)と、徐々に深度を増しつつ行われた[1]。1994年3月に試みられたマリアナ海溝への挑戦は、信号系のブラックアウト、浮力材の亀裂、油圧系の損傷といった問題を生じたために断念されたが、これらの問題は、1年間に渡る徹底的な原因解明および対策によっていずれも克服され、1995年3月24日の再挑戦により、10911.4メートルへの潜行に成功した[6][8]。
上記の通り、「しんかい6500」のための事前調査・救難装置として開発されたという経緯もあり、JAMSTECに引き渡されてしばらくは、同船の支援母船である「よこすか」に搭載されていた。しかしその後、ROVに頼らない救難手法が開発され、あえて同船とセットで運用する必要性が薄れたことから、世界唯一の10,000メートル級ROVである本機をより自由に運用できるよう、専用の母船である「かいれい」が建造されて、こちらに移設された[6]。
本機はマリアナ海溝のチャレンジャー海淵に19回に渡り潜航し、1996年2月の調査で採取された試料からは、世界で初めて10,000メートル以上の水深の海底からバクテリアが分離された[9]。また2000年にはインド洋で初めて熱水活動を発見した。これらの海洋学的活動のほかにも、対馬丸の船体発見やえひめ丸の遺留品回収、打上げ失敗したH-IIロケット8号機のエンジン部品発見など、社会的にも大きく貢献した[3]。
しかし2003年5月29日、室戸岬沖130キロメートルの海域で、南海地震に関わる長期観測データの回収後に二次ケーブルが破断、子機ビークルを喪失した[10][11]。
これにより、JAMSTECは「しんかい6500」の運用深度である6,500メートル以深での直接調査能力を失うことになり、代替手段の確保が急務となった。新ビークルの建造には相当の時間を要することから、まず、本機に次ぐ活動深度を誇っていた7,000メートル級の細径光ファイバー無人潜水機である「UROV7K」を改造し、暫定的なビークルとしたかいこう7000が開発された[12]。同機はその後、かいこう7000-II、かいこう Mk-IVと順次に更新を重ねたものの、いずれも7,000メートル級のROVであった。JAMSTECでは、2005年より新しい10,000メートル級ROVの開発に着手しており、これはABISMOとして2007年より潜航試験を開始した[13]。
出典
- ^ a b c d e f g h 三井造船「10,000m級有索自航式無人探査機「かいこう」」『らん : 纜』第35号、日本船舶海洋工学会、1997年3月30日、94-97頁、NAID 110003875499。
- ^ 深海無人探査機「かいこう」行方不明 (2003年) 失敗知識データベース 失敗百選
- ^ a b c d 渡邊正之、橋本菊夫, 田代省三, 門馬 大和「10,000m級無人探査機「かいこう」の活躍と亡失(第2章 ROV)(<特集>日本の水中ビークル技術の技術史)」『日本造船学会誌』第883号、日本船舶海洋工学会、2005年1月10日、22-25頁、 NAID 110003880578。
- ^ 西村一 (2001年5月21日). “「しんかい2000」誕生物語”. 2016年6月20日閲覧。
- ^ 西村一 (2012年11月12日). “6,500m潜水調査船「しんかい6500」/支援母船「よこすか」システム誕生物語”. 2016年6月20日閲覧。
- ^ a b c d e f 甕川敏暢「11,000m級無人探査機「かいこう」の7年の軌跡」『日本ロボット学会誌』第19巻第6号、日本ロボット学会、2001年9月15日、696-700頁、 NAID 10007438999。
- ^ 西村一 (2011年11月). “1万m級無人探査機「かいこう」誕生物語”. 2016年6月20日閲覧。
- ^ “海洋科学技術センター 10,000m級無人探査機 かいこう”. 海洋科学技術センター. 2012年1月26日閲覧。
- ^ “世界最深部の生物”. 国際海洋環境情報センター. 2012年1月26日閲覧。
- ^ 張田吉昭 (有限会社フローネット)・中尾政之 (東京大学工学部附属総合試験所総合研究プロジェクト・連携工学プロジェクト). “深海無人探査機「かいこう」行方不明”. 失敗知識データベース. 畑村創造工学研究所. 2008年5月6日閲覧。
- ^ 「かいこう」ビークル漂流事故調査委員会 (2004年1月19日). “「かいこう」ビークル漂流事故調査 最終報告書”. 海洋研究開発機構. 2008年5月6日閲覧。
- ^ 村島崇「7000m級無人探査機「かいこう7000」」『海洋調査技術』第16巻第2号、海洋調査技術、2004年9月30日、31-37頁、 NAID 10021980626。
- ^ 井上朝哉「海洋最深部を探査する小型無人探査機ABISMOの開発と将来」『日本マリンエンジニアリング学会誌』第43巻第4号、日本マリンエンジニアリング学会、2008年7月1日、531-534頁、 NAID 10024276297。
関連項目
- ネーレウス - ウッズホール海洋研究所の無人潜水機。本機のビークル亡失後は世界唯一の10,000メートル級無人潜水機として活躍したが、2014年に圧壊・喪失した
かいこう
出典: フリー百科事典『ウィキペディア(Wikipedia)』 (2022/04/25 14:06 UTC 版)
詳細は「かいこう」を参照 1995年3月24日、日本の遠隔操作無人潜水機である「かいこう」がチャレンジャー海淵の最深部に到達した。日本の海洋開発機構 (JAMSTEC) によって開発されたその装置は6000m以上潜水可能な数少ない無人潜水機である。潜水記録は音響探査によりそれまでチャレンジャー海淵の最も深い場所と信じられていた10,911.4mだった。「かいこう」は同様にマリアナ海溝で1995年から1998年にかけて3回の遠征で多くの潜水を行った。
※この「かいこう」の解説は、「マリアナ海溝」の解説の一部です。
「かいこう」を含む「マリアナ海溝」の記事については、「マリアナ海溝」の概要を参照ください。
かいこう
出典:『Wiktionary』 (2021/08/13 00:08 UTC 版)
同音異義語
かいこう
- 【偕行】一緒に行うこと。
- 【回航, 廻航】船を目的の港まで航行させること。
- 【怪光】怪しい光。
- 【恢弘, 恢宏】押し広めること。
- 【戒功】戒めを守ることによって生じる功徳。
- 【戒香】戒律を固く守る功徳。
- 【改稿】原稿を書きなおすこと。
- 【歌意考】江戸時代の歌論書。賀茂真淵著。
- 【海寇】海上から侵入する外敵。
- 【海港】海岸にある港。
- 【海溝】深海の窪地。
- 【蟹甲】蟹の甲羅。
- 【蟹行】横歩き。横這い。
- 【塊鉱】塊状の鉱石。
- 【貝香, 甲香】赤螺のふた。
- 【邂逅】偶然に出会うこと。
- 【開口】ものを言い始めること。
- 【開坑】坑道を切り開くこと。
- 【開校】学校を新設すること。
- 【開港】港や空港を新しく開くこと。
- 【開講】講義を始めること。
- 【開闔】開くことと閉じること。
「かいこう」の例文・使い方・用例・文例
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