うらしま
日本の海洋研究開発機構が所有する自律型の深海巡航探査機。平成10年(1998)より開発開始。母船とケーブルで接続されず、搭載した蓄電池または燃料電池を動力源とする。慣性航法および音響による位置検出を行い、障害物を回避したり、各種データを取得したりできる。最大使用深度は3500メートル。平成17年(2005)、巡航探査機としては世界最長の317キロメートルに及ぶ全自動長距離航行に成功した。
うらしま【浦島】
読み方:うらしま
浦島太郎のこと。
謡曲。脇能物。宝生流番外曲。勅使が丹後水の江の浦島明神にもうでると、明神・竜神が現れ、不死の薬を与える。
狂言。大蔵・和泉(いずみ)流番外曲。釣った亀を祖父と孫が助けると、亀の精が現れ、箱を置いていく。箱を開くと祖父は若い男になる。
歌舞伎舞踊。長唄。2世瀬川如皐(せがわじょこう)作詩、4世杵屋三郎助(きねやさぶろうすけ)作曲。七変化「拙筆力七以呂波(にじりがきななついろは)」の一つとして、文政11年(1828)江戸中村座で中村芝翫(なかむらしかん)が初演。
洋画家、山本芳翠の絵画。油彩。明治26年(1893)から明治28年(1895)頃の作品で、西洋画のタッチと日本の昔話のモチーフを組み合わせた作風になっている。浦島図。
浦島
名字 | 読み方 |
浦島 | うらしま |
浦島
姓 | 読み方 |
---|---|
浦島 | うらしま |
うらしま
出典: フリー百科事典『ウィキペディア(Wikipedia)』 (2025/08/02 01:07 UTC 版)
うらしまは海洋研究開発機構が運用している深海巡航自律型無人潜水機(AUV)である。命名は、海底にある龍宮城へ行ったという日本の伝説浦島太郎にちなむ。
開発経緯
地球温暖化の原因究明には北極海の海洋データの取得・解析が不可欠である一方、容易に近づくこと が困難であった。この北極海の調査を有効に行う手段として長距離航行可能な巡航型の自律型無人潜水機の開発が望まれ、北極海の海氷下を自律航行できるAUV開発のための試験機として、1998年に開発が着手された[1]。
2000年にリチウムイオン電池を動力源とした状態で納入されたが、その後航続距離延伸を目的として動力源を燃料電池に換装する工事が2002年に完了した[1]。
2003年、燃料電池搭載の無人探査機として、世界で初めて水深300メートルの潜航に成功。最大潜航深度1,507メートル、連続航続距離30キロメートル、潜航時間7時間を記録した。 2005年、駿河湾の水深800メートルで、56時間、317キロメートルの連続長距離航走に成功した[2]。
2009年、実用機として完成し、公募対象探査機として深海探査研究に利用開始された[2]。この時点での最大潜航深度は3,500メートルであった[2]が、これでは排他的経済水域(EEZ)の45パーセントしか調査できなかった[3]。
2022年に改造工事を開始し、より強い水圧に耐えられるよう船体内部の重要機器を収める耐圧容器をアルミ製からチタン製に変更するなどした[3]。2025年5月、海洋研究開発機構は、深さ8,000メートルまで潜れるよう改造した無人深海探査機「うらしま8000」を報道陣に公開した[3]。EEZの98パーセントを調査でき、海底資源の探査や、海溝沿いで起きる地震の研究での活用が期待されている[3]。うらしま8000を開発した背景には、深海探査が科学研究や資源開発などで重要性が増す一方、有人深海探査艇しんかい6500の老朽化が進み、日本が自国の海域を十分に把握できない状況に対する危機感があるとされる[4]。ただ、うらしま8000は試料採取はできないため、有人機や遠隔操作型ロボット(ROV)と組み合わせる必要がある[5]。
2025年7月21日、うらしま8000が伊豆・小笠原海溝での試験航海で水深8,015・8メートルに到達した[6]。国内で開発したAUVとしては、最も深い記録となる[6]。
システム構成
調査機器として、自動多点採水装置、CTDOセンサー、低照度デジタルカメラ、サイドスキャンソーナー、サブボトムプロファイラ、マルチビーム測深機などを装備する[7]。
諸元
- 全長:10.7m[8]
- 全幅:1.3m[8]
- 高さ:1.5m[8]
- 水中最大重量:7トン[8]
- 最大深度:3,500m[2][9](当初)/8,000m[8](改造工事後)
- 航続距離:約300km[9]
- 水中速度(巡航):3ノット[9]
- 水中速度(最大):4ノット
- 動力源:リチウムイオン二次電池+閉鎖式燃料電池
- 航行方式:コンピュータ制御による全自動航行[9]
脚注
- ^ a b 前田俊夫・石黒慎二・ 横山和久・広川潔・久留長生・谷俊宏. “燃料電池搭載深海巡航探査機 “うらしま””. 三菱重工技報 VOL.43 NO.1: 2006. 2024年1月29日閲覧。
- ^ a b c d “深 海 巡 航 探 査 機「 う ら し ま 」”. 国立開発研究法人海洋研究開発機構. 2024年1月29日閲覧。
- ^ a b c d “無人深海探査機「うらしま8000」公開…日本のEEZほぼカバー、海底資源探査や地震研究で活用期待”. 読売新聞オンライン (2025年5月12日). 2025年5月13日閲覧。
- ^ 晋史, 小野 (2025年5月12日). “深海探査は中国1強 「深海大国」日本の能力後退で危機感、安全保障上の不安材料”. 産経新聞:産経ニュース. 2025年5月14日閲覧。
- ^ “しんかい6500老朽化、迫る設計寿命 文科省、無人機開発優先へ:朝日新聞”. 朝日新聞 (2024年8月11日). 2025年5月14日閲覧。
- ^ a b 産経新聞 (2025年7月29日). “海洋機構の深海無人探査機「うらしま8000」が水深8015・8メートルに到達”. 産経新聞:産経ニュース. 2025年7月31日閲覧。
- ^ “新型AUVの御紹介”. 文部科学省. 2025年8月1日閲覧。
- ^ a b c d e “深海巡航探査機「うらしま8000」 | JAMSTEC | 海洋研究開発機構 | ジャムステック”. www.jamstec.go.jp. 2025年7月31日閲覧。
- ^ a b c d 前田俊夫、石黒慎二、横山和久、広川潔、橋本彰、奥田幸人、谷 俊宏 (2004). 三菱重工技報 (三菱重工) 41 (6). https://www.mhi.com/jp/technology/review/sites/g/files/jwhtju2326/files/tr/pdf/416/416344.pdf.
関連項目
外部リンク
「うらしま」の例文・使い方・用例・文例
- 無人自律探査船「うらしま」が,深海巡航の世界新記録を達成した。
- うらしまは,英国の無人探査船が樹立した262キロの記録を破った。
- うらしまは長さ約10メートル,幅1.5メートルだ。
- うらしまは,私たちが,北極海の氷の下の海についてより知るのを助けるかもしれない。
- うらしまは波によって影響されないので,船から撮られた海底画像よりも良いものを提供するだろうと研究者たちは期待している。
- 新しい調査船は現行船「うらしま」の後継となる。
- 最大潜航深度は「うらしま」のおよそ2倍の6000メートルになると期待されている。
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