トレンチ
trench
「trench」とは、主に地面や地下に掘られた「深い溝」や「穴」のほか軍事用語では戦闘用に掘られた「地下の防御壕」や「塹壕」のことを指す英語表現である。
「trench」とは・「trench」の意味
「trench」は、一般的には地面や地下に掘られた深い溝、または穴のことを意味する名詞である。軍事的な文脈においては、戦闘用に掘られた地下の防御壕や塹壕を指すことがある。「trench coat(トレンチコート)」における「trench(トレンチ)」は、第一次世界大戦におけるイギリス軍の「trench warfare(塹壕戦)」のイメージが反映されているといわれている。塹壕戦においては、兵士たちは長時間にわたって塹壕の中に留まらなければならなかった。そのため、風雨や泥水などから身を守るための長いコートが必要とされた。そうした状況下で開発されたコートがトレンチコートの由来とされている。また、慣用句として「in the trenches」という表現がある。この表現は、困難な状況や苦しい状況の中、現場で働くことを指す。この表現も、第一次世界大戦における塹壕戦がその由来である。
「trench」は動詞としても用いられる。その際の意味は、ある場所を堀や塹壕で囲む、堀をつくる、溝をつけて排水する、田畑などを掘り返す、である。
「trench」の語源
「trench」の語源は、古期フランス語で切り開く、削る、という意味の「trenchier」である。この言葉が中英語で切り開いた溝、水路、排水路、といった意味の「trenche」になり、現在の意味へと変わったと考えられる。「trench」の発音・読み方
「trench」の発音記号は「tréntʃ」である。カタカナ読みだと「トレンチ」になる。「trench」の活用変化一覧
「trench」の活用変化一覧は以下の通りである。・現在形「trench(不規則動詞のため、主語がhe/she/itの場合もtrench)」
・現在進行形「trenching」
・現在完了形「have trenched(主語がhe/she/itの場合はhas trenched)」
・過去形「trenched」
・過去完了形「had trenched」
・未来形「will trench」
「trench」を含む英熟語・英語表現
「trench」を含む英熟語・英語表現には、つぎのようなものがある。「trench foot」とは
「trench foot」は、第一次世界大戦中、長時間湿った状態の中にいた兵士たちが患った足の凍傷のことを指す。
「cut a trench」とは
「cut a trench」は、地面に溝を掘ることである。主に農業や建設現場で使用される。
「fire trench」とは
「fire trench」は、塹壕の中で敵の攻撃に対して最前線にある場所を指す。
「communication trench」とは
「communication trench」は、塹壕内を移動するための通路である。主に塹壕の中央部に設置される。
「trench art」とは
「trench art」は、戦場で兵士たちが手作りしたアート作品を指す。とりわけ第一次世界大戦や第二次世界大戦中に作られたものが広く知られている。
「trench drain」とは
「trench drain」は、雨水や地下水を排出するために建設される溝を意味する。主に建設現場や駐車場などで使用される。
「trench coat mafia」とは
「trench coat mafia」は、1999年にアメリカ合衆国のコロラド州で発生した銃乱射事件の犯人たちが自称していたグループの名称である。犯人の高校生たちは好んでトレンチコートを着用していたといわれている。
「trench」の使い方・例文
「trench」を用いた例文として、次のようなものが挙げられる。「They trenched the field for planting.(彼らは植え付けのため、その畑に溝を掘った)」
「The soldiers trenched themselves in for the night.(兵士たちは夜間のために塹壕に入った)」
「The workers are currently trenching the site for the new building.(作業員たちは新しいビルの建設のため、現場に溝を掘っている)」
「She wore a classic trench coat and carried a large leather handbag.(彼女はクラシックなトレンチコートを着て、大きなレザーハンドバッグを持っていた)」
「The soldiers dug deeper trenches to better protect themselves from enemy fire.(兵士たちは敵の攻撃から身を守るため、より深い塹壕を掘った)」
「The museum' collection of trench art includes many fascinating objects made by soldiers during World War I.(その博物館のトレンチアートのコレクションには、第一次世界大戦中に兵士たちが作った多くの魅力的な作品が含まれる)」
「During World War I, many soldiers suffered from trench foot due to the cold and wet conditions in the trenches.(第一次世界大戦中、塹壕の寒くて湿った環境のため、多くの兵士たちがトレンチフットに苦しんでいた)」
トレンチ【trench】
【塹壕】(ざんごう)
Trench
銃撃戦において敵の銃弾から隠れるために地面に掘る穴。
隠れたまま移動できるよう水路のように深く長い溝を掘るのが一般的。
第一次世界大戦では、両陣営がヨーロッパ大陸を縦断する長大な塹壕線を築いたことで知られる。
銃火器が実用化された比較的初期の時代から用いられていたが、当初は射撃後に銃剣突撃による白兵戦に移行する事が多かったため、さほど重要視されていなかった。
しかし機関銃が登場すると白兵戦が恐ろしく困難になったため、かわりに塹壕が多用されるようになった。
塹壕の上端から顔と小銃だけを覗かせて撃ち合うことが基本であり、射撃しやすいように掩体が設けられる。
ただしそれだけでは膠着状態に陥りやすいため、迫撃砲によって支援したり、少数の兵士が敵の塹壕に乗り込んで白兵戦によって敵を掃討するなどの戦術もとられた。
これらの特徴は火器の登場以前の戦争における城塞とほぼ同様で、旧来の城や砦が近代的な要塞へと置き換わっていったものと見る向きもある。
戦車や航空機などの登場によって再び必要性は薄くなったが、現在でも拠点防御に用いられることがあり、塹壕を掘るためのスコップ(えんぴ)は歩兵の必需品である。
関連:M1897 塹壕戦 タコツボ
Trench
溝
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